2011年10月

<「もったいない」>

ケニアの元副環境相でノーベル平和賞受賞者ワンガリ・マータイさんが、先月末に亡くなられました。
砂漠化するアフリカに木を植えて
森林保護と農地の保全につなげるグリーンベルト運動を主導した女性活動家です。
たった7本の植樹から始まった活動は、アフリカに留まらず、世界中に広がりました。

そのマータイさんが、6年前に来日した際、
日本語の「もったいない」との言葉に出会い、
「人やものに感謝する『もったいない』精神を世界中に広げていきたい」と、
自らの環境保護活動に活用されました。
マータイさんと「もったいない」との出会いは、
マスメディアによる仕掛けがあったとは聞きますが、
その後のマータイさんの呼びかけでこの日本語は、「MOTTAINAI」という国際語としての地位を得ています。
放射能が自然豊かな国土を汚し、
人が住めない地域まで作ってしまった原発事故に直面した日本人こそ、
今、この「もったいない」という言葉を大切にすべきなのではないかと思います。

国民一人当たり年間170キロ、日本全国では2,189万トンもの食品廃棄物を出しています。
世界で一番食べ物を捨てている国が日本だといわれています。
飢えや栄養不良による病気で毎日3万人、
年間1,000万人もの子どもたちが命を失っている時代というのに・・・・。
食べ物だけではありません。
電気もガソリンも、あって当たり前。
まだまだ使える日常用品も家電も、壊れてしまえば直すより、買い替えがお得。
そんな豊かな生活に慣れすぎて、
生活のあちこちに無駄があり過ぎ、ごみを増やしていないでしょうか。
無意識のうちに大量消費の生活に陥っていることを省みて、
私たちは厳しい自然環境と、限られた資源の中で生かされていることを、
もっと考えなくてはならないと感じます。
豊かで安心して暮らせる社会とは、
決して物質面での豊かさを追求した先に得られるものではないはずです。

マータイさんは、
「何かを変えようと思ったらまず自分自身を変えることです」という言葉も残しています。
暮らしの中の「もったいない」を、私も常に見つけたいと思います。