コリンズR390 修復記、 | ![]() |
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何十年も前に手に入れてそのまま放っておいた物、 |
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以前一度だけ専門の方に修理をお願いしたことはあるのですが、今回は予算不足で頼めない、専門誌を紐解くと下手に手を出すなら最初から手をつけないほうが良いと書いてありました、それだけ複雑ということでしょうか、1950年に米陸軍の発注を当時のMOTOROLA社の全技術力を挙げて製作した33球トリプルスーパー、とまであるほどにプレッシャーはかかります、これを全くの素人である自分が手をつけるとなると、さて、どうなることやら、とはいえ修理代は無く、このままだと家人には理解できずに万が一の時には鉄くず同然に間違いなし、よし、どうせならだめもとでやってみるか、というのが今回の発端でした、しかし調べることだけはやる、 | |||
1、一応専門家の意見を聞く、 |
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近隣から遠くの人まであらゆる手法で相談しましたが敬遠される理由も多すぎるのがこの重量級のスーパープロの悩み、 重すぎて、複雑で、性能が良すぎるだけに難しい、とあきらめ要因の多いスタートでした、最後に相談に乗っていただいたのは兵庫県のBMという会社の宮当様、以前から私が捜し求めていたUSAの周波数計、TS175,BC221を問い合わせた時についでに相談したところ快く引き受けていただきました、 ちょうど同じ機種をお持ちで、この種の軍用無線機の輸入をされております、ギブアップした時には引き取ってください、とこちらの都合の良いことをいいながら一から教えていただくことになりました、以下メールとやり取り数十回にもなりその都度アドバイスをいただき本当に助かりました、以下Mさんと書かせていただきます 手をつける前の状態は、SWを入れると真空管は点灯するものの音は低周波を含めて何もなし、整流管の周囲が異常に熱を持つ、焦げ臭い、煙発生、 という異常事態、とりあえず電源部分には違いない、まず配線図を手に入れることから、始める、 |
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ネット上からやっと手に入れたR390電源部分の配線図、 何故かこの電源部分しか詳しく載っていない、 今回の故障はまず電源部分にあるとはにらんでいたが この周辺を当たってゆこうと意を決する、Mさんとのメールでの連絡開始、 やり取りの一部始終はとても書ききれないので ポイントだけ書いてみようと思う、 |
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![]() 電源回路をはずす、トランスの裏が焦げている、 |
![]() 焼けた47オーム、4本全部が焼けている、 |
![]() 47オームを1Wのものに交換、 |
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![]() 定電圧回路 |
![]() 保護抵抗は焼けていない |
![]() 焼けたBFO、SW、コリンズでもこんなことがある |
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![]() ばらばらに焼けた47オーム |
![]() 26Z5、二本とも切れている、プレートとカソードがショートするという考えられない現象、 |
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焦げ臭いのと煙の元を探す、トランスの奥からだ、はずしてみるとなんと抵抗47オームが全部焼けている、とりあえず交換、 SW入れるも再度焼けてしまった、47オームを5Wの物に交換、今度は整流管26Z5が点かない、 テスターであたるとなんと二本とも切れていておまけに一本のプレートとカソードがショートしている、これはあきらめてダイオードに交換、 SWオンで今度はダイオードも焼ける、 ダイオードを大きい物に交換、今度はBFOスイッチが焼け、火花と煙発生、線をカットする、 しばらく電源を入れて様子を見ることに、定電圧放電管6082の周辺が異常に熱い、急いでスイッチを切る、 その都度Mさんのアドバイスをメールで受け取る 時間を置いてから再度スイッチオンする、今度はヒューズが飛んだ、(3A) |
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ここで一つだけミスを犯したようだ、電解コンデンサーのコードが短く作業しにくくそれを延長した、この際+−を確認しなかった、 ダイオードと抵抗をはずすとヒューズは飛ばない、逆に取り付けると飛ぶ、どうもこれが解らない、再度Mさんの指示、定電圧回路をはずす、と同時に各所の抵抗値の測定、電圧測定、を行う物の異常なし、定電圧回路をはずして負荷をはずすもヒューズはその都度飛ぶ、これが解らない、 配線図上のJ601端子も高圧が正常に来ている、もう一つ解ったことは3/8Aヒューズの位置がこの配線図と違ったこと、片側がアースされている、 トランスの6番に入っていた、図面の位置と現物が違っていた、でもこんなこともあるかも知れない、機械に付いていた図面ではないから、 ということでここまで早一ヶ月、部品の取り外しやはんだ付け、電圧測定、抵抗値測定、絶縁測定など、すべてやり終えた感じがする |
