紅葉狩りをしていて、人里から数キロメートル入った山道に、人懐かしげな視線を向けてたたずむ、一匹のネコを見た。
ノネコでないことは、その穏やかな表情から見て取れる。
観光道路が近い。行楽客が車で連れてきた飼い猫を、厄介払いしていったのだろう―とは容易に想像がつく。
以前、子育て中のノネコに出くわしたことがある。威嚇してくるその形相、うなり声は猛獣そのもの。怖かったのを覚えている。 この捨て猫?も、生きていくために野生の猛々しさを取り戻し、近づくものを威嚇する日がくるのだろうか。
森の中でネコひとり何を思う。
とりあえず秋晴れの紅葉の輝きが救いに思えた。