<癌性リンパ管症>

<縦隔リンパ節病変があるとき>


 縦隔リンパ節腫脹の存在がはっきりしない場合でも、縦隔や肺に病変がある場合には「癌性リンパ管症」の可能性を常に考えておく。ひとたび癌性リンパ管症が発症すると、どんなことをしても元の状態には戻らないし急速に進行する。本格的に苦しくなって数時間しか命が続かないこともしばしばである。癌性リンパ管症となる可能性がある患者を受け持ったとき、その可能性を説明しないでおいてリンパ管症が発症すると、家族は「どういうことだ!」と怒ります。後追いで説明しても、「後の祭り」。祭りにしないためには、その可能性が高まってきたら、実際に癌性リンパ管症が起きたら苦しさを取る以外何もできないことを、家族に、(できたら本人にも)早い時期に話しておいたほうが良いと思う。
 癌性リンパ管症になると、肺からリンパ管による排水が一切できない状態になるので、ひどい喘鳴と酸素飽和度の低下が生じる。補液は中止したほうがいいが、それでも喘鳴は止まらず、意識を落として対処せざるを得ないことが多い。喘鳴を減らすのにハイスコ(臭化水素スコポラミン)の静注・舌下投与(0.2〜0.5ml、何回でも追加可)が効くこともあるが、意識があるときにはハイスコで不穏になることも多いので、はじめは控えめに使う。

(関連項目)癌性リンパ管症をこう説明している

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