冷たいこぬかあめが音もなく降る小屋の森は、湖風(うみかぜ)が運んだ霧に煙っている。けものみちが通う森の木々はきれいに枯葉を落とし、墨絵のようなモノトーンの世界が広がっている。
 ただ、林床に厚く積もり橙、赤、黄、茶に彩る落葉は、暖かそうに大地を覆い、冬を迎える仕度はすっかり整った。
 けもの道「しし街道」を行く息が白い。踏みしめる湿めった落葉はサクッ、サクッとささやくがごとく小声である。

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惜桜小屋絵日記

2008年11月27日(木)