朝方までのドシャブリ雨も、八時を過ぎたころには上がって、西の空の一部に青空も顔をのぞかせていました。
「傘をさして山みちを歩くのもたまにはいい。広い林道なんでなんら支障はないから」
「アジサイは梅雨空のほうが映えるだろうし、まごまごしていると散ってしまう」
 というわけで、まだ盆地にフタをしている厚い雨雲が、時折り雨つぶを散らす中、予定通りコアジサイとツルアジサイを見る散策を強行したのです。
 小屋の森から少し離れた山みちの両斜面に、およそ500メートルにわたって、コアジサイが群生し、淡いブルーの花を咲かせています。地元の人たちもあまり知らないらしく、我々のほか花見客?の姿はありません。私もつい数日前にひとりで散策していて見つけたばかり。あまりすばらしかったので、友人を誘ったのでした。
 時折り雲間から差し込む、夏の日差しを浴びた花は、透明感にあふれてすがすがしく、思わず嘆声が上がったほどでした。
 山みちが頂上に差し掛かるあたりの、明るい林の中にツルアジサイは咲いていました。
 ツル状の幹からたくさんの気根を出し、松やカラマツを10メートル近くはいのぼって、白い花をいっぱいつけています。深緑とのコントラストがなんともいえないほど鮮やかです。
       

 まだ湿った林間にビニール袋を敷いて、おにぎりをほうばって昼休みしたあと、さらにフィトンチッドをたっぷり浴びながらの森林浴を続けたのですが、道沿いにクマイチゴ、モミジイチゴ、山桜の実、山桑の実を見つけると、思い思いにほおばって、野の幸をたんのうしました。
 

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惜桜小屋日記

2005年6月30日(木)