惜桜小屋日記
2008年9月9日(火)
惜桜小屋はまだ深い緑につつまれている。
しかし、賑やかだった野鳥のさえずりはない。時折鳴くミンミンゼミとエゾゼミの声にも力はない。鳴き交わす仲間も絶えてない。
かすかに地鳴きを交わしながら、葉陰に見え隠れする鳥影は、あそこにもここにもというほど濃いけれど、どこか密やかである。
まだ夏の厳しさを宿す日差しに比べ、頬をなでる風は移ろう季節を奏でている。
「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞ驚かれぬる」(古今集)
かすかな自然の移ろいを肌に感じるところに、小屋の魅力がある。