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![]() 3/8Aの位置が実際はトランスの6にあった、 整流管26Z5をダイオードに交換、 |
![]() 10マイクロの電解コンデンサー |
![]() 42オームの抵抗を5wのものに交換 |
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毎日少しの時間で作業を進めるうちにさすがに疲れギブアップ、Mさんにメール、「私の力ではもはやこれまで、あきらめますのでこの390を引き取ってください、無償で結構、部品取りなどに使って下さい」と送ったのです、快く引き受けていただけるとばかり思っていたのですがメールの返事は、 「電源部の故障であれば確実に一つずつやれば必ず動作には持ってゆけるはず、頑張って下さい」との暖かいお言葉、 ここで気合を入れなおして再度頑張ることにする、そうしないとMさんのご好意に応えられない、 並四の高圧をつないで見たり電圧降下を測定したり、6082を抜いてみたりいろんなことを試みる、 そこでふと思い返して電解コンデンサー、オイルコンなので極性は無い、とのMさんや近くにある部品屋さんの話、Mさんにお願いして本来つないである状態を聞き同じように接続、今までは逆になっていた、いずれにしてもこれでなんと電源が入った、(ここがどうも解らない)?これで整流回路に不具合があることが判明、 ダイオードと47オームを通常の規格のもの1Wに交換、電源は入った、ダイアルランプも明るく点灯、だが真空管三本が点灯していない、チューナーの横にある5749、同回路にある5749等、3TF7というバラスト管も直列に入っている、Mさんからこの回路は直列三本で24Vであると教えられる、真空管を抜いてヒーターをあたる、 24V→3TF7→5749→5749→アース (バラスト管)(PTO VFO) (BFO) 三本とも切れてはいない、電源も正常に来ている、ところが抜く際に3TF7の足が抜けてしまった、老朽化か抜く際の不手際か?、 |
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![]() PTOと5749 |
![]() バラスト管3TF7 |
![]() 抜いた際に3TF7の足が抜けた? |
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![]() 2ピンが抜けたと思ったが折れていた、 |
![]() 良くみると2と3 7と8が内部で繋がっている、 |
![]() そこで3ピンを生かして9ピンソケットに足をつけた、 |
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出来上がった9ピンソケットの足をそのまま3TF7のソケットに差し込む、これで三本全部点灯、SWを入れると低周波ノイズが聞こえ始め、どうやら受信状態になったようだ、BFOスイッチもBC221からはずして取り付け回復、コネクターにアンテナ(ロングワイヤー)をつなげるとすぐに受信できた、最初ノイズだったのがいろいろ聞こえ始めた、とりあえずNHKを受信、周波数も合っている、BCから短波まで結構高感度、北京国際放送も強い、調整も必要ないようだ、 | |||
![]() 定電圧放電管、6082と5651 |
![]() この放電管の灯りがまぶしい |
![]() 受信状態を確認、思わずVサイン! |
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かくしていろいろあったものの、無事受信状態になりました、アンテナも室内アンテナで十分オールバンド受信でき感度も申し分ありません、 ダイアルのギアーに注油、長年動かしてなかった複雑なギアーもだんだん軽やかにまわるようになって来ました、ただこの種の機種は電源が115Vのためなんとかしようと見つけたのがこれも数十年前のジャンクのトランス、幸い12.6vの回路がありました、この回路を100Vに直列に入れ112.6Vを確保、これで感度もぐっと上がりました、Sで2くらいは違うようです、素人の私が良くここまで壊さずにやれたものだと自己満足しておりますがどうも原因がはっきりつかめないのが悩みの種、ここはとりあえずこれで良しとし、今後勉強しながらすこしづつかじってゆこうと思っております、でも電源回路に関しては本当に学ぶことができました、 |
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![]() 直列につないで112.6vを得る |
![]() swと一応ヒューズも入れる |
