どらてく

● 駆動方式の分け方
 駆動方式は、"エンジンの位置"と"駆動輪(駆動するタイヤ)"により分類されます。
 
エンジンの位置 駆動輪 駆動方式
フロント 前輪(フロント) FF
後輪(リア) FR
ミッド MR
リア RR
フロント
リア
前輪+後輪
(フロント+リア)
4WD

 表を用いて説明をすると、赤色はフロントタイヤを駆動する、"前輪駆動"です。
 黄色はリアタイヤで駆動する"後輪駆動"。
 そして、オレンジ色は"四輪駆動(4WD)"に該当します。
 
 このような分類を行う理由としては、エンジンと駆動輪は、
 車の運動特性に最も影響をもたらすからとされています。
 それでは、それぞれの駆動方式について説明をします。

<前輪駆動>
・FF(フロントシップエンジン・フロントドライブ)
 一般的なレイアウトです。プロペラシャフトも必要ないため、室内が広くなります。
 しかし、フロントヘビーの傾向が強く、駆動・操舵を前輪に全て依存するため、
 アンダーステア(ハンドルを切っても曲がりにくい状態)傾向が強いです。

▼FF車の例
 シビック・インテグラ・プレリュード(ホンダ)、Vitz・カローラ・セリカSS-2(トヨタ)、
 マーチ・サニー・プリメーラ(ニッサン)、FTO(ミツビシ)など

<後輪駆動>
・FR(フロントシップエンジン・リアドライブ)
 高級車やハイパワーのスポーツカーでは採用されているレイアウトです。
 「前輪は操舵、後輪の駆動」というように分かれているので、
 フロントタイヤ・リアタイヤの両方を、効率良く使うことができます。

▼FR車の例
 S2000(ホンダ)、AE86トレノ・レビン・アルテッツア・スープラ・マーク2(トヨタ)、
 シルビア・ローレル・シーマ(ニッサン)、RX-7(マツダ)、カプチーノ(スズキ)など


・MR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)
 FRをさらに突き詰めて、エンジン配置を車両の中心に寄せたレイアウトがミッドシップです。
 後輪に荷重がかかりやすいため駆動力を効率よく引き出すことができ、
 前後重量配分のバランスがよいためブレーキ性能に優れます。

▼MR車の例
 NSX・ビート(ホンダ)、MR2・MR-S(トヨタ)、AZ-1(マツダ)など。

・RR(リアシップエンジン・リアドライブ)
 エンジンを後輪車軸より後ろに配置したエンジンレイアウトです。
 国産ではほとんど見られませんが、ポルシェには採用されているレイアウトです。
 ブレーキング時はMRよりも更に理想的な重量配分を成し得ますが、
 直進安定性にはあまり優れないのが欠点です。

<四輪駆動>
・4WD(フォー・ホイール・ドライブ)
 エンジンの配置に関わらず、四つのタイヤで駆動するのが4WDです。
 二輪駆動と違う点は、二輪ではパワーを2つのタイヤで受け持ってたのを、
 4つのタイヤで分散して伝達するため、駆動力を効率よく伝達できるという点にあります。
 しかし、四輪で駆動するということは車重がかなり重くなりがちなのが欠点です。
 
▼4WDマシンの例
 ランサーエボリューション(ミツビシ)、インプレッサWRX・レガシィB4(スバル)、
 スカイラインGT-R(ニッサン)など
・・・とまあ、これだけの駆動方式があるわけです。
それぞれの駆動方式ごとのコーナリングの違いが、どう変わってくるかは次においてまとめていきます。

● レコードラインは一つしかない
コーナーは図1に示されるように、"直線(ストレート)"と"コーナー"、"立ち上がり区間"から構成されます。
しかし、FFだろうがFRだろうがMR・4WDでも、ベストなコーナリングラインは一つしかありません。
もし違うとすれば、車種やコーナリング性能の差によるものです。
(1).直線 できるだけアウト側に寄り、ギリギリのスピードを維持します。
(2).ブレーキング
 スピードを落とすため、ブレーキングのおよそ98%ぐらいを終わらせます。
 図1ではジグザグの部分がブレーキングなのですが、
 制動は直進状態で行ったほうが最も効率的だし、
 ブレーキングはコーナーに入るワンテンポ前ぐらいに、
 コーナーを曲がりきれる車速まで落とすことを意識しましょう。

(3).ターンイン
 ターンインとは簡単に言えば、旋回に入る一連の動作のことを言います。
 直線で98%のブレーキングを終了させ、残りの2%はターンインにて行います。

 ”なぜ2%か?”
 
 それはコーナーに入るまでに減速を終わらせないと、
 遠心力で曲がらなくなる"アンダーステア"を防ぐことが一つの理由です。
 もう一つは、ターンインにかけてブレーキングを残すことで、
 フロントタイヤに荷重移動を起こして、コーナリングフォースを
 引き出す(曲がりやすくする)ためです。
 ただし、いきなり荷重を抜いていくのではなくて、
 コツとしては、横Gを徐々に感じながらブレーキを緩めていくことですね。

(4).旋回(コーナリング)
 先ほどもありましたが、コーナーを速く曲がるためには、
 ならべく大きな円(R:半径)を描いて走る(アウト・イン・アウト)ことが基本です。
 それでは、「アウト・イン・アウト」の"イン"はにあたる、
 クリッピングポイント(CP)はどのように設定するのでしょう??

 これは必ずしも、コーナーの頂点というわけではありません。
 "旋回"を始める地点と、"立ち上がり"を始める地点を
 最も大きな円で描ける点が、クリッピングポイントとなります。
 つまり、このコーナーでは、コーナーの頂点のさらに奥に
 クリッピングポイントを設定すると、半径(R)を大きく取れますね。

(5).立ち上がり
 クリッピングポイントを過ぎたらハンドルを徐々に戻して、緩やかに立ち上がって加速します。 




 


● はみだし知識
 先ほどのラインが、タイムを出すためのライン・・・・これを、レコードラインといいます。
 しかし、実際のコースはいくつものコーナーから構成されてるし、
 レースなどでは他車との駆け引きでレコードラインを走れるとは限らないので、
 ライン取りは「アウト・イン・アウト」さえ守れば良いという訳ではありません。
 
 つまり、走るのはコーナーじゃなくて"コース"ですので、コースを回る時間を短くするには、
 ラインを変えたり、コーナーの限界速度以下で旋回しなければならないこともあります。
 場合によっては、イン・イン・アウトと臨機応変にラインを変えなければならないこともあるワケで、
 臨機応変に対応していくことも、時として大事なワケですね。

● ペダルの正しい踏み方
 コーナーの進入にかけては、減速しなければなりません。
 減速に必要なのは、いわずと知れた「ブレーキング」です。

 ブレーキングは制動・・・つまりスピードを落とすことです。
 ブレーキングの間は加速はできないわけですから、
 どれだけ短時間にブレーキを終了させ、その分アクセルを多く踏めるか
 それが、ブレーキングに求められることですね。

 まずはブレーキペダルの基本的な操作方法について、
 ここではMT車を前提に話すと、基本は右足です。
 そして足の位置をブレーキとアクセルペダルの間に置いて、
 フロアから離さずに踏みます。こうすることで、
 ペダルの踏み替えラクにし、激しい横Gにも対抗することができるのです。


● 多様なブレーキを身につけよう
一昔前は、ブレーキングは直線で終わらせて、コーナーの立ち上がりでアクセルオンで
 立ち上がるのが定説でしたが、今日ではコーナリング中盤までブレーキを残すのが常識です。
 これは車両やタイヤの性能が極めて向上したことが最も影響しています。

 ブレーキの役割は、大きく分けて2つあります。

 (1).車のスピードを落とす
 (2).フロントに荷重を移動させ車の回頭性を高める
 

 まず(1)から説明すると、スピードを落とすためのブレーキというと、
 簡単だと思っている人が多いと思います。
 しかし、直線的にブレーキをする場合、
 上級者と初心者では、制動距離の差が大きく出ます。
 例えば、コーナー一つで制動距離の差が2mあれば、
 2m分ブレーキを早く終わらせて(-2m)、
 2m分アクセルを踏むことができる(+2m)わけですね。 
 つまり、4m(+4m)の差が広がる計算になります。

 次に(2).について、これはコーナリングにつなげるためのブレーキングです。
 右図の示す通り、ブレーキングにより、前後の荷重バランスを崩し、
 それを利用して姿勢変化を促すものです。

