肺病変(呼吸障害)は、最後に来て急激な経過となることが多い。呼吸困難感の治療にはモルヒネ等のオピオイドとベンゾジアゼピン系の薬(注射ならドルミカム等、内服なら抗不安薬)は両方併用すべきである。どちらかだけではなかなかうまくいかない。酸素投与も効果が高く、酸素飽和度が低くなくても酸素投与によって楽になる場合が多い。 時間に少し余裕があればまずオピオイドを呼吸回数が減少しない範囲で使い、楽にならない時にベンゾジアゼピンを加えるようにする。ベンゾジアゼピン系の薬は、徐々に増やしていく場合、多少量が多くても呼吸抑制は問題になるほどにはならない。ロヒプノール注は、舌根沈下による呼吸抑制に注意。モルヒネは、体力が低下しているときには致命的な呼吸低下の要因になる。 喘鳴を減らすのにハイスコ(臭化水素スコポラミン)の静注・舌下投与(0.2〜0.5ml)が効くこともあるが、意識があるときにはハイスコで不穏になることも多いので、はじめは控えめに使う。 この他に、ステロイドが呼吸状態を改善して効果を発揮する場合もある。使用する薬剤は、ナトリウム貯留作用がないデカドロン(デキサメタゾン)やリンデロン(ベタメタゾン)が多く使用される。 呼吸器症状を完全に取り去るのは難しく、症状が強い場合にはモルヒネに加えて抗不安薬を傾眠がちになるまで薬を使わないと、楽にならない症例が多い印象である。 |