2008年12月

<「お弁当持参」で自己防衛>

最近、サラリーマンやOL「お弁当持参」派が増えていて、
不景気の中、お弁当箱だけは売り上げを伸ばしているという話です。
今までお昼を外食していた人たちの4割が、
ここ数ヶ月でお弁当を持参するようになったと、とあるテレビが伝えていました。
ガソリンや灯油の価格が下がってきたとはいえ、
食品から日用品に至るまで値上げのラッシュが続く一方で、所得は上がらない。
サラリーマン家庭でも色々なところで家計をやりくりせざるを得ない中、
真っ先に削減の対象になるのが「お父さんのお小遣い」で、
減らされてしまったお小遣いでは毎回1,000円近い外食は無理なので、
愛妻弁当持参か、五百円玉ワンコインで買えるお弁当やさんが繁盛していると。

「お弁当持参」は、節約という理由の他に、
「今は汚染米や産地偽装の食品の氾濫で、食の安全制を考えると不安ばかり。
お弁当なら、100%とまでもいかないけれど、ある程度は安心」と、
食の安全も理由にあげられています。
産地偽装や賞味期限の改ざん、農薬入りの輸入野菜や食品、汚染米など、
ここ一年を振り返っただけでも、食の安全に関わる問題がいくつも取りざたされたことで、
消費者の食に対する危機感が随分高まりました。

それでも、消費者が国産品や地場品購入をこころがけ、
ひとつひとつの食品の表示内容まで確認してから購入しようとしても限界があるし、
「本当に安心・安全なものだけを口にするとなれば、土づくりや肥料づくりからはじめて、自給自足しか方法はない。
それは不可能に等しい」となってしまいます。
ましてや、この物価高の昨今。
こだわって良いものを購入するには、経済的にも大変です。

たとえば汚染米について、保管中の汚染米の有害性を認識しながら、
食の安全を確保することよりも早期処分を優先させたことにより、
汚染米の食用への流通防止のための有効な手段を何一つ講じなかった農林水産省=国の姿勢を正すことがなされなければ、
「食の安全」は確保されません。
お米だけではありません。
食品衛生法違反の農産物の「非食用」輸入が常態化しています。
飼料や工業用のりなどの「非食用」名目で
食品衛生法違反の米、トウモロコシ、小麦などの農産物が3万8,000トンも輸入されており、
それらが、食用に転用する防止策もとられないまま、国内市場に流入していたことが明らかになりました。
懸命に自己防衛に努力する国民と同じ目線を、政府与党に持ってもらわなければ、
私たちの命と健康さえ、危ぶまれてしまいます。
食糧自給率の向上も含めて、農業政策の抜本的見直しは、急務です。