田んぼの道を歩いて、かつての雀の大群が見られない。
追われても、脅されても、チュンチュンはしゃぐ雀の群れは、いったいどこへいったのでしょう。そういえば、ドカンドカンと大きな音で追っ払うカーバイトの爆音も、とんと聞かれなくなりました。
丹精込めた稲穂を食い荒らす、あの怒涛のような大群を、正義という度胸はないし、取れ秋の主役が欠けているようで寂しい気がする、などと言えば、雀を天敵とする稲作農家の皆さんからは、キツイお叱りを受けそうなことくらい、心得ています。
古びた街並みを前に「古きことは懐かしきかな」と、旅の抒情を文学につづったのは、自然主義歌人の若山牧水です。これとても実際に住む身には、冗談じゃない、できれば明るく使い勝手のよい新しい家に住みたいよ、が正直な感想かもしれません。
いずれも当事者にとっては、傍観者の気ままな感懐、懐古趣味にすぎない、というわけです。
それにしても、雀のかわりにハトやカラスの群れが、落ち穂ひろいとは。オイオイ!!、この絵柄のどこに季節感を感じろと。