 つまり、ブレーキングによりフロントをグリップさせコーナリングフォースを得て、
 軽くなったリアのすべりを誘発することで、より曲がりやすくするのです。


● ブレーキの踏力を緩める
さて、先ほどの(1)・(2)のブレーキの使い分けを説明しました。
 (1)のブレーキングでは、制動距離を短くすることが大事です。
 つまり、タイヤがロックする寸前のブレーキをすることで、
 制動距離を短くすることが可能ですね。

 それでは、ロック寸前のままコーナリングするとどうなるでしょう。
 ブレーキロックして、アンダーステア(※1)が発生します。
 これは後ほど説明しますが、制動力を100%使ってしまい、
 コーナリングフォースが0%となってしまったためですね。
 つまり、曲がろうとする力が全く残っていないと言うことです。

 そこで、ターンインにかけては、ブレーキを少し緩めて、
 ハンドルを切っていきます。
 こうすることで前荷重にして、スムーズな回頭が可能になります。
 コーナリングのためには限界に近いブレーキはご法度
 いうことですね。もちろん、オーバースピードは論外ですが(笑)





 (※1)アンダーステア:ハンドルを切っても曲がりにくくなる状態




● タイヤのグリップの限界を意識しよう
 タイヤの"駆動"と"旋回"の役割は、どのようなメカニズムになってるのでしょうか?
 下図の円を使って説明をします。
A点:加速力も曲がる力も確保している
B点:加速力に100%つぎ込んでいるため、曲がることができない
C点:曲がる力に100%つぎ込んでいるので、加速できない
D点:減速する力に100%つぎ込んでいるので、曲がれない 
摩擦円の内部でグリップしているぶんにはタイヤはスライドしませんが、
摩擦円の外に移行する場合、つまり駆動力や曲がる力が過大にかかると、タイヤはスライドします。

● 遠心力の影響 〜スリップとスライド〜
 コーナリング中に作用する力は、遠心力というヤツです。
 遠心力に対抗して、タイヤは耐えているわけです。
 ところが、どんなにグリップの良いタイヤでも、
 タイヤは斜めに傾げながら曲がっています。
 下図のように、遠心力を受けたタイヤは変形して、
 タイヤの中心と、接地面の中心がずれています。
 そして、車は走行中は慣性の力で前に移動するために、
 斜め前にタイヤはずれます。
 この角度をスリップアングルというのです。

 先ほど、タイヤのグリップについて説明しましたが、
 スリップとスライドとは意味が違います。
 図1の摩擦円の内部にある時をスリップということができます。
 そして、摩擦円の外にある状態、すなわちタイヤのグリップを
 超えた状態をスリップと区別して、スライドというのです。
 スライドが発生すると、スリップアングルに加えて、
 スライドアングルが発生し、タイヤのグリップが極端に減ります。


● アンダーステアとオーバーステア
 右図を見てみましょう。 コーナリング時には4本のタイヤ全てが、スリップしてます。

 アンダーステアとはとかく、フロントタイヤのみが滑って(スライド)発生する現象と誤解されがちですが、
 正しくは「フロントのスリップアングル(α)<リアのスリップアングル(β)」の状態ということができます。
 つまり・・・・「フロントの滑る量が、リアの滑る量より多い」ということができます。

 それでは、オーバーステアとはどういう現象かというと、
 アンダーステアとは逆で、「フロントのスリップアングル(α)>リアのスリップアングル(β)」の状態
 ということができます。つまり・・・・「フロントの滑る量が、リアの滑る量より少ない」ということができます。
 スリップアングルに与える要素は次のことが挙げられます。

 (1)駆動力:駆動方式によりステア特性が変わる
 (2)タイヤにかかる荷重:荷重移動に影響する
 (3)タイヤのグリップ性能:スリックタイヤとかウエットタイヤとか・・
 (4)タイヤの空気圧
 (5)キャンバー角など:
   鬼キャンなど、ドリフト族が好むのは、フロントのスリップアングルをつけさせないためですね。


● 駆動方式による基本特性
 先ほどのスリップから説明のとおり、駆動方式によってステア特性が変わってきます。 
<前輪駆動>FF
・アクセルON
 挙動は常にアンダーステア
・アクセルOFF
 タックインによりオーバーステア(※)に近い挙動

◎乗り方
 フロントが駆動しているので、非常に安定傾向で、
 初心者ならばある程度、速く走らせることはできるが、
 そこから高い次元に進むには難しいと言えます。
 とにかく、ライン取りを重視しなければなりません。
 
 ライン取りを失敗すると、立ちあがり区間でアンダーステアに
 苦しむことになります。理想としては、立ち上り区間でステアリングを
 戻していきながら、アクセルONにしていくことです。
 
 (※)オーバーステア:ハンドルを切った量よりも過敏に車が曲がろうとすること。

<後輪駆動>FR
・アクセルON
 最初は弱いアンダーステアとなる。
 さらにアクセルONを続けると、強いオーバーステアに変わる。
・アクセルOFF
 アンダーステアが消えて、ラインが内側に戻る

◎乗り方
 リアで駆動しているので、アクセルワークでコントロールできる点で、
 コントロールの幅が広い車と言えます。
 基本的に、アクセルOFFでフロント荷重にする姿勢変化と
 ONにすることでスライドをコントロールすることができることが、
 FRを扱うためのセオリーです。
 
 ライン取りはもちろん大事ですが、FFと違ってアクセルワークにより、
 姿勢を変化できる点は有利で、その都度姿勢変化を行えるように
 することが大事です。

<後輪駆動>MR
・アクセルON
 最初は、かなり強いアンダーステアとなる。
 さらにアクセルONを続けると、急激にオーバーステアに変わる。
・アクセルOFF
 強いアンダーステアが発生する

◎乗り方
 MR2の場合、ほとんどRRと変わらない車と言われてます。
 つまりリアにエンジンがあるだけ、振り子の原理で、
 アクセルONでもOFFでも、アンダーステアとオーバーステアが
 強烈に発生しやすいと言えます。従って、スピンをしやすい車と言えます。
 
 鉄則はコーナー進入時からオーバースピードは禁物であること。
 アクセルワークをできるだけ慎重にすることですね。

<四輪駆動>4WD
・アクセルON
 基本的に強いアンダーステア
・アクセルOFF
 緩やかなタックインを発生する

◎乗り方
 以前より曲がりやすくなった4WDですが、それでも他の駆動方式と比べて、
 曲がりやすくなったわけではありません。
 従って、荷重移動を思いっきり起こさないと曲がってくれません。
 若干、FFに近い性格を示しています。
 しかし、旋回中は全開に近いアクセルワークで姿勢コントロールを
 行うことが重要。基本的に姿勢コントロールはステアリングで行います。

   

● 立ち上がり加速と駆動形式
 立ち上がり加速も基本的に摩擦円の原理に乗っ取っています。
 つまり、FFだとアンダーステア傾向が強いのは相変わらず、
 FR・MRはオーバーステア傾向であるのは変わりありません。
 しかし、どのクルマも加速体勢であれば、ノーズリフトして、リアタイヤに荷重移動しますよね。
 ということは、アクセルワーク次第ではFR・MRは積極的に立ち上がりができるということです。
 一方、FFは立ち上がりでアンダーを出さないようにアクセルは控えめで立ちあがらなければなりません。
 また、4WDはパワーが4つのタイヤに振り分けられ、駆動力を安定しながらかけられるということから、
 加速ではもっとも有利とされています。ただ、車重が重いのがネックですが・・・
 ただし、調子に乗ってアクセルをラフに開けると、かえって挙動が不安定になるので、
 駆動輪と相談しながらアクセルを開けるようにしましょう。
 

● 立ち上がり加速と前後重量配分
 立ち上がり加速ではノーズリフトでリアに荷重が寄ります。
 ということは、リアにエンジンがあるレイアウトがトラクション(駆動力)がかかり有利であることは言うまでもないですよね。
 そのため、MRやRRは立ち上がり加速では安定傾向にあります。
 

● まとめ
 コーナーの進入から立ち上がりまでまとめていきましたが、
 駆動形式ごとにまとめてみると、次のことがいえるのではないでしょうか。

 ・FF:アンダーステアを出さない、繊細な運転操作
 ・FR・MR・RR:旋回特性・立ち上がり加速の良さを活かす。スピンには気をつける。
 ・4WD:駆動力の良さと、安定性を活かす
  と言ったところでしょうか・・・。要は、車の基本特性と運動特性をそれぞれ理解し、正しく操作すれば良いわけです。


