朝露に濡れたイタヤカエデの根元に、一匹のアブラゼミが腹を見せて死んでいた。いつもなら夏の間に、少なくも数回はこの木にやって来て、元気に夏を歌うアブラゼミなのに、今夏は全く聞くことはなかった。
 それにしても、里でセミの声を聞かなくなって、もう何日も経つ。「おまえさん、まだソコにいたのかい」。行く夏の情景は、いつも少し寂しい。

2009年9月12日(土)

戻る

惜桜小屋絵日記