標高1400メートル付近の登山道を歩いていて、友人がアミタケを見つけました。印象としては時期はずれの秋の味覚だけれど、念のためあたりを探して、ごく小さなものも含め10数本を見つけました。
「やっと夏本番なのに気の早いキノコもあるもんだ」
「このキノコは今ごろから出てもおかしくはない種類だよ」
山みちを歩くときの私の関心は、森の中に身を置く心地良さにあるけれど、友人の興味はもっぱら山の幸に向いて、シーズンには数メートル先の小さなキノコを、苦もなく見つけてしまう特技があります。
時期はずれといえば、一昨年の六月、群生するキノコを見つけて買物袋いっぱい持ち帰り、友人を介してキノコ鑑定士に見てもらったら、食べられるフミヅキタケでした。
図鑑で採取時期をみると、アミタケは夏から秋、フミヅキタケは春から秋。土用マツタケは七、八月。先の鑑定士も当時「キノコだったらもう五月から採っている」と、平然と話していたという友人の話を思い出しました。キノコは秋の味覚とは限らないようなのです。
とはいえ味はやはり、秋の旬のものにかぎります。
昨年の今ごろ、土用松茸を食べる機会があったけれど、風味も感じなければ歯ごたえもパサパサ。取り柄は珍品というだけでした。
そんな思いもあって、一応リュックに入れて持ち帰ったものの、夕食の味噌汁の具は、採りたてのナスに軍パイが上がったのでした。
惜桜小屋日記
2005年7月23日(土)