● はみだし談義
 さて、一応駆動方式ごとの説明はしたつもりですが、最後に駆動方式の歴史というものについて余談をしていきましょう(^^ゞ。
 昨今では、FF車の普及がめまぐるしく、FR車やMR車の衰退は認めざるを得ない。
 なぜ、コレほどまでFF車の普及があるかというと、FF車のエンジンルームがよりコンパクトにできたということが大きいし、
 FRや4WDと違って、プロペラシャフトが不要だから、室内空間がしっかり取れるからだ。
 ところが、昔はFR車が多かった。なぜかというと、まず構造的にFFのジョイントの問題があったのと、
 アクセルのオンオフで振動がモロに前後方向へと来たからである。
 さらに、走行性能はというと、今ほどグリップがよいタイヤがあるワケじゃなかったからアンダーも出るし、
 重量配分もサスペンションの性能もそれほどよくは無かったから、止まりにくいし、ステア特性もひとクセもふたクセもあった。
 そのため、FRが昔は多かったわけだ。しかし、FF車のこうした問題が解決されていったのが、今から15年ほどぐらいになる。
 だんだん、FRマシンもFF化されていく中で、トレノやセリカ、スターレットなどもFFと変わっていった。
 こうした背景は、やっぱりサスペンションによる接地能力の改善や、性能のよいタイヤの登場などがある。
 さらに、時代は運動性能だけではなく、車の居住性も重視されてきたわけだから、FFがコレほどまで普及するに至ったわけだ。
 それでは、FFは運動性能に劣るか?というと、そういうことは全く無いのでご安心を。ハイパワーとFF駆動方式は相性が悪いが
 (駆動輪がスリップするから)、アンダーパワーとFFは相性が良くなって来ているからだ。
 だいたい、アンダーパワーの車(150馬力前後)であれば、パワーオーバーでタイヤをスピンさせることなぞ、至難のワザである。
 それぐらい、接地能力が今の車は良いわけだ。そして、アンダーパワーであれば、加速時の荷重移動がハイパワーマシンほど強くない。
 そのため、FRという駆動方式のトラクション性能の良さが発揮されないことになるワケだ。 

● 正しいドライビングポジションを意識しよう
 クルマを走らせる目的・・・・買い物やドライブ、もしくはサーキットで走ったり、様々な目的があります。
 しかし、どの目的であれ、ドライビングポジション(以下、ドラポジ)に求められるのは次の3つです。

 ・常に正確で素早い運転操作ができること
 ・無駄な運転操作を減らすこと
 ・安全であること
 
 さて、自己流になっているドライビングポジションをもう一度見直しましょう!


● 正しいドラポジの決め方
 図1ではドラポジの決め方をフローチャートで示しました。
 この順序に従って、ドライビングポジションを決めていくことになります。


(1)シートのスライド
 まずは腰をシートの奥までつめます。でないと、腰に負担がかかり、ペダル操作が正確にできません。エンジンを始動して、ブレーキペダルを重いっきり踏んだ状態にします(エンジンをかけないとブレーキがあまり効かないので)。そして、ペダルを踏んでヒザに余裕があるぐらいの場所にシートを調整するのがベスト。目安は、ヒザとシートの間に指が2本ぐらい入るぐらいです。
 これは、ペダル操作を正確に行うこと、事故時に足にかかる負担を減らすためにも役立ちます。実際やってみると思ったよりも、シートが前に来ると思いますが、微調整はこの後で説明するリクライニングなどで行います。もう一つは、ステアリングが多少曲がるぐらいの位置であることを確認すればOKです。

(2)リクライニングの調整
 シートのスライドができれば、次は正しくステアリング操作を行うために、リクライニング(シートの傾き)を調整します。まず、ハンドルの頂点を握ってみます。ハンドルの頂点は腕が一番伸びる位置なので、腕が伸び切っている状態ならばリクライニングを立てて、腕が曲がって窮屈ならばリクライニングを寝かします。大体、ハンドルの頂点で若干腕が曲がるぐらいがちょうどいいとされてます。ストレートアームは厳禁です!!

(3)シートハイトの調整
 自分の身長にあわせて、シートの高さを調整します。屋根にアタマが当たらないぐらい。

(4)チルト量の調整
 ハンドルの高さを調整します。メーター類が隠れない程度に合わせます。あまり下げるとペダルを操作する最に足が当たるのでホドホドに・・・これらが終われば、後は、バックミラー・サイドミラーの調整をしてください。ドラポジの決め方をまとめましたが、シートスライドとリクライニングの調整だけで、ほとんど済むのですね。それでは、正しいペダル操作の仕方を次の(2)においてまとめます。

 以上がドライビングポジションを決める上での重要な点なのですが、これだけ注意点があるワケですね。
 しかしシートポジションがいい加減だと、正しい操作ができないばかりか、事故時にも思わぬ怪我に巻きこまれることもあります。
 また、体型や身長によって、多少の個人差が出るのも事実です。
 こういう場合は、ともかく正確に操作できるように自分なりに探していくのが正しいのですが、
 そのためにステアリングチルトなど補助的な装置もあるので、有効に活用することも必要になるでしょうね。

● はみだし談義
 サーキットを走るレーシングカーは、いわゆるストレートアームで運転するドライバーが多いですよね。
 というのも、レーシングカーと言うのは運動性能を重視しているので、ともかくステアリングがクイック。
 だからステアリングを持ちかえることは滅多にありません。
 一方で私達が街中で運転する状況でも、ステアリングを持ちかえることはかなりあります。
 例えば駐車する場合もそうだし、右折・左折の場合も持ち替えの必要がありますよね。
 これはなぜかというと、あんまりステアリングがクイック過ぎると乗り心地が悪くなるし、
 高速走行時での安定性を保つためには多少ステアリングが鈍いぐらいが良いわけですね。
 ただ普段の運転で、ステアリングを持ち替えない運転は難しいと思いますが、工夫次第で持ち替えない運転も可能です(駐車時は別として)。
 ライン取りをスムーズに、スピードはできるだけ抑えれば、それだけステアを切る量を少なくて済むわけだし、
 90度の直角コーナー(左折・右折)の場合でも持ち替えなくても、曲がることができます。
 これは、ステアに頼らない曲がり方ができるようになる良い練習法だと思うので、試されてみては?(^^ゞ

● ブレーキペダル、アクセルペダルの踏み方
 ペダル類を扱うときに一番気にすべき点は、いかに正確に操作ができるかにあります。
 その点から見ても、足のカカトを軸にしてペダル操作をしたほうが、微妙なアクセル操作や、
 ブレーキングが行えるといえます。ただし、クラッチ操作は別ですが。
 そして、足のカカトをブレーキとアクセルペダルの間につけ左右方向に振れば、ペダル操作は楽にできます。
 そのメリットは、他にもあります。カカトを床にくっつけておけば、前後・左右のクルマに働くGに対抗でき、
 踏力が変わってしまうのを防ぐこと、足を動かす必要が減り、すばやい動きに対応できるなどがあります。

● ハンドルの握り方
 今どきのクルマならばパワーステアリングがついてるのは当たり前ですよね。
 ハンドルを握るというよりも、ハンドルに手を添えると考えたほうがいいですね。
 ハンドルを握ると無理な力が加わって、肩に力が入って、リラックスできません。
 そこで、親指以外の4本の指の腹から付け根のあたりをハンドルに添えます。そして、曲がる方向に押し出します。
 例えば、左に曲がるのであれば、反時計周りの方向に、右手を押し出す感じで・・・
 それでは、回し方については、後述の「ハンドル操作」についてまとめておきます。

 ハンドルの握り方には、2種類あります。
 一つは標準ポジションによるもの。もうひとつは、ストレートアームというものです。

 ○ 標準ポジション
  腕に若干曲がるゆとりがあるシートポジションからハンドルを握った状態です。
  ハンドルとシートが腕をつうじて固定されているため、とっさの対応や運転操作にムラがないポジションで、
  一番おススメの握り方です。

 × ストレートアーム
  シートに座った状態でハンドルを握ると、腕が伸び切ってしまった状態です。
  レーシングドライバーでもやっている人がいますが、サーキットではハンドル操作が少ないこと、
  クルマもクイックなハンドリングから舵角をそれほど必要とせず、常に緊張して運転しているから、
  問題ないとされているのです。しかし、一般公道を走る上では、体を動かすこともままならず、
  舵角もそれほど切れないので、あまりおススメできません。

