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惜桜小屋日記

2008年5月22日(木)


 南アルプス最北端・守屋山(標高1650m)のブナ林は、ようやく新緑の季節を迎えている。緑がかった地衣類が独特の絵模様を描く、灰白色のなめらかな木肌は、どんな樹より美しい。雪や風に歪められ変形した幹と、太い根がしっかり大地を抱えた姿は、生命力にあふれている。
 そういえば、ここへ来る登山道脇のブナの根元の祠に、石造【写真】が立てかけられていたのも、この生命力を畏怖畏敬する気持ちからか。
 やわらかな若葉が、さわさわと風にそよぐ無慮30本近いブナ林は、深いやすらぎに満ちて、夏日となった下界をよそに、流れる涼風が頬に心地よい。
 登山道が通る雑木の森林ではエゾハルゼミが鳴き始めている。

 下山の途中、麓に近い牧場跡の草原で、餌をあさるアナグマと遭遇した。クマの名がついているがイタチ科の小型動物で、ネズミや昆虫、ミミズ、穀物など雑食性。トウモロコシ畑を荒らし農家を困らせることもある。しばらくカメラにつきあったあと、別段あわてる風もなくノソノソと雑木林に消えた。
 
 

※上の3枚はクリックすれば 大きくなります。

エゾハルゼミのぬけがら

草原で餌をあさるアナグマ