連合艦隊
東宝映画「連合艦隊」好きな映画は数々あれど、この映画だけは絶対はずせません。
大好きな映画のひとつです。
私は「戦争を舞台とし、その時代に生きた人々の悲劇」これで泣かせるのが好きなのですが、
まさにソレです。
ストーリーは、題名どうり大東亜戦争での帝國海軍を背景に
船大工(?)の父(小田切武市)と父の期待に応え海軍兵学校を優秀な成績
(恩賜の短剣をもらってるので十番以内?)で卒業した息子(正人)とその姉と妹二人(母はすでに他界)の家族と
結婚を控えた兄(本郷英一)とその弟(眞二)父(直樹)そして兄の婚約者(早瀬陽子)
の二つの家族(二人の父親)を中心に
帝國連合艦隊の最期までを描いています。

デワ、私の好きな名場面
まずは、
戦争で数々の仲間の死を経験した英一(永島敏行)は
「日本という国が存続する為には、戦争で死んでいく者(国を守る者)と、生き残る者(国を作る者)がいなくてはならない」
自分は死に行く側である事を決意し父(直樹(森繁久彌))の許へ婚約の取り消しを願いに訪れる。
その話を口にした息子に父は
「・・・うぅん・・・・ それが・・・来ておるんだよ・・・・」
襖の向こうから花嫁衣裳を着た陽子(古手川祐子)の美しい姿が現れる。
(場面変わって)二人は形ばかりの新婚旅行先の安芸の宮島の大鳥居の前で楽しむが、英一に本当の笑顔は無い。
夕方、やはり英一は陽子が湯へ行っている間に緊急の召集と嘘をつき陽子を残し去ってしまう。
この場面の古手川祐子の美しさも一役買ってる。
次に
英一、眞二ふたりを同時にレイテ沖海戦(エンガノ岬沖海戦)で失い、父、母、形だけの兄嫁陽子が悲しみの葬儀。
「御国に為」「名誉な事」と、新聞記者や近所の人々が帰ると堪らず奥へ走り泣き出す母。
「泣け、泣いてやれ」と父(森繁)。
積る雪を見つめ泣く父、そこへ死んだ筈の眞二(金田賢一)が帰宅する。
出撃前、英一が残してくれたライフジャケットによって命を救われたのだ。
そのライフジャケットに残された英一の遺書には
「眞二、俺は陽子を美しいままにしていおた。陽子を頼む」と書かれていた・・・・
後日、眞二は「兄の言葉をそのまま受け取りたい」
「正月には休みがでるだろうから返事はそのときに。兄と新婚旅行である安芸の宮島で待ってる」と陽子に告げる。
しかし、眞二の許へは大和乗組の辞令が届く。
・・・そしてここから、・・・私の一番好きな場面
約束の日、厳島神社に現れた洋子。
英一の時の様に綺麗な着物が着れる時代ではもうなく、もんぺ姿である。
再会する二人
流れる音楽と共に、厳島神社の朱色がもの凄く美しい。
浜辺を歩く二人
眞二は振り返り話をきりだす
しかしそれは”約束”の話ではなかった。
「すまない、この前言った事わすれてくれ、俺はまた艦隊勤務につくことになった」
「君をこのまま そっとしておきたい」
兄と同じく自分の死が見えてしまった眞二に、洋子を不幸することは出来なかった。
陽子「あたしって一体何やの」
  「男の人たち・・・自分の都合でどうにでも出来るお人形やの?」
  「いやっ・・・もうそんなお人形なんていや」と、泣きながら眞二の背中に縋る。 
その言葉に眞二は生き抜く事を決意する。「結婚しょう 今日ここで。」
「俺は約束する。きっと戻る。生きて戻ってくる!」と陽子を抱きしめる。
このシーン、一番泣けます。。。

そして最後は、やはりラストシーン。
イントロのピアノの音が静かに流れ
主題歌「群青」(谷村新司)をバックに戦艦大和の最期。
大和の黒煙上空を飛ぶ正人(中井貴一)。
大和と共に沈んだ父(財津一郎)と短い友人であった眞二に敬礼し
「父さん、ほんの少しだけ長く生きていられるのがせめてもの親孝行です。
さようなら妹たちよ・・・、姉さん・・・、さようなら」
その言葉を最期に南へ飛び去る。正人もまた特攻に向かうのだった。
そして
砂浜
たたずむ老人(森繁久彌)
砂に書かれた亡き息子の名「英一」「眞二」
その名が波にさらわれ消えていく。
老人のもとて遊ぶ幼子(孫)
そして、それを見守る母、陽子。
戦争が終わり、新たな命と、その子たちの平和な時代
死んでいった者たちもこれで報われるのではないか
こんな感じで曲と共に物語は終わります。

 群青

空を染めたゆく この雪が静かに
海に積もりて 波を凍らせる
空を染めてゆく この雪が静かに
海を眠らせ あなたを眠らせる

手折れば散る薄紫の
野辺に咲きたる一輪の
花に似て儚きは人の命か
せめて海に散れ 想いが届かば
せめて海に咲け 心の冬薔薇


老いた足取りで 想いを巡らせ
海に向かいて 独り立たずめば
我より先に逝く 不幸は許せど
残りて哀しみを 抱く身の辛さよ
君を背負い 歩いた日の 
ぬくもり背中に 消えかけて
泣けと如く群青の 海に降る雪

砂に腹ばいて 海の声を聞く
待っていておくれ もうすぐ帰るよ

空を染めてゆく この雪が静かに
海に積もりて 波を凍らせる
空を染めてゆく この雪が静かに
海をねむらせ
あなたを眠らせる


ほんとうに良く出来てます。
当時現実によくあった悲劇を描いています。
他にも正人が特攻を志願した事を知ってしまった美代が
「お兄ちゃんがね、特攻隊ば志願したとよ」と告げると
それを聞いた小さい妹が兄の所へ行こうとするところを姉が
「行っちゃいけん!」と止める場面とかも好きな場面ですし
まだまだ沢山あります。

欲を言えば(大和オタクとしては)もう少しだけ長く”戦艦大和の最期”を描いて欲しかったかな。
監督は作品のテンポなど、いろんな制約があったのだろうが、あと5分でいいから”大和の激戦”
日本の技術を結集した極めて沈みにくい艦が沈むまで。
延べ1000機の集中攻撃で二時間もかかる過程。
を少しだけでも入れて欲しかったと思ってしまうのは贅沢?
(レイテ海戦、小沢艦隊に比べて、金を掛けたわりには短かった気がしたんで)
まあ、戦闘場面なんてオマケみたいなものなんですがね。
今回のDVD化にあたり「トラ!トラ!トラ!」の真珠湾攻撃にシーンが20世紀FOXとの契約の関係で使用出来ず、
以前に撮られた円谷製作の  に差し替えられていて、そのシーンの特撮が粗く残念なのですが、




なんにしても、私の中でこの映画を超える戦争映画は今後も現れる事は無いでしょう。

尚、主題歌「群青」が流れる場面はあまりにも演出他、素晴らしいものがあり
「群青」として改めて別に書こうと思います。