 だからといって、体をシートに近づけすぎるのも考えものです。
 やっぱり、くっつけすぎると、腕が絡まって逆に操作しずらいし、事故ったときもハンドルで胸を強く打つ恐れがあるので・・・
 ほどほどにしておきましょう。


● シートベルトの意外な役割 
 近年では、自動車の安全性というものが見直されてきたおかげで、シートベルトだけではなくて、
 ABS(アンチロック・ブレーキング・システム)エアバッグや衝突安全ボディなど様々な安全装置が導入されてきてます。
 しかし、これらの安全装置も正しい使い方をしないと、肝心なときに役に立たなかったり、逆に凶器となり得ることもあります。

 シートベルトの歴史はかなり古いです。数十年前から自動車の安全性が叫ばれた頃からの歴史なのですから。
 しかし、未だにシートベルトの重要性を身にしみてわかっている人って少ないんではないでしょうか?
 シートベルトの役割は、まず代表的なものから、前方衝突の緩和ではないかと思われますが、
 これは何かと正面衝突した場合に、ハンドルやフロントガラスに体を打ちつけられないようにするものです。
 しかし、以外にもシートベルトは事故った時に、大事な役割を果たすのです。
 それが、乗員が車外に放り出されるのを防止することにあります。
 事故った時は、運転者は運転操作は何もできず、無秩序にクルマは静止するまで、なすがままの状態です。
 そのときクルマには、過大なG(加速度)がかかります。
 例えば、電柱に正面衝突してシートベルトをしていなかった運転手が車外に放り出されて・・・なんて事故はよく聞きますが、
 ほんのわずかなスピードでも人間の体はGにより放り出されてしまいます。
 そして、他にはクルマの横転時に乗員をシートに固定する役割があります。
 そう考えると、シートベルトは基本的ながら、大事な装置であるといえるでしょう。
 なにしろシートベルトは、マッハ1のスピードで急制動させた時に、乗員の命を守ることができるのですから・・・
 


● ABSを正しく使うためには
 ABSを正しく使うためにはペダルをちゃんと踏めるようにしとかないと行けません。
 エンジンをかけた状態で、フルブレーキングしてみて、足が伸び切らないことこれが絶対条件です。
 フルブレーキングで足が伸び切ってしまうとABSが作動せず、制動力が得られないだけでなく、
 事故った場合に、脚を複雑骨折する恐れがあります。また、ABSで大事なのは、とにかくクルマを停めることが大事なことです。
 その為には、ブレーキの利き始めを早くしてやることが必要で、すばやくペダル操作をできるようなドラポジにしなければなりません。

● エアバッグが凶器に・・・・ 
 エアバッグは最近クルマに標準装備されているようになってきています。
 けど、シートベルトをしなければ、効果はあまりないとされているのはよく聞く話ですよね。
 しかし、このエアバッグも使い方次第では、凶器になり得るのです。
 特に、子供などを助手席に乗せた場合に、シートベルトをさせなかった場合にありうることなのですが、
 普通エアバッグは大人の胸部から頭部にかけて、衝撃を和らげるため、クッションの役割を果たします。
 しかし、子供にとっては、頭部のみに衝撃がエアバッグにより加わります。
 このため、頭部の骨を折り、大怪我や死に至るケースもあります。最近ではメーカーの側からも見直され、
 エアバックを解除できるシステムを導入したりしてますが、とにかく、くれぐれもシートベルトは忘れないようにしましょう。

● チャイルドシートについて 
 最近、義務づけられたチャイルドシート。子供の安全性を確保するために、欠かせない装備です。
 しかし、コスト的な負担をどうするか、利用上の問題など様々な障害がありますが、
 子供を持つ(特に幼児)を持つドライバーには導入しておきたいものですね。
 話は元に戻しまして、主にチャイルドシートの役割は、シートベルトの子供版と行ったところでしょうか。
 特に、義務化に至った背景を見ると、子供が事故時に投げ出されて怪我に至るケースが多いこと、
 また子供にはシートベルトをする判断ができないことから、ドライバーにも責任が求められてきていることが言えるのでしょう。

ステアリング−ブレーキング−アクセルの一連の動作があってこそ、スムーズなコーナリングが実現します。
ここではコーナリングの基礎を更に発展させた形でまとめていきたいと思います。


(1) コーナーを走る前に
 コーナーに入る前に、考えることってなんでしょうか? コーナーを曲がるといっても、ビジョンがないとタイムは出ないし、漠然と走ってるのでは、ドラテクも思うように進歩しません。ひろひろもレーシングカートでいつも考えるようにしているのは、パワーの少ないマシンで速く走るためには「失速」は大きな敵なので、コーナーを攻める前に、2、3個先のコーナーを曲がりやすくできるようにしてます。それでも、遅いのはなぜ・・・?(^ ^;)本当に速い人のコーナリングを見ていると、クルマに無理なフリクション(抵抗)がかからなくて、一陣の風が通り過ぎていくような気持ちいいものなのです。 それでは、コーナーを曲がる前に何を考えればよいか考えましょう。

● まずはラインの設定
・「アウト・イン・アウト」と「スローイン・ファーストアウト」
 ラインの設定は基本的には「アウト・イン・アウト」というのは、大前提です。ただ、この言葉の本当の意味は、「できるだけ大きな半径(R)を描くようにコーナリングする」です。つまり、大きな半径(R)を描けば、車速は乗り、クルマにも無理な負担がかからずやさしい乗り方といえます。
 
 また、もうひとつラインの設定で有名な言葉は、「スローイン・ファーストアウト」ですね。これも、本当の意味は、「コーナー入口までにきちんと減速しておき、コーナリング中に早くアクセルを開けられるようにする」 のように解釈してます。つまり、コーナー入口までにコーナーに見合ったスピードに落としてさえいれば、コーナー直前までのストレートではブレーキが間に合う限りスピードを出すことができるということです。もう一つの意味は、「そのコーナーを見合った速度とはどれぐらいかを設定する」ということです。コーナーへオーバースピード気味に入ると、慣性力でアンダーが出やすくなったりして挙動が乱れやすく、結局ステアリングに頼りがちで、コーナリング中にアクセルを開けにくいという悪循環に陥りがちです。そこで、コーナーの限界速度はどれぐらいかを考えるわけですが、これははっきりいって個人差とマシンの差が出てきます。限界の設定というのは本当に難しいところなのですが、これは何度もトライして身につけていくしかないですね。

 以上、2つの原則についてまとめてみましたが、「アウト・イン・アウト」はライン設定に大いに関わります。半径を大きく描いたラインを考えるといっても難しいものです。そこで、ラインの設定をむしろコーナーに入る前から考えるのではなく、コーナーを出たときをイメージしてみるといいです。

つまり、、、、
1.自分はコース上のどこで立ち上がっていくかを設定
2.緩やかなRを描くCP(クリッピング・ポイント)を設定し、
3.CPとターンインに入る地点を、緩やかなRを描いて曲がれるように設定する。
 ラインの設定はいくつもあると考えられるようですが、上の1〜3の設定に無理があると、マシンにも運転にも無理が出てきて、タイムロスにつながるわけです。どんなに考えても最速ラインは一つしかないので、ベストラインを探すようにしましょう。


(1) ラインに沿った走りをするために

● ブレーキング
 コーナリングに入る前にすべきことそれはブレーキングです。ブレーキングと一言で言っても、エンジンブレーキやフットブレーキを使うものがあります。
エンジンブレーキとフットブレーキはどのような特徴があるのでしょうか。エンジンブレーキ駆動輪にブレーキがかかります。ということは、前輪・後輪駆動では二輪にエンジンブレーキがかかるわけです。また、駆動輪にブレーキがかかるということはタイヤをロックさせてしまうと大幅な挙動変化が発生します。つまり、FFだとアンダーステア、サイドブレーキを引いた場合と同じのFRだとオーバーステアが発生します (FRでエンジンブレーキを利用してリアタイヤを無理矢理ロックさせるシフトロックドリフトは、聞いたことある人がいると思いますが・・・) 。
 一方、四輪駆動では全てのタイヤにエンジンブレーキがかかるため、エンジンブレーキは4WDが有利です。フットブレーキは四輪全てにブレーキがかかり、エンジンブレーキよりも制動力は強く、安定傾向でありますが、前後重量配分により影響するのは前項の「駆動方式による違い(3)」に示した通りです。

