冬晴れに風もない小屋の森は、根雪の上に前夜舞った薄雪を敷いて、光あふれる穏やかなたたずまい。
 惜桜小屋を訪れたのは、およそ一ヶ月半ぶり。身辺をとりまく環境に変化があって、なんやかや忙しく心にゆとりもなかったのと、暮れに降った雪がはばんだせいもある。
 早々襲った暮れの大雪で冬囲いが間に合わなかったデッキは、数センチの雪氷で覆われていたけれど、雪原で野営していると思えば苦もないこと。椅子とテーブルを持ち出し、友だちと2人で焼肉会としゃれ込んだ。
 やや強引な設定とはいえ、マイナス1度の気温の割には無風、日差しが幸いし、それほど寒さは感じない。
 山あいに諏訪湖と対岸の街並み、その奥に雪をいただく鉢伏の山並がくっきり。寒の空気はどこまでも澄んでいる。
 林内の残雪に残されたリス、ヤマドリの足跡や、小鳥が羽ばたいて残した雪の紋章は、生き物たちの存在証明でもある。
 ただあの狩人狐とノウサギの足跡が見られないのは寂しい。
 帰りに麓の土手でもう花をつけたフキノトウを見つけた。
 もうすぐ立春である。

 
 

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惜桜小屋日記

2006年1月28日(土)