まだエゾハルゼミが鳴きやまない小屋の森を散策していて、サイハイラン(采配蘭)2株を見つけた。この森では新顔である。すでに花期を終え、名残りの花が崩れそうになっていた。
厚く積もった落葉を割って1枚の葉が伸び、その生え際から立ち上がった茎の先に、10個ほどの淡い紫褐色の花がついている。花の姿が、むかし武将が戦場で使った采配に似ていることからサイハイの名がついたという。花期は5
, 6月というから惜しいことをした。
それにしても毎年と言っていいほど珍しい野草が顔を見せる。もちろん消えるものもある。
ケモノが通い、鳥が歌う、虫が飛び交い、木々が茂る― 互いにかかわりあいながら植生も少しずつ変化してゆく。森が生きている証(あかし)でもある。
惜桜小屋日記
2008年7月2日(水)