脳腫瘍は別にして、肺または頭頸部に癌病変がない場合には、脳転移は起こりにくい。右心系→左心系シャントがあれば肺病変がなくても直接脳転移を起こしうる。初発症状は病変の部位によってさまざまなものがあるが、性格が変わったり統合失調症様症状などの精神症状が出ることが多く、向精神薬を強力に使わなければならないこともある。セレネース約150mg/day等の非常識な量が必要になったこともある。 単発あるいは数個程度の脳転移の場合には、ガンマナイフやサイバーナイフが有効である。全身状態にまだ余裕がある場合は、積極的に治療するべきである。非常に多くの脳転移がある場合には、全脳照射がおこなわれることが多いが、照射半年以降に全般的な脳機能低下(晩期障害)が生じる率は比較的高く、これに対する治療法はない。 麻痺や全般的な脳機能低下症状がある場合、ステロイドは良く効くことが多く、試してみる価値はある。デカドロンやリンデロンが浮腫を招きにくいので良い。症状増悪時にはステロイドを増量してよいが、長期になると著しいmoon faceとなる(当院PCUでは最大32mg/day使っていたことがあるが、別人のようなmoon faceになってしまった)。 頭蓋内病変の進行が命にかかわる状態になってきた場合には、その変化は非常に急激であり時間単位や分単位で命の終わりに向かうことも多い。そのとき異常な高体温になる(調節中枢の機能廃絶)ことが多い。呼吸もチェーンストークスになる。 |