![]() まさか直るとは、それだけに嬉しい |
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二ヶ月にわたってなんだかんだやってきてかかった費用はダイオード、抵抗、半田など、数百円、飛ばした3Aヒューズ十数本、時間はかかったものの結構楽しく時間を過ごせました、SONYのボックス入りスピーカーから結構良い音質で音楽が流れてきます、下手をすると壊していたかも知れないこの受信機、でも何でもやってみるものだ、 ただ、前出のBM、宮当様には何十回ものメールをいただき、また同じR390をわざわざ出してチェックしながら、連絡をいただくという本当に大変な作業、おかげさまで私のものの点検ができ、ご面倒だったとは思いますが助かりました、本当にありがとうございました、とっても自分の技術と能力だけではできません、 このR390、以前にもまして愛着がわき大事にしてゆこうと思っております 以来短波放送を聴くのが楽しみな日々、特に7メガ帯の上のほうに集中しているように思いますが、北京国際放送、台湾国際放送、韓国KBSワールド、北朝鮮チョソンの声、モンゴル、ベトナム、グアム、ロシアの声、VOA等、通常のBC帯とは違った放送が受信でき楽しんでいます、 ロングワイヤーの室内アンテナだけでガンガン入ってくるこの種の電波には改めてこのR390の高性能を確信しております、 、JA0OS 大石。(^^♪。。。。。 再びトラブル発生! 修復記その2 修理してご機嫌で聞いていて1年経過、再び突然にシャットダウン、ノイズのみ、 しかし今回は直感でわかった、多分バラスト管 3TF7の断線、テスターで当たると正解、切れていた、 |
![]() シールドカバーが他と違う色で目立つ、 |
![]() カバーをはずした3TF7、 |
![]() 新品が手に入った、4500円 交換して再び修復完了、以後感度良好!!! |
![]() 左が新品、右は1,2ピンの抜けた断線したもの、 |
![]() 新しく手に入れた正規の図面、ヒーター回路、 直列24Vなので次回断線時には5749(6BA6)を |
![]() 3TF7→5749→5749と直列になっている、 12BA6に変え3TF7をブリッジにすればよい、 |
![]() 最初のトラブル、26Z5 整流管の断線とショート、電解Cの+− |
![]() 26Z5 整流管をダイオードに変えた回路図、、 |
3TF7についてアメリカのハムの文献にかなりの記事が載っていた、当時の環境は軍事施設であり、シェルターなどの外部電源による急激な電圧の変動による真空管へのダメージ、ヒーターの保護のためのバラスト(安定させるの意)で使われていた、したがって現在のような安定した電源の元ではこのバラスト管は不要である、
3TF7は12Vであり5749(6BA6)を二本直列で24Vである、6BA6(PTO→VFO) 6BA6(BFO) それぞれを12BA6にチェンジし合計電圧を24Vにすれば3TF7のヒーターをブリッジ(ショート)させれば高価な3TF7を使わなくても可能である。との説明が多い、次回断線時にはチャレンジしてみようと思います、
![]() 文献の一例 |
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定電圧回路、BFO SW にB電圧がまともにかかっている、焼けたのはこのスイッチの部分、
電源回路の全体図、赤印が問題のあった部分
またまたトラブル発生! |
修復記その3 |
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再び3TF7が断線、高価なために前記USAの文献を参考に、6BA6を 12BA6に二本とも交換、(一本120円)、そして3TF7の2ピンと7ピンをブリッジに する、 理論的には24VとなりOK, 結果ご機嫌に高感度入感、再び楽しんでおります、 |
アメリカのハムの文献、3、にあるように簡単で安く済む方法として6BA6を12BA6に変えcurrent regulator
3TF7の2ピンと7ピンをペーパークリップでbridgeにした、とあり 、その通りにして簡単に復活できました、
かくして再び稼動、ご機嫌に入感しております、
トラブル発生、修復記その4 |
何事もなく受信できていた、ところが突然電源のヒューズが飛んだ、またまたトラブル発生か!2014年2月のこと、 たぶん整流回路に問題があるとみた、重量のため電源トランスを外すのも一苦労、早速テスターであたる、 ダイオードが一本短絡している、47オーム保護抵抗は二本とも焼けている、 ダイオードと抵抗を交換、かくして簡単に修理完了、以前手を焼いた箇所なので回路は分かっていて助かった次第、
電源トランスの裏側 抵抗の焼け焦げた跡 ダイオードと抵抗の配線回路、、 ダイオードIN4007 耐圧1000V 1A |
当時の整流管に比べてダイオードの小さな能力には驚く、時代の変遷を感じるがでもこの古いメカはなんともいえない味があり私は好きです、
修理後スイッチを入れて動作を確認できた時のうれしさはなんとも言い表せません、古いものでも大事にしたいとつくづくと思っております、
2014年2月初頭、