つい二、三日前、いつも詰めている事務所に、つぼみの状態で持ち込まれたダンコウバイが、またたくうちに花を開いた。
材に芳香があるところから「壇香梅」の名がついた、とは聞いていたけれど、花の香りがこれほど強烈とは知らなかった。
閉ざされた室内だから余計に匂うのだろうが、入室した途端クラッとするほどの、芳(かぐわ)しい香りが充満している。
まだ芽吹き前の森に、マンサクに続いて咲くのがこの花だけれど、森のダンコウバイが花をつけるのは、例年だと4月に入ってからで、マンサクが僅かしか見られないこのあたりでは、このダンコウバイが森の春告げ花となっている。