みのわ菜園にむかう峠路にオオマツヨイグサ(大待宵草)が2株咲いている。柄のない黄一色の大きな花が、濃い緑の山野でひときわ目につく。
 月見草、宵待草という文学的な俗名をもつけれど、本来のツキミソウは白い花で別にあり、ヨイマチグサという名の花はない。
 それでもこのおおらかなたたずまいは月見草や宵待草の名がしっくりくる。太宰治が「富士には月見草がよく似合う」と書いた花は、このオオマツヨイグサといわれる。
 北米原産の園芸種が明治初年に入り、野生化した帰化植物。ひところは植生荒廃の元凶みたいにいわれたけれど、最近あまり見かけなくなって寂しい気がする。
 いよいよ夏本番を迎えたという感懐なのか、昔日の郷愁なのか、この時期いろいろ花は咲くけれど、なぜかこの花はなつかしい。
 
 

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惜桜小屋日記

2008年7月5日(土)