今年初めて聞くカッコウ(郭公、古名/閑古鳥)が、ふもとの丘陵地を山すその水源地まで走る電線にとまって、しきりに鳴いています。

 うき我を寂しがらせよ閑古鳥(かんこどり)  芭蕉
 芭蕉はじめ俳句の世界では、カッコウの鳴き声を寂しいもの、人生の無常を感じさせるもの、ととらえているのが私には不思議です。
 カッコー、カッコー、カッコー、カッコー・・・・
 子どものころ、夏になると対岸の山から、日がな一日聞こえるこの鳥の、物憂いほどに単調で長閑(のどか)な鳴き声が印象にあって、郷愁をかき立てずにおきません。里山に明るく谺(こだま)する、青葉若葉の似合うカッコウの鳴き声も、その時々の人の気持ちによって、感じ方が随分ことなるということでしょう。
 カッコウはツツドリ、ジュウイチ、ホトトギスと共に他の鳥に子育てを任せる托卵鳥。小屋の森の木々が大きく育ち、預け先のモズ、ホオジロ、オオヨシキリなど、本来草原に住む野鳥が住みずらくなったため、最近は小屋の森ではとんと聞かれなくなっています。
 小屋で聞くカッコウは、ふもとで遠く鳴くこだまなのが残念です。
               

戻る

惜桜小屋日記

2005年5月17日(火)


アマドコロ