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惜桜小屋日記

2005年4月28日(木)


 里では夏日にもう一歩の24.6度、小屋の森も昼ころには20度を超え、日差しも濃く木陰が恋しいほどの暑さとなった。
 友人を誘って、小屋のホダ木でシイタケを30個ほど収穫し、デッキにくつろいだ。
 「ともかく暑い」
 「ウン暑い。たまらん」 
 ギョウジャニンニクの若葉を摘んで、シイタケと一緒にアルミホイールに包み、有り合わせの味塩をふりかけ、ガスコンロでボイル。
 まだ昼前だったけれど、クーラーボックスに用意の缶ビールで乾杯となったのは、しごく自然のなりゆきだった。
 「うま〜い」
 シーシーシー まるで虫の音のようなヤブサメの鳴き声を、今シーズン初めて聞いた。日本で最も小さい部類の夏鳥だ。 

 帰りの山みちで、かがみ込んで何かを掘っている男性がいた。
好奇心もあって、気軽に声をかけてみた。
 「コゴミの根を植えている。いつも採っている場所の、混み合っているのをおろぬいて、増やそうと思ったんだが、ここまずいですかね」
 逆に問いかけられてしまった。
 来年のことなど考えず根こそぎ採ってゆく、山菜取りのルール違反が話題になる昨今、増やそうという趣旨に異論はない。
 だがこういう場合、どう考えればいいのだろう。
 簡単に思いつくのは、山菜苗の採取に無理がないこと、植えようとする山野の持ち主の意向、植生に悪影響がないか―などだが、結局はその人の志がどこにあるか、につきるのかもしれない。

 この日、山麓を歩いてアズマイチゲ、ニリンソウ、ヤマエンゴサクの花々をたんのうした。


 

上左からアズマイチゲ、ニリンソウ、ヤマエンゴサク 下右はコゴミ
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