09.3.10 全国一斉発売開始

「平和的生存権と生存権が繋がる日 イラク違憲判決から」

196頁 合同出版 1500円+税   毛利正道 著    

池田香代子さん 特別寄稿

はじめに       

 

2008年4月17日、この日は私にとって生涯忘れることのできない日になりました。

 弁護士生活30年の私が、生まれて初めて裁判の当事者(原告=控訴人)になり、その法廷で、自衛隊イラク派兵を憲法違反と断ずる名古屋高等裁判所判決を聞いたからです。

 ちょうど4年前の「イラク人質事件」でイラク戦争が「我がこと」となりました。そのあと甲府での同種訴訟の代理人になったものの、裁判所からは言わば、こけにされたような扱いをされました。「このままで引き下がるわけにはいかない」「せめて一矢を報いたい」との思いで名古屋訴訟の原告に応募したのです。

 その法廷で6回の口頭陳述をして裁判官に迫り、名古屋の中心的弁護団・原告団メンバーの次くらいにはかかわってきた私でしたから、読み上げられる違憲判決にこみあげる感激を押さえることができませんでした。まさに、歴史を動かす場面に立ち会えたのです。その直後、「控訴人 毛利正道」の名が本文に入った第6次訴訟の判決文(巻末収録)を手にしたときの思いは、ひとしおでした。

 翌日から、イラクからの撤退を勝ち取り、平和的生存権を法的権利とまで認めた画期的判決の意義を広めるため、訴訟の会の一員として長野県内はもちろん、千葉・東京・埼玉・群馬・新潟での判決報告会で十数回の講演をさせていただきました。ほとんどのところでかつてないほどの盛況ぶりで、この判決の力をひしひしと感じました。

 本書は訴訟の会とは別に、私の特別な記録としてまとめ刊行するものですが、最新版の判決報告会講演録をメインに構成してありますので、名古屋高裁違憲判決の学習資料として活用していただけるものと思います。これに続いて私が裁判所に提出した書面については、重複しているところがありますが、資料としての性格上お許しください。

 本書には、イラク訴訟とは一見関係がないようにみえるいくつかの講演録・論説も入っています。それらは、イラクから帰還した自衛隊員の自殺者が著しく多いことを問うたイラク法廷での私の陳述から「発展」し、自殺という平時=日常における犠牲までも問う平和論でなければ力がないのではとの思いから、戦時・平時を問わず、人びとにとって毎日が平和であることこそ求められるべきものとの思いで論じているものです。そして、本書の題名にも用いている「つながる」ということに、私が特別な思いを抱いていることをご理解いただければ本望です。

 本書についてのご感想・ご意見をいただけると幸いです。今後も、判決報告会やフィンランド視察報告会などにお声をかけていただいたときには、できるだけご要望に添うようにしたいと思います。よろしくお願いいたします。刊行に際し合同出版の編集長坂上美樹さん、三浦早良さんには大変お世話になり、まことにありがとうございました。

 

2009年2月 毛利正道