 ブレーキはこの2つがあるわけですが、大原則はタイヤをロックさせないこと、また、タイヤの限界を超えるような(スキール音がするような)ブレーキングはしてはいけないことです(コーナリングで多少タイヤが鳴るのは仕方ないですが・・・) 。ブレーキングでタイヤを鳴らしている人いますが、よっぽど熟練したドライバーならともかく、コーナーに入る直線で鳴らすのはそれだけコーナーに無理して進入しているってことなんですよ。だから、ブレーキングポイントをもっと意識して、どこからどこまでの区間でブレーキングを終了させるかを考え、タイヤが鳴るのであれば、自分が思ってるより手前にブレーキングを開始してみるといいでしょう。慣れないうちはコーナーを攻めることを意識しないで、ブレーキングにもっとゆとりを持ってみましょう。

◎ ステアリング
・切るタイミングを意識しよう
 ブレーキングがコーナーの入口で98%終了すれば、残りの2%はターンインに使います。つまり、ブレーキを多少残した状態でステアリングを切り込むと、タイヤに荷重がかかってますから、コーナリングフォースは効率良く引き出せるわけですよね(駆動方式の違い:参照) 。ということは、ステアリングを切り込むタイミングも重要になります。ステアリングを切り込むタイミングは、自分が設定したラインに沿わせるようにします。当たり前のこといってるみたいですが、車速とかタイヤのグリップなどの要因で外に膨らむわけですから、それらを考慮した上で、どの地点でステアリングを切ればイメージしたラインに乗るかを意識してください。

 あともう一つは、左・右コーナーによる人間の視覚的な問題も意識するのも重要です。一般に皆さんは左コーナーと右コーナーどちらが得意といったら、左コーナーが得意といいますよね。その理由は、日本車は右ハンドル車が主流で、運転者には車の左サイドの車両感覚がつかみにくいのが一つの要因です。もう一つは、上の要因に付随するわけですが、日本は左側通行ですから、右側に座っているドライバーにとって、左コーナーは視覚的にコーナーの奥まで見渡せるに対し、右コーナーは奥まで見渡せないわけです。それゆえに、右コーナーが苦手という人が多いのでしょう。しかし、自分は右コーナーが苦手だといっても、それは意識すれば克服できる問題です。そのためには、まず車幅感覚を身につけること、そしてもう一つは、ステアリングを切るタイミングを見直してみることです。だいたいこの2つが原因で、多くの人は右コーナーでセンターラインを越えた走りをしてたりしてません?
 意外とステアリングに影響しているのもあるので、ステアを切るタイミングについてはいろいろ試してみて、習得するしかないですね。

・ステアリング操作はやさしく
 フロントをジャッキアップしてみて、ハンドルを切ってみると思ったよりハンドルがまわりますよね。意外と思うかもしれませんが、それだけステアリングはタイヤのグリップをデリケートに調整できるわけです。逆に考えれば、ステアリング操作は、クルマの挙動に対してもナーバスに反応するってことです。よく、ステアリングをを切ったり戻したり修正舵を切る人もいますが、これは昔のタイヤの性能が良くなかった時代に、グリップを無理矢理拾うためにしていたテクニックの一つですが、今はタイヤの性能は良いタイヤが山ほど出てきているので、そんなことをすること自体はムダであり、完全にグリップしている状態でそんなことをすれば、逆に挙動が不安定になってしまうのです。理想的なステアリング操作は、ハンドルの舵角を一発で決めて、かつスムーズに回すことがキモです。ステアリングを切り足したりするということは、コーナー進入時のターンインでキチンとフロント荷重が不足しているからです。フロント荷重が足りていれば、ハンドル操作も少なくて済むし、コーナリングのロール量も少なくて済みます。

○ アクセル

 アクセルオンにするとクルマは慣性の力で、フロントが持ち上がるノーズリフトが発生します。つまりフロントには荷重が減る代わりに、リアに荷重がかかるわけです。そのなかでアクセルオンによる挙動は駆動形式により異なります。FFだとフロントの駆動力が増えるとアンダーステア、FRだとリアタイヤが空転しにくく立ち上がりは有利ですが、あまりにひどいとリアタイヤが滑りオーバーステアとなります。一方4WDは駆動力が四輪全部に均等に(例外もあります:インプレッサとか・・・)振り分けられますが、前輪のほうが荷重不足になるので、アンダーステア傾向が強いです。それでも、FFほどはひどくはないですが・・・ですので、アクセルワークは駆動方式ごとにとはいわず、慎重に行うようにします(図1) 。図2みたいに、ボタンみたいにON/OFFしたんじゃ、クルマの挙動がぎくしゃくしてしょうがありません。


(1). ミスを出さないためにはミスを知る
 スキーでもそうですが、初心者のうちは、どうしようもない状態に備えて転び方を学びますよね。なぜ転び方を知っとかないといけないかというと、変な転び方をするとかえって怪我をする恐れがあるのと、止まってさえいればより安全だからですよね。コーナリングにしてもそうです。アンダーやスピンで、止め方を知らなかったら、万が一の事態に対応できませんね。そのため、ミスによるリスクを最小限に食い止めるための対処法をまとめておきます。その前に、アンダー・オーバーステアがなぜ発生するかをまとめていきます。

● コーナーでアンダー・オーバーが出る理由
 アンダーっていやなものです。ハンドル切っても曲がらないんですから・・・
そのままグリップが回復しなかったら、アウト側のガードレールにドカン!なのですから。 では、もしもアンダーステアが出た場合は次の原因があると疑ってください。
・オーバースピード
・ブレーキが強すぎる(特にFF)
・ハンドル操作が急激
・アクセル操作がラフ(特にFF・4WD)
・ライン設定が悪い(半径(R)が小さい、CPがインに早くつきすぎている)

それでは、各要因の対処法についてまとめていきます。
・オーバースピード:
 コーナー進入速度が速すぎるためタイヤの負担が過大となり曲がらなくなるため、まずは速度管理をしましょう。コーナーには適切な旋回速度があるわけですから、それに沿った走りをしましょう。

・ブレーキが強すぎる
 どのクルマにしたってそうですが、コーナリングでは旋回能力はフロントタイヤにかかってます。止まろうという力、曲がろうという力のバランスを感じ取りながら、ブレーキを調節しましょう。もし、アンダーが出るようであれば若干緩めてみて、ブレーキポイントは手前にしてみましょう。

・ハンドル操作が急激
 ハンドルを必要以上に操作すると、タイヤのグリップが追いつかなかったりすることもあるので、アンダーステアが出ることがあります。ハンドル操作はスムーズにしましょう。あと、ハンドルの切りすぎによるものも多いです。ハンドルは切れば曲がるわけじゃなくって、タイヤの性能を活かすためのきっかけにすぎません。一般に道路を走っている時にハンドルをいっぱいに切っても、ドライな路面でμ(摩擦係数)が高いときはタイヤのグリップが補ってくれてそんなに気にはなりませんが、雨や砂利道など低μ路ではタイヤを切っても曲がってくれないってこと結構ありますよね。
 つまり、ハンドル操作は切れば切るほど曲がってくれるわけではありません。また、ハンドルをいっぱいに切ると戻す操作も多くなり、かえって挙動が乱れてしょうがありません。大体、一般道を走っていても、どんなにいっぱいに切ってもハンドルは一回転半以下、慣れればハンドル持ち替えなしで一回転で済むこともできます。ハンドルは運転操作で独立して行うわけではなく、アクセル・ブレーキと連動して操作できればなんてことないはずなので、練習してみてください。そうすれば、助手席の人の車酔いも減らせるはずです。

・アクセル操作がラフ
 アクセルを必要以上に踏み込むと、駆動力がコーナリングフォースを奪い、やがてタイヤのグリップが失われてきます。しかし、急激にアクセルを戻すと、フロントに荷重が移り、タイヤのグリップも急激に戻るため、アンダーステアからオーバーステアに転じます。これを「タック・イン」といいます。コーナーでもしもアンダーが出てしまったら、「タック・イン」現象を使うのも有効です。特にFFや4WDは前輪で駆動しているためこの傾向が強いですが、FRなどでもこの傾向は見られます。もし、熟練ドライバーならば、次のようにすればオーバーステアに対処できます。FFならば基本的にアクセルを全開にして、カウンターステアはほとんど当てないで下さい。逆にFRならばアクセルを控えめにして、同時にカウンターを当てます。なぜFFでカウンターステアをほとんど当てないかというと、当てたほうにとっちらかってかえって危険だからです。ただ、FFだとアクセルを全開にすることでスピンに積極的に対抗でき、FRに比べればオーバーステアに強いとされています。

