立冬も過ぎ、霜降る寒気も度々というのに、ジョロウグモがまだがんばっている。サワラの下枝に絡めたネットに、色鮮やかなメスが長い手足をくったくなげに伸ばし、静かに獲物を待っている。
パンパンに張って重そうな腹には、1000個を超す卵が、ぎっしりつまっているのだという。
最近は網にかかる獲物の姿もとんと見られなくなった。ここらが産卵の潮時かと思うけれど、女王様の心の内はどんなだろう。
子孫を残す行為が、自らの死期が迫ることを意味するとすれば、黄や赤の極彩色に彩られた姿が、思惟する哲学者の風貌に見えてくる。
惜桜小屋日記
2008年11月10日(月)
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