解説

 道徳的に悪い金持ちが臨終を迎えている。テーブルの下には金の入った袋があり、一匹の蛇が悪のシンボルとしてとぐろを巻いている。彼の上で二人の悪魔が彼の魂をもぎ取ろうと試みている。左側では、ラザロもまた臨終である。だが、アーモンド(の殻)によって保護されている。右側、ラザロが天使の膝の上にいる。天使は悪の金持ちを指さして非難している。

解説

ガニメドの誘拐(もともとはギリシャ神話)

 (古代ローマの詩人)オウィディウスが「変身物語」のなかで述べているように、ガニメドは若い羊飼いであった。非常に美しく魅力的であったので、(最高神)ジュピターが鷲に変装し、彼をさらい、愛人にするためにオリンポス山に連れていこうとして襲い掛かった。哀れなガニメドの飼い犬がせせら笑う悪魔の目の前で、彼を引き留めようと試みる。

他人様のホームページだが、

HICSUM HICMANEOがもっとも詳しい説明だと思う。
『欧羅巴の旅』の中のフランス・ヴェズレーも素晴らしい。

ご参照乞う。

右はhicsum-hicmaneoからお借りしたサント・マグダレーナ・バジリカ寺院の柱頭彫刻配置図でありますが、このHPにはすべての柱頭彫刻が網羅されている。とはいえ、詳細説明がないので、なにが描かれているのかわからない。そこで、15696261につき「Vézelay」という本から解説を抜き出し、翻訳して載せておきました。

 こういう風に、各柱頭の解説を翻訳して写真と引き合わせて日本語ガイドブックを作る必要がある。後日、やってみよう。

なお、ガニュメーデース-Wikipediaを参照せよ。

ヴェズレー - 柱頭彫刻(資料)

61  金持ちとラザロの死 - La mort du riche et de Lazare
        (
関連柱頭29も参照のこと)

注:ラザロはイエスの友人でマリア・マグダレーナの弟。イエスが蘇生させたラザロ。

62 「神秘の粉挽き機」Le moulin mystique

説明

この彫刻の解釈では、旧約聖書から新約聖書への移りを示す、とされています。左側にいる短い衣を着て靴を履いている人物(モーゼ)が小麦の粒を臼に入れて いる。その臼には十字架を象徴する車輪が見えて、それがキリストを意味している。右側にいる人(聖パウロ)は、裸足だけれどゆったりとしたトガを着て、臼を通って小麦粉になったものを受け取っている。

69  ガニメドの誘拐- L'enlèvement de Ganymède

この柱頭には、三人の人物が描かれている。:悪魔、高く結い上げた髪の女性、ならびに一匹の蛇である。女性は裸で、激しく乳房をねじっている最中である。その間、一匹の蛇が彼女の脚に巻き付いている。これはロマネスク・イコノグラフィー(図像学)のなかでの習慣的な表現法で、七つの大罪の一つ、「淫欲」を意味する。このコルベイユ(かご)の反対側では、悪魔が身体のなかに剣を突き立てている。彼は知能程度の低い狂人であり、狂犬のような言葉を発している。いずれも、狂気でもあり悲嘆でもある図像である。

15 色欲と絶望 - La luxure et le désespoir

解説:

Vézelay
Éditions La Pierre d’Angle – Magasin monastique
ISBN: 978-2-9538318-1-8/Édition française/juillet2011
P48から

画像:一部改変