3月14日
森のおうち 10周年記念
森のおうちの酒井館長さんに声をかけていただき、 作家 柳田邦男さんの講演会にお邪魔することが出来ました。
早い時間に到着したので、まだ人もまばらで、自由に席を選ぶことが出来ましたが開演直前には安曇野スイス村 サンモリッツの会場には300人を超える入場者であふれていました。
司会は酒井館長さんのご主人(館長さんから聞いていたよりずっとすてきな)が務められ、酒井館長さんのいつもの一言一言を大切に大切にした口調で、出会いの大切さをお話になられた挨拶がありました。 祝辞にはちひろ美術館館長 松本さんが地域の中でも頑張られている酒井館長さんを紹介されました。
柳田さんの講演は、どんどん成長していくデジタル社会の中で、世の中が後戻りすることは難しいが、子どもを育てる親(大人)の姿勢がこれからの世の中を左右するから本当に大切なものを忘れないように。 また、ケータイ・ネット依存症への危機感があまりにも 無さ過ぎることを話されました。
ボタン操作で何でも出来てしまうことで人間が錯覚してしまい痛みや思いやる気持ちが育たない、親も仕事理由で子どもと接する時間を持たない上、バーチャルの世界にどっぷりと漬かっている。
絵本は人の暖かさ、発想させる力や心を豊かにしてくれる。叉実例を挙げて幼い兄弟が病気で亡くなっていく過程を主治医の先生が一冊の絵本『わすれられないおくりもの』を読んで残された兄弟たちの心を癒し、前向きに生きてゆき、大切なものを教えてくれた話など、親がこどもたちと接するときのヒント、また大人が忘れかけていることを思い出させてくれる薬かもしれません。
下の欄に柳田さんお勧めの絵本がありますがすべての絵本の紹介と絵が何を訴えているのか文の中にどんな気持ちが含まれているのか絵本がもたらしたエピソードなど、ユーモアを交えたお話は時間を忘れ、予定の1時間を越える講演会となりましたが充実したひと時でした。
But
現実の世の中、変えていかなければいけない問題ではあるが、この後退を知らない世の中でどのくらいの人や企業が危機感を持って対処できるだろうか、 期待したいのは行政の力かもしれない。何が良くて何が悪いか、けじめのつく政治家が、地球は欲しがっていると思う。
何処かの勇気ある都市(政治家でも)で青少年育成のために『寝る時間になったら電気を消そう』なんてならないだろうか。 柳田さんの言葉が世の中で正論となることを祈りそんな思いで帰路につきました。
(2004.2/29信濃毎日新聞 「IT革命と心のゆがみ」にも書かれています)
酒井館長さん、柳田さん、伊勢さん、 貴重な時間を割いて昌平に温かい言葉をかけていただきいつもながら感謝しております。 ありがとうございます。
(重)
森のおうち 10周年記念特別企画
柳田邦男さん記念講演会
講 師 柳田 邦男氏 (ノンフィクション作家)
演 題 大人こそ絵本を読もう ー言葉と心の危機の時代にー
日 時 2004年3月14日 14:00開演
場 所 安曇野スイス村 サンモリッツ
柳田さんのことば
僕は「絵本は人生で3度読むべきもの」だと考えているのです。 まず自分が幼い時、
次に親になって子どもを育てる時、そして人生の後半に差しかかった時。(中略)絵本は
子どものためだけにあるのではなく、大人の人生をも耕してくれます。だから内面の
成熟をさらに深めるためにも、大人にこそもっと絵本を読んでもらいたいと思います。
(2003.6/10読売新聞「心の砂漠にうるおいを〜いま、大人にすすめる絵本〜」より)
当日資料より
柳田邦男さん お勧めの絵本
1.想像力の再生を
@『そらとぶアヒル』 内田麟太郎・文/長新太・絵
A『ありがとうともだち』 内田麟太郎・文/降矢なな・絵
2.美しい言葉、美しい絵、そして・・・・
B『はくちょう』 内田麟太郎・文/伊勢英子・絵
C『きりのなかのはりねずみ』
ノルシュテイン&コズロフ・作/ヤルブ−ソヴァ・絵/こじまひろこ・訳
D『月人石』 乾 千恵・書/谷川俊太郎・文/川島敏生・写真
3.「心の持ち方」の気ずき
E『きいろいばけつ』 守山京・作/つちだよしはる・絵
F『ともだちからともだちへ』 アンソニーフランス・作/ティファニービーク・絵/木坂涼・訳
G『フレデリック』 レオ=レオニ・作/谷川俊太郎・訳
4.子どもの心が成長する瞬間
H『月夜のみみずく』 ヨーレン・詩/工藤直子・訳/ショ−エンへ−ル・絵
I『ホッペル、ポッペル、それともストッペル?』
マックスボリガ−・文/ユゼフヴィルコン・絵/さかくらちずる・訳
J『ペンキや』 梨木香歩・作/出久根育・絵
5.悲しみと向きあって
K『スーホの白い馬』 モンゴル民話/赤羽末吉・絵
L『わすれられないおくりもの』 スーザンバーレイ・作・絵/小川仁央・訳
M『おにいちゃんがいてよかった』 細谷亮太・作/永井泰子・絵
N『100の風1000のチエロ』 伊勢英子・作・絵
6.あなたはどこを見ていますか?
O『はっぴいさん』 荒井良二・作・絵
P『ねがいごとをしてごらん』 メイク・ァ・ウィッシュ・編/柳田邦男・訳/25人の画家たち・絵
当日資料より