澄んだ秋空に誘われ、久しぶりに高原へ足を延ばした。
里山より一足早く、モミジやヤマブドウの紅葉が始まっている。
山道を覆うツルにからんで、ほのかに色づくマタタビの実に、つい食指が動いて、二、三個口に放り込んだ。少しの甘みとひりひりする刺激に、それなりの薬効?を感じとる。
重い病の旅人がこの実を食べて「またたび」をした、という故事に背中を押され、勾配のきつい往復8Kmのトレッキングコースを何とか踏破したけれど、気がつけば足のふるえがとまらない。
それにしても、あっけらかんとした青空を見上げれば、まだ秋の憂いはどこにもない。