すっくと立ち上がった、灰白色の茎と葉に、円錐状の黄色い花をつけたビロードモーズイカ【写真】が咲き始めました。
 明治の初めに渡来した、欧州原産の帰化植物。観賞用だったものが野生化し分布を広げています。
 この地方でも十数年前から目立ちはじめ、今ではお盆過ぎ残暑が遠のく頃にかけ、道路脇で普通に目にするようになりました。
 園芸種としての出自は争えず、姿かたちはやはり、ともに咲くほかの雑草とは一味違って立派です。
 私はこの花が登場すると、そこはかとないある季節を感じます。
 新春のオオイヌノフグリ、春告鳥のウグイス、初夏のカッコウ、真夏のヒグラシなど、ハッキリした季節をイメージさせる生物ごよみと違って、この花は"暖かな季節"とでも言ったらいいでしょうか。
 秋も深まるころ、この花の枯れ姿を見ると「今年も暖かい季節は終わったか」と感慨を覚えます。
 だからつゆさなかの夏至近くこの花を見ると、もう行く夏を連想してしまう、なんとも不思議な花です。
 
 

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惜桜小屋日記

2005年6月17日(金)