・ライン設定が悪い
 ライン設定と一言で言っても、アンダーが出る要因は簡単です。ラインの設定上でどこか半径(R)がきつくなってるからです。そして、アンダーが出るところは、進入(突っ込み)か立ち上がりにかけてです。もし進入でアンダーが出るようであればCPをもっと手前に、立ち上がりでアンダーが出るようであればCPをもっと奥に設定してみるといいでしょう。もちろん、オーバースピードなどの要因もからんでくるかもしれないですが・・・

 と、まとめていきましたが、オーバーステアに対しては駆動方式ごとに対処法が違うものですが、アンダーステアに対しては対処法は一つしかありません。それは、素直に減速することにつきます。下手にスピンで片づけようとするとかえって制動距離が長くなることもあるので。特にABS車は有利です。フロントロックの状態だけは避けられるので、ド・アンダー状態は回避でき、思いっきりブレーキが踏めるわけですから。しかし、アンダーステアは百害あって一利なしの状態ともいえるでしょう。市販車はアンダーステア傾向に仕上げられていますが、アンダーを出さない走りをするためには、一つ一つの要因を理解し、クリアーすることで、解決できる問題といえます。四輪のタイヤグリップと相談しながら走ることができるようがんばりましょう。


MT(マニュアル・トランスミッション)はスポーツカーを中心として未だ残ってますが,
運転の上手さはギア操作にも如実に現れてきます. ここでは,助手席の人を酔わせないMT操作をまとめます.

(1) MT(マニュアル・トランスミッション)とAT(オートマテック・トランスミッション)の違い
 皆さんがよく見かけるトランスミッションは大抵オートマことATでしょう.なぜATがここまで普及するかというと,理由はいくつかありますが,やはり操作のしやすさにあります.つまりミッション操作をあまり必要としない(ここで”全然”と書かなかったのはATにもギア操作は必要だからです)ため,どんなに運転操作が苦手な人でも,気軽に運転できる機会がもてるからでしょう.
 しかしATがほとんど普及している中で,スポーツカーなどではMTを採用を続けているのはなぜでしょうか.答えは,スポーツカーにはギアとエンジンが直結するようなレスポンスの良さと,ドライバーにとっても運転する楽しさを味合わせるためには非常にマッチングしていることが挙げられます.もちろんATの良さは私は否定しませんが,運転技術を磨くならMT操作にも慣れてく必要があるとおもわれます.

(2) シフトアップの仕方
 AT車を運転すれば分かると思いますが,シフトアップを自動的に行われても,それほどピッチング(車両の前後方向の振動)はあまり発生しませんよね.もちろんこれはアクセルを一定に踏み込んだ場合としますが,どうしてピッチングが少ないかというと,アクセルを踏み込んだ状態で,しかもアクセル開度に最適な回転数でシフトアップしているからです.そうすることで,加速G(加速度)の変化を減らし,安定した加速が得られるわけです.しかしMT車ではクラッチ操作とシフトレバー操作が加わるため,ATの代わりにドライバーが判断しなければなりません.MT車オーナーでシフトアップがなぜギクシャクするのか?その理由をいくつかまとめていきます.

● アクセル開度
 アクセルを一定に踏んでみると,エンジンはある一定の回転を越えると,それ以上加速しなくなります.ほんの少しだけ開ければ低い回転域でそれが現れ,全開にすればより高い回転域で現れます.(なぜ,「ある一定の回転数」以上で加速しないかというと,エンジンが引き出すパワーはアクセル開度で決まりますが,回転を上げれば上げるほどエンジン内の抵抗が増え,それ以上は加速しなくなるからです)。つまりどういうことかというと,エンジンのパワー特性の変動が回転を上げていけばいくほど小さくなること,すなわち「ある一定の回転数」においてはピッチングはほとんどないといえます.

 つまり急激なピッチングを減らすためにはどうすればいいかというと,アクセル開度に応じた最大回転数を見極め,そこまでクルマを加速させることです.最大回転数より前では加速のためノーズリフトしてます.そんな時にクラッチを切り,加速を中断すると,ノーズリフトから急激に戻ろうとするため急激にピッチングが発生する原因になるのです.また,アクセルワークもピッチングの量を決める重要な要素です.つまりアクセルを急激に踏めばピッチング変動は激しくなるので,安定しません.だからといって急激に戻すのもいただけません.アクセル操作はできるだけスムーズに行うことも大事です.

● シフトレバー
 シフト操作も影響してきます.一般にシフトレバーはエンジン回転とミッションの回転が,できるだけ合わせられるようにとあまりに回転差がある場合はギアが入りにくくなってます.逆を言えば,ギアが入らないのに,無理矢理ねじ込もうとするのは回転差があり過ぎて,シフトレバーを通じて,回転を合わせるようにしてくれるようにと教えてくれているのです.そのため,エンジンの回転とミッションの回転を合わせてから,ギアを入れるようにすれば全く問題ありません.

● クラッチワーク
 クラッチを切っている間は,ミッションがエンジンと繋がっているときよりも回転の落ちが早いので,回転が落ちた状態でシフトアップしてしまうと,ミッションとエンジンの間に回転差が発生し,加速がかったるくなります.逆に回転数を上げ過ぎた状態でつなげてしまうと,ミッションに影響大です.つまり,シフトアップに限らないことですが,クラッチをつなげるタイミングがあるのです.また,必要な回転数に合わせてアクセル開度も調整します
 例えば同じ60km/hでも,2速で4,000rpm,3速で2,500rpm,4速で1,500rpmであったとします.もし,2速で60kmまで引っ張れば,タコメータから4,000rpm→2,500rpmまで落ちるのを見越して,2,500rpmで3速にクラッチミートします.もちろんその時はアクセル開度も1,500rpm分だけ踏み込みます.
そうすれば,おそらくショックのないシフトアップができると思います.ただ,これは最初はタコメータを見ながら回転数を知りながらやる方法をおすすめしますが,慣れてきたらエンジンの音や速度感などから回転数を把握できれば,おそらくシフトアップが無意識にできるようになってるでしょう.

● 素早いクラッチワークのためには・・・
 クラッチを切っている間は,クルマに作用する力は路面との摩擦力のみで,減速することしかありえません.(勾配などの影響もあるかも知れませんが・・・)。つまり,クラッチを切っている時間が短ければ短いほど,いいのはいうまでもありません.その点AT車はシフトチェンジが行われても,有利といえるでしょう.そこで,シフトチェンジでこのようなタイムロスを削るとすればどこか・・・それは,クラッチミートの時間を削ることにつきます.よく「クラッチミートはデリケートにするように」という言葉を聞きますが,これは要するにこういうことです.「クラッチをつなげるときは,半クラッチの範囲に早く戻し,半クラッチ範囲のみでデリケートに操作する」ことなのです.クラッチが全然切れてしまっている状態でもたもたとしていると,加速のタイミングが遅れてしまいます.もしそうであれば,半クラッチの範囲がどの辺か分かっておく必要があります.

それでは,次にシフト操作の難関,シフトダウンについて説明していきます.


(1) なんでシフトダウンするの?
 なんで,シフトダウンするのか?その理由はいくつかあります.
 まず一つはエンジンの回転を高めることでエンジン内の摩擦抵抗を多くし,減速時にエンジンブレーキ効果を強めること.もう一つはエンジンの回転数を維持することで,テンポ良く加速していくための二つの理由があります.よく高いギアに上げていて,停止するときに高いギアのまま止まる直前までつなげている人がいますが,そんなことしているとエンジン回転が非常に低回転に落ち込んでしまい,逆にエンジンに負担がかかっています.また,停止するときにはギアをニュートラルにして止まるときはフットブレーキで止まる人もいますが,あれもちょっといただけません.というのも,エンジンブレーキが使えないことは,フットブレーキに負担が加わりやすく,またエンジンもアイドリング状態と変わらないので負担がかかります.よく燃費がいいからニュートラルで止まる人がいますが,エンジンブレーキを使えば,エンジンに供給される燃料がカットされ,かえって燃費がいいんですよ.だから,燃費向上のためにもシフトダウンも有効なのです.

