水ぬるむ陽気に誘われるように、近くの河原の土手に群れ咲いたオオイヌノフグリに、小さなミツバチが二匹やって来た。
澄んだコバルトブルーの星屑を、地面いっぱい散らしたような花から花へ、蜜を求めて急がしそう。小さな花のわずかな蜜をかき集める、気の遠くなるような作業だが、ひとときも休まず元気に飛び回っている。
気温も上昇した昼下がり、大らかに開いたオオイヌノフグリの花びらは、早春の日差しを浴びて、眩しいくらいに輝いて見える。その脇にはノボロギクが黄色い花をつけ、早春の野辺に彩りを添えている。
「やあ、今日は暖かくて気持ちいいね」
デジカメを操る脇を、自転車の顔見知りがひと声かけて通り過ぎていった。
三寒四温の季節の足取りは、着実に春本番に向かっている。