小屋の森につづく林道の上り口に、一羽のニワトリがいました。きのうの夕方のことです。元気な様子ですが、緑の林に囲まれた慣れない環境に、少しとまどっている風です。
地面をつついてエサを探すしぐさも、気もそぞろにしかたなく格好をつけている、といった感じです。自分の置かれた立場を本能的に感じ取っているのか、わけが分からないままとりあえず時間かせぎをしているのか、伸びた雑草に足をとられそうになりながら、ゆっくりゆっくり歩いて、時おりクチバシで地面をつついています。
ペットとして、あるいは食用として飼っていた生き物を、あきたからといって野に放す人たちが絶えませんが、このニワトリもきっとその類なのでしょう。天敵がいなかったり、逃げおおせる術をもっていたり、よほど生息に適した環境なら、生きのびることも可能でしょうが、このままではニワトリの運命は定まったも同然です。
今朝改めて行って見ると、ニワトリの姿はありませんでした。
あたりに特別争った様子も見えないので、なにがあったかは分かりません。道沿いにほかへ移動したのかもしれません。
ただ、ここはキツネの通り道ですし、獰猛なテンも住んでいます。遠かれ早かれ、悲劇的な最期を迎えることはさけられないでしょう。
惜桜小屋日記
2005年7月10日(日)