近くの里山に、延長およそ2キロメートルに及ぶ散策路ができたので、さっそく歩いてみました。薫風に若葉がさえずる山みちは、ただ歩くだけで心が解き放たれ、満たされた気分です。
 安い外材に押されて苦境にある林業経営を、ひとまず脇において、森を地域住民の憩いの場にという林野農協の新しい試み。それには気軽に森を歩くことのできる山みちが必要―と、昨年から取り組んでいるフォレストコミュニティ事業の一環。当面予定した全線がつながったのがつい二、三日前とのことです。
 エゾハルゼミが、本格的に鳴き初め、独特の節回しで"シュワー、チュワー、初夏だ、初夏だ"と歌っています。
 若葉色した森のキャンバスを、白やオレンジに彩るアオダモやヤマツツジ、レンゲツツジ。山歩きを一層楽しくさせてくれる道の端のフタリシズカやマイズルソウ、アマドコロといった山野草の花々。秋には、ぶどうの房のような実をつけるマツブサが、木にツルをからませ、実りの秋も楽しみです。群生するシダやヤブレガサは、山みちのアクセサリーといったところでしょうか。
 雑木の林、赤松の林、カラマツの林を通って、時には稜線を時には山腹を抜けてゆく。落ち葉が厚く積もったふかふか道もあれば、大型重機のえぐりとった生々しい傷跡も残されています。
 なんといってもまだ、とりあえず道型がついただけの状態。荒削りの現状を目にすれば、いろいろ異論もあるだろうけれど、歳月が森と同化させてくれるでしょう。
 今里山に必要なのは人の足音のような気がします。

 

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惜桜小屋日記

2005年5月29日(日)


【写真上は開設されたばかりの散策路(林道)、写真右上からカラマツ林をゆく山みち、若葉の緑に純白の花が映えるアオダモ、樹間を赤く彩るヤマツツジ、ヤブレガサ、フタリシズカ、シダの群生、湧水の水溜りに育つオタマジャクシ 】

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