いつまでも蝉時雨がかまびすしい。いや、賑やかい。
人により、気分によっては、頭が痛くなるほどの喧騒に聞こえるらしい。が、私にとっては懐かしくも、心やすらぐ森林(もり)の歌声である。
現地監査を受けるため、山の奥まで分け入った。どこまでもついてくるエゾゼミの大合唱がまだ夏を引きずっている。
松の幹や雑草の葉陰に、たくさんの抜け殻が目につく。今年は大発生の周り年らしい。
今夏は我が家のイタヤカエデやサワラにもヒグラシ、ミンミンゼミ、アブラゼミが、入れ替わり何度もやってきた。
蝉を堪能し、真夏日の酷暑もいやというほど味わった。夏と心置きなくおさらばできる気分である。今年ほど秋が待ち遠しい年は、近年珍しい―。