近くの里山で、木の実のマツブサやチョウセンゴミシをたくさん採った。真紅と濃紺の色は違うけれど、両方ともつるを雑木にからめて伸び、秋の深まるころブドウそっくりの房をつける。
太いツルだと一本で両手いっぱいの収穫がある。そんなつるを林縁部のあちこちで何本も見つけた。
房を持ち帰り、実だけもぎ取って三倍のホワイトリカに漬け、氷砂糖をわずかに加え、密封して保管した。
マツブサ酒、チョウセンゴミシ酒ができあがるのに、およそ三ヶ月もあればよいから、暮れには試飲できる。
チョウセンゴミシ酒は琥珀色に熟成し滋養強壮、疲労回復、咳止めに効く薬用酒だけれど、ウメやカリンをはるかにしのぐ美酒として知られる。
マツブサ酒は肉肌色に仕上がり安眠に効くという。
自然の中の木の実は、そのまま食べても酸味があったり辛味があって、けして美味しいとはいえないけれど、"時"とアルコールを加えることによって、芳醇な果実酒に熟成する魅力がある。