三面出世大黒尊天の由来


 瑞雲寺の三面出世大黒天は大黒天、毘沙門天、宇賀弁財天の三福天合一の霊像であります。この「出世」とは仏様が衆生を救わんとこの世に現れ出ることです
 大黒天はいうまでもなく福の神であり、毘沙門天は勝利あるいは長寿の神であり、弁財天は、音楽、智慧、芸術をつかさどる神であります。甲子の御縁日には祭礼を執り行っております。大黒様の功徳は不動明王の教令輪身として多くの皆様方に福徳を与え、衣食住を司る大変有難い仏教の守護神でいらっしゃいます。守護神とは神の部類に入ります。衆生を善導して喜び多い人生を送らせようという意味では神様仏様も本来はひとつであります。
 大黒様は大黒天と呼び仏教でいう天部に属されます(日本の神々もこの天部に属するものが多いです。)。地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上の六道輪廻の一番上で人間界のま上におられるのです。すなわち、人間に一番近い仏様です。だから、お経で供養するだけではなく、おいしいもの、珍しいものをお供えしますし、また、音楽など我々が楽しみとしていることも好まれるのです。
 要するに難しい理論より現実的なご供養を喜ばれるのが大黒様です。拝む人の心がはっきりし、広い心をもってお祈りすれば必ず御利益を与えてくれます。俗に家の中の中心を大黒柱、家の中を守り納めていく奥さんを大黒さんと呼ぶのはこのゆえんであります。
 この大黒様の最高の御供養法であります「浴餅供」という秘法がございます。この法は一週間毎日、朝・昼・晩と餅米をおかゆの如く柔らかく煮たものを純銀製の御本尊に『皆様方の幸せを祈りながら』おかけをし最高、最大のご供養をするものです。
 これからはこころの時代であると信じております。昨今の痛ましい事件は何を問うているのでしょう。尊い仏様のみ教えは生きる智慧であります。どんなに文明が進んでも、変わらない真理・生き方があります。それを知ること、伝えること、自覚すること、行じていくことが求められております。そして、多くの方々がこころに幸せを感じれる世の中が平和といえるのではないでしょうか。大黒様も思いは一緒であります。
 この三面出世大黒天を信仰され、皆様の幸福のために祈り、また、お尽くしになるれば、その福は何倍にもなって還ってくるといわれています。ただし、還ってこられましたら大黒天にお礼参り或いは献酒・献米をして下さい。仏様とはいえ天部の仏様は我々に近いお方ですから。
 皆様方の家運の益々の隆昌とご家族の無事息災を得られることをご祈念申し上げます。

甲子大黒天縁日祈祷会 朝6:15~
子(きのえね)の日は大黒天のご縁日です。大黒天経・理趣分を訓読します。また、福を何倍にもする紅白餅のお下がりをいただきます。