この白い衣装を、巫女(みこ)さんの装束に見立てた水鳥のミコアイサ(おす)が、峠近くのため池に2羽で泳いでいた。
目の周りが黒く縁どられた愛嬌ある風貌から、パンダカモとも呼ばれる。ユーラシア大陸北部で繁殖し、日本には冬渡って来るけれど、あまり多くは見られない種類と、愛鳥家の話である。
里山を散策していて出あったこの珍客は、得意とする潜水術を披露することもなく、北帰行を前にのんびり羽根を休めていた。
そういえば、諏訪湖のコハクチョウは、きのう第一陣約100羽が北へ旅立った。時を同じくし、招かざる春の使者「黄砂」が、はるばる日本海を越えたどりついている。
去るもの、来るもの、移り行く季節の鼓動が聞こる。