(2) シフトダウンの仕方
 AT車とMT車と比較してみて,ATはアクセルを踏んだ量だけシフトアップを適切に行ってくれますが,AT・MTともシフトダウンに関してはかなり難しいです.というのも,シフトアップはギアを上げていく作業ですから,ギアチェンジを上げればエンジン回転数が下がる傾向で,アクセルを無意識に抜き回転数も下がるわけですから,シフトアップはそんなに難しくないはずです.しかし,シフトダウンではギアを下げていく作業で,ギアを下げればエンジン回転数は上がるのですが,アクセルは意識的にふかしてやらなければなりません
 一番の問題点はこのアクセル開度をどれぐらいにするかであるとは思いますが,基本的にはシフトアップと同じで,回転数を合わせてギアを入れる作業は全く変わっていないのです.

● アクセル開度はどのぐらいにするか??
 アクセル開度に関してはシフトアップと同様,車速に適した回転数であるために,調整していきます.必要以上に回転を上げクラッチミートをするとミッションにダメージを与えるので,自分の車のギア比から適切な回転数を把握する習慣をつけるようにします.シフトアップ・ダウンの回転数の合わせ方は最初は一番の難関だと思います。理論的に考えてみましょう。もし理解しにくければ下の説明はとばしてもらっても結構です。



【理論的説明】
 回転数はギア比変速比=エンジンの回転数/ミッションの回転数・・・・式【1】)によって変化するわけですから、上の式(1)について考えてみます。ミッションの回転数=速度と考えてみます。(∵この2つは異なる次元ですが、比例関係にあるので無理矢理そのように定義します)
そこで式【1】を変形していくと、速度≒エンジンの回転数/変速比・・・・式【2】ということになりますよね。

 つまりこの式から言えることは、速度を上げていくためには、エンジンの回転数を上げていくか、変速比を下げれば(ギアを上げていく)いいわけですよね。 それでは、ギアがn速に入ったとして、そのときの変速比を変速比(n)とします。そして、シフトアップしてn+1速に入れたときの変速比を変速比(n+1)とします。それぞれこの2つを式【2】に当てはめてみると・・・
 速度(ギアn)≒エンジンの回転数(ギアn)/変速比(n)                  ・・・・式【3.1】
 速度(ギアn+1)≒エンジンの回転数(ギアn+1)/変速比(n+1)・・・・式【3.2】
 シフトチェンジしたときの速度は変化しないものと考えていくと、速度(ギアn)=速度(ギアn+1)と考えられるので、式【3.1】と式【3.2】は次のように変形されます。
(シフトアップ)エンジンの回転数(ギアn+1)≒エンジンの回転数(ギアn)×変速比(n+1)/変速比(n)・・・・式【3.3】
(シフトダウン)エンジンの回転数(ギアn)≒エンジンの回転数(ギアn+1)×変速比(n)/変速比(n+1)・・・・式【3.4】
 つまりこの2つの式からは、変速比のアンダーラインの部分の分だけ、現在のエンジンの回転数を倍にして、エンジンの回転数をあわしてあげないといけないわけです。式【3.3】はシフトアップの場合、式【3.4】はシフトダウンの場合を指しています(説明がへたくそで申し訳ありません)。



例えば私の前のクルマですが、ギア比は次の通りです。

表1 ギア比
  5MT 4AT
1速 3.250 2.600
2速 1.900 1.393
3速 1.250 0.926
4速 0.909 0.673
5速 0.750 -

 4速・80(km/h)で2000(rpm)であるので、もし3速にシフトダウンする場合は、式【3.4】の結果より、変速比(3速)/変速比(4速)=1.250/0.909=1.375倍分だけアクセルを開けること、つまり2000(rpm)×1.375=2750(rpm)で回転を合わせなければなりません。同様にシフトダウンのためにアオってやるアクセル開度の倍率をまとめると次のようにまとめられます。
 

表2 アクセル開度の倍率
シフトダウン ギア シフトアップ
変速比 倍率 変速比 倍率
3.520   1速 3.520  
1.853 0.540
1.900 2速 1.900
1.520 0.658
1.250 3速 1.250
1.375 0.727
0.909 4速 0.909
1.212 0.825
0.750 5速 0.750
   

つまりこの表から言えることは次のようにまとめられます。

<シフトアップの場合>
 よく教習所では「ギアを高い時ほどすばやくクラッチをつなぐ」と教えられますが、高いギアほど変速比が小さくなるのもありますが、シフトアップの倍率が高くなる要因から言えます。逆に「ギアを低くするほどゆっくりとクラッチをつなぐ」というのは、変速比が高くなり、倍率も低くなる傾向から言えることなのでしょう。こうした理論により裏付けできると思われます。その時のアクセル開度は、アクセルを閉じたことで、自然にエンジン回転が落ちるまで、待たなければならないことになるわけです。

<シフトダウン>
教習所ではあまり教えてくれない(教える必要がない)のですが、私だったらこう説明します。「シフトアップと同じことをしなさい」と教えるでしょう。「ギアが高いときほどすばやくクラッチをつなぐ」、「ギアが低いときほどゆっくりとクラッチをつなぐ」とします。しかし唯一違うことは、シフトアップは自然にエンジン回転が落ちるのを待つのに対して(受動的)、シフトダウンではアクセルを積極的に踏み込むことで回転を調整(主動的)しなければならないわけです。
また、そのアクセルの回転が上げて調整しなければなりませんが、シフトアップのようにエンジン回転数が自然に落ちるまで待つのと違って、アクセルを踏み込み量を増やせば、より目的回転数に短時間で到達することができます
 つまりクラッチミートのタイミングをより短縮できるというメリットがあるということです。もちろん最初は誰だって慣れないもので「フォーーン、フォーーーン」というダラダラとシフトダウンしていくと思いますが、アクセルワークができるようになれば「フォン、フォーン」といった具合にメリハリがあるエンジン音のように短時間にシフトダウンができるようになります。

● クラッチ操作
 シフトダウンにはエンジンブレーキと再加速をテンポ良く行うという2つの理由がありました.再加速のためにシフトダウンするのであれば,回転が上がろうとする状態でミートさせれば安定するし,エンジンブレーキのためには,回転が下がろうとしている時にミートさせればいいのです.ただ,煽った時に完全にアクセルをオフにしてしまうと,クラッチミートしたとたんに,急激なエンジンブレーキがかかることがあるので,アクセルは多少踏んだ状態がいいのです.
 また,エンジンブレーキのためにシフト操作する場合は,アクセルも煽ることも大事ですが,まずは車速を落としてしまうことも大事です.ヒール・アンド・トゥでブレーキを踏みながら減速するのも有効ですが,まずはブレーキが利いてないと,ただの止まらないクルマになってしまうので,気をつけましょう.


(1) ヒール・アンド・トウ
● シフトダウンとの違い
 ヒール・アンド・トウ・・・っと聞いて走り屋の方々はお試しになられたこと多いんじゃないんでしょうか?
 迫りくるコーナーを前に,減速しつつ,リズミカルに響くエンジン音に憧れてしまうのもわかります.でも,ヒールアンドトウはもともとシフトダウンと意味が違いますよね.シフトダウンは別にブレーキングがなくても回転さえあえばできるし,2本の足でクラッチ・アクセルの2つのペダル操作ができるので全然楽なはずです.

● なぜヒール・アンド・トウなのか?
 それでは,ヒールアンドトウではなぜ2本の足で3つのペダル操作をする必要があるのでしょうか?

 ブレーキというペダル操作が加わることは,減速する必要があるわけですよね.だって,再加速する目的だけならば,ヒール・アンド・トウなんて別にしなくたっていいわけですよね.よくヒール・アンド・トウは再加速のためのテクだと勘違いの意見を聞きますが,ヒール・アンド・トウは減速することが大原則で,エンジン回転数をできるだけ安定させるために行うテクニックであるといえます.コーナーで回転が落ちた状態でいきなり低いギアに入れてしまうと,急激なエンジンブレーキがかかり前後方向にピッチングが発生したりして挙動が乱れてしまいます.つまり,ブレーキングをしながらスムーズにシフトダウンしていくこと,それがヒール・アンド・トウの定義なのです.

