夕暮れの惜桜小屋から見上げた空に、上弦の月(正確には明日)がくっきりと浮かんでいた。すでに光を失った木々の梢に囲まれて輝く姿は、別次元の存在に思える。山あいに見える諏訪湖対岸の山の端(は)も、日没前の太陽に明るく照らされているけれど、ここ小屋の森にはすでに寂寥たる夕闇が迫っていた。
午後4時を過ぎてから、600mほどの林道を歩いて小屋まで上った。冬の小屋は散策の折り返し地点となっている。
道筋のトウヒ林にある知人のホダ木に、昨秋取り残したシイタケが出ていた。コブシ大のものも二、三見える。温暖化とやらで何でもありの最近は、こうした風景も違和感なく眺められる。