★おうちゃく星★ 「カノ−プス」 の話 (千葉大学学士山岳会「根雪」投稿より抜粋)
-----冬には南の山稜に目をこらすようになった。この星はほぼ水平に移動し、直ぐ下に山の黒い稜線があるから動きが目に見えてわかるのだ。 八ヶ岳は西岳の右に現れ、鳳凰三山の稜線上を右に動き、いちどは北岳に隠れ甲斐駒との間に数秒間現れて消えるのを確認した。
10月中旬の日出前から3月の日没後まで、大晦日の除夜の鐘が鳴る時には良く見える。
アルビレオと同時に見えることはない。
カノ−プスはギリシア語で竜骨座α星、シリウスに次いで全天で2番目に明るい星、アラビア名スハイルは(なめらかにする、やさしくする)、中国では南極老人星、福寿を司る七福神の一人、寿老人の化身とされているめでたい星だが、和名は布良(めら)星、入定(にゅうじょう)星、海辺でこの星が見えたら必ず時化ると云う荒天予報星だ。
他にも横着星、無精星、道楽星とろくでもない名が付いているが、良く言えば今どきはやりのスロ−★で半年は働かない。 埒外のことが好きだから、アルビレオの次にカノ−プスをお気に入りの星に追加して、この★が見える期間は小屋を休業にした。
山小屋の のんべーは「酔いどれ星」と名付けて、正月の夜の楽しみにしている。 ________

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