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2004年5月2日(日)
桃太郎
諏訪湖西山の森のふもとの畑地iに住みついているキジが、今年も頻繁に姿を見せるようになった。
大きくて真っ赤な鶏冠(とさか)と、重たげに垂れ下がった翼をまとい、立ち居振る舞いも、堂々とした、熟年のオス雉-。
畑地に残された野原か、近くの雑木林で子育てに入っているようだ。
繰り返し目にし、親しみを覚えるようになると、「あの雉」とか「あれ」とか、他人行儀な呼び方がはばかれる気分になって、つけた名前が桃太郎。
鬼ヶ島へ鬼退治に行ったときの"主人"の名前だけれど、この姿を見れば、もう立派な主役といっていい。ヒメドリコソウやナズナの咲く野原で、背伸びしてあたりをうかがう姿【写真左】は、「世はこともナシ」。食べ物を求めて畑のへりを歩く姿【写真右】は、さすが国鳥の貫禄というべきか。
畑仕事の人影が現れると、ぐっと姿勢を低くして草むらにからだを沈め、一応警戒のポーズをとったりするけれど、危険が去るとすぐ現れて、ゆったりと雄姿を草むらに漕ぎ出すのである。
できればこの平和な光景がずっと続き、つつがなく子育てを終えてほしいと想う。この先、桃太郎に"何も起こらなければ"、つゆどきには、ヒナ鳥を従えたメス雉の姿が見られるはずだ-。
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2004年5月1日(土)
新緑 薫風
初夏に向かって、日に日に木々が輝きを増している【写真右】。
惜桜小屋の森は、これから梅雨に入る六月初旬まで、一年中で一番気持ちの良い季節-。
早春の森を彩ったダンコウバイやジシャ、コブシの花が散ってすでに一週間余。今は若葉のキャンバスに薄紅色を散らしたような山桜が真っ盛り。
そのかたわらでチョウジザクラがひっそりと花期を終えた。穂のように咲くウワミズザクラも、ようやくつぼみがふくらんできた。葉が開ききったあと、楚々とした純白の花をつける、遅咲きのミヤマザクラのつぼみはまだ小さい。
ミズキにからみついたミツバアケビ【写真左】は黒紫色の個性的な花をつけた。鮮やかな紅色をした大きな花が雌花、先端にかたまって咲く小さい花が雄花だ。普通のアケビ【写真中/S・Yさん画】は葉が五枚あり、花も淡紫色をしている点が異なる。
栗の木陰にシュンランが蝋細工のような花をつけ、遊歩道脇のヒトリシズカは賑やかに群れ咲いている。タチツボスミレは、畳一畳ほどのスペースを薄紫に染め上げいまが盛り。
軒下のヤブレガサは雨もないのにパッと開いて愛嬌たっぷり。シロバナエンレイソウは今年も十数株が花をつけた。
野鳥のサエズリもがぜん賑やかになってきた。
ツツドリは遠く近くポンポンポンとひっきりなしに鳴き暮し、三鳴鳥に数えられるオオルリも加わった。チブチブジーと渋いノドを聞かせるセンダイムシクイ。まるで虫の音のようなヤブサメは、シーシーシーとか細く鳴きながら地面を這うようにすばやく移動し、忍者のように姿を見せない。
まさに小屋の春は爛漫である。
惜桜小屋日記
2004年5月1日(土)〜5月2日(日)