自宅二階のデッキに立った。6時15分、快晴の空には雲ひとつ見えない。
八ヶ岳の稜線がわずかに白んだ。ぐんぐん光を増してゆく。
半分ほど顔を出した朝日は、さえぎるものもない、圧倒的な光の拡散によって、もはや正視できないくらいまぶしい。
東の山並みが一瞬光に隠れ見えなくなった。あわててデジカメのレンズを横へはずした。そんな必要は全くないのに、殺到する光の迫力に、押しまくられてしまった感じである。
天空に描いた半円の黄金の光背、手前に伸びた放射状の光跡と逆光に鎮まる遠近の山並み。ほんの数秒に凝縮された大自然の荘厳な営みを、真正面から見つめる機会など、最近はないことだった。
身を心を正されるような、感動にひたるひとときだった。
古来より、お日様は万物をはぐくみ、生命力や美の象徴とされてきた。
太陽に神を見た、神代の時代の人々も、たぶん同じ気持ちだったのだろう。