夜明けに間がある薄闇の中、雪かきに出向いた地区公民館の庭に、点々と一直線に進むキツネの足跡が残されていた。
建物をぐるっと回り、隣接する民家の庭先を、トコトコ抜けて、闇の向こうに去っている。
数百メートル離れた、諏訪湖西山の森と、その山ろくの丘陵地に住む狩人キツネが、夜陰にまぎれて村の中心部まで、餌を探しにやってきたのだろう。
雪でも降らなければ、痕跡が残らないから知らないでいるだけで、人々が眠りについた暗闇のすぐ隣りには、野生の意外な別の世界があるのです。
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惜桜小屋日記
2006年2月9日(木)