● ブレーキングが大前提!!
 先ほども定義した通りヒール・アンド・トゥはブレーキングが大前提です。つまりシフトダウンしないときと同じようにブレーキの踏力が変わってはいけません。それではヒール・アンド・トゥをするための下準備について次にまとめて行きます。

● まずはペダルを見る

 ヒール・アンド・トゥをするためにはペダルの位置が重要です。一般的に、ブレーキペダルがアクセルペダルよりも上(カカトを奥に押し込む感じ)にあればベストです。 

 というのもブレーキングしながらアクセルを踏むわけですが、つま先をブレーキペダルに固定して踏まなければならないですが、このときカカトを引きながらアクセルを踏み込んでしまうようになってしまうと、ブレーキの踏力が抜けてしまいやすいことがあるからです。

● 練習するならタコメーター
 回転数の把握をするんだったら、タコメーターもあれば便利です。エンジン回転と車輪の回転数(速度)が把握できれば、速度にギア毎の回転数もわかりやすくなると思います。どうしてもなければ、スピードメーター(速度計)やエンジンの音や、踏み込み量で判断できるようにしましょう。

● 今履いている靴は??
 できれば履いている靴も考えましょう。レーシングシューズを履けとまでは言いませんが、ペダルの踏みやすいスニーカーなどがおススメです。ペダルでどうしてもアクセルペダルを踏みにくければ、厚底の靴を履いてみるといいでしょう。

 さてそれでは、いよいよヒール・アンド・トゥのやり方について示していきます。


● ヒール・アンド・トゥとシフトダウン
 シフトダウンでは一番問題となるのはエンジン回転数を合わせることですが必ずしも減速しないです。しかしヒール・アンド・トゥは元来減速するためのテクニックですから、ブレーキングしながらエンジン回転数を合わせなければならないという非常に忙しい操作であるといえます。以下においてはヒール・アンド・トゥの理論的な解説を加えていますが、わかんなかったらとばしていただいて結構です。

【理論的解説】
 ギアに見合った回転数というのは、シフトダウンでは速度が一定という前提条件で先程説明しましたが、それは変速比で容易に算出できましたよね。しかし、ヒール・アンド・トゥでは減速によって、速度そのものが変わるので目標回転数もそれに伴い変わってしまいます。つまり、目標回転数の変動傾向を知っておく必要があるわけです。目標回転数というのは速度と変速比に見合った回転数を指していますが、この算出方法に関しては、ここでは割愛させてもらいます(詳しくは車両の最高速度の算出においていつか示していきます)。

 まずここでは、一つの例を示していきます。5速160km/hで走っているとします。そこで、踏力が一定という条件でシフトダウンしていく毎に30km/h減速されるとします。(実際はブレーキの効きなどは高速では弱いですが、簡単のため無理矢理そのような条件で考えてください)。すると目標回転数は下の右から3列目に示される通りになります。次に3速・100km/hで走行して3速から1速まで順にシフトダウンした場合を考えると、目標回転数は一番右の列のようになります。

表1  回転数の比較(ヒール・アンド・トゥとシフトダウン)
ギア 速度(km/h) 変速比 ヒール&トゥの
目標回転数(rpm)
速度(km/h) シフトダウンの
目標回転数(rpm)
1速 40 3.250 5500 100 14600
2速 70 1.900 5400 100 7900
3速 100 1.250 5200 100 5200
4速 130 0.909 4800 - -
5速 160 0.750 5000 - -

 つまりこの場合は、目標回転数はヒール・アンド・トゥではシフトダウンよりもエンジン回転数を上げなくてもよいことがいえますよね。また、30km/hごとに減速した場合、目標回転数はシフトダウンの時よりも変動していないことから、目標回転数はシフトダウンの時よりもゆるやかに増えていくといえます。これはほんの一例に過ぎませんが、一般的にこの2つの傾向があるのではないかと思われます。
 ただしこの説明では、前提条件で減速度30km/hとしましたが、実際のブレーキの踏力は変わっていくし、ギア比の設定を変えていけば(クロスミッションなど)当然のことながら回転数も変わってきてしまいます。つまりこの部分を考慮できればさらに精密な回転数が把握できるのでしょうが、あまりややこしくなると説明がややこしくなるので、時間があれば今度解説するとします。


 上の説明は以上で終わりですが、まとめていくと次のようになります。

  1.回転数を上げる必要があるが、全体的にシフトダウンの目標回転数よりも低いぐらいに回転数を上げる
  2.目標回転数はシフトダウンの時よりも、回転数を極端に上げていくよりも、徐々に高めていく感じにする

 この二つに集約されると思います。とはいえ、これははっきり言うとアタマで理解するよりもカラダで覚えたほうが一番早いと思います。今回は30km/h刻みで減速していきましたが、実際は様々なブレーキ踏力でヒール・アンド・トゥをするわけですから。

 それでは、ヒール・アンド・トゥを体得するための、基本動作と練習法について次にまとめていくとしましょう(うー、アタマが痛い・・・(^ ^;))。


● ヒール・アンド・トゥの練習法
 さてヒール・アンド・トゥの必要性を先程示していきましたが、理解できたでしょうか?
 多分難しい説明だったので、理解しにくいところもあったかもしれませんが、経験を通じて理解することも大事なので、ここでは練習法についてまとめて行きたいと思います。まず、正しいヒール・アンド・トゥができるようになるためには、いきなりマネゴトをしたってうまくいかないと思うので、ひとつひとつステップを踏みながらやりましょう。

・ まずは踏力一定ブレーキ!!
 ヒール・アンド・トゥではブレーキが大前提であるといいました。踏力一定ブレーキの練習法としては、交差点の赤信号の停車がいいと思います。
ブレーキの踏む力を一定にしていろんな踏力で試してみましょう(注意!!くれぐれも後続車がいるときや明らかに交差点内にオーバーランしそうであればやめましょう) 。
 この練習では、それぞれの踏力に応じた制動距離というのが把握できます。停止線に一発で停められるようになれば、もう言うことなしですね。

・ シフトダウンの練習
 これは先程にもありましたが、シフトダウンはあくまで、ブレーキを使わないで、アクセル開度を把握するための練習だと考えてください。主に練習場所は長い直線の道路とかがベストです。ただし、このときブレーキは使わないわけですが、アクセルはカカトで踏むようにしてください(注意!!安全最重視でブレーキはいつでも踏めるように左足の準備をしとくといいでしょう。後続車にも注意してください) 。

 さて、これらを習得できれば次はいよいよヒール・アンド・トゥです!!まずヒール・アンド・トゥの一連の手順については次のようにまとめられます。

 ヒール・アンド・トゥの練習場所は主に交差点ですが、スピードが高ければいっぱいシフトダウンができるので、高速道路のICなどで練習するのが一番効果的ですよね。とにかく、回りにクルマに迷惑をかけないのが一番です。慣れれば、スムーズに素早くシフトダウンできるようになるし、いろんな場面で試せるようになります。とにかく初心者のうちは見よう見ままの真似は絶対やめましょう。


クルマは「走る・曲がる、そして止まる」機能があって初めて運転ができます。
ABSについて正しい理解をして、使いこなすことでより、安全な運転をマスターしましょう。


(1) ABSってどういうメカニズムなの?
 ABSのメカニズムを説明する前に、ブレーキを急激にかけた場合を考えてみましょう。クルマの前輪は操舵、後輪は直進性を維持するためにあります。
 急ブレーキをかけるとクルマはノーズダイブしますよね(左図)。そのとき、後輪は荷重が抜け、ロックしやすくなります。そうすると直進安定性が失われ、最悪の場合はスピン状態に陥ってしまうのです。それでは、リアタイヤがロックしないためにはどうすれば良いのでしょうか?
 ブレーキングでリアタイヤの荷重が抜けるのは仕方ないにせよ、後輪をロックさせないブレーキ制御を行えば良いのです。タイヤをロックせず、制動力と旋回性能を残しておくことを機械的に行うもの、それが、ABS(アンチ・ロック・ブレーキングシステム)なのです。

(2) スリップ制御でクルマを止める・曲げる
 止まるためには、タイヤと路面の間でスリップが発生することで、制動力が生まれます。ただ、このスリップもあまりひどくなると、最終的にロック(スリップ率=100%)します。その時、制動力は80%ぐらいが残されていますが、曲がるための力はほとんどありません。

 摩擦円の原理でもありましたが、制動力を増やせば、曲がるため力は次第に減ってしまい、最後にロックさせてしまうと、全くクルマは曲がってくれなくなります。さらに意外なことに、タイヤをロックさせてしまうと、制動力がフルに発揮されないことがいえます。それでは、止まるための力と曲がるための力を最大限に効率よく発揮するには、どうすれば良いのでしょう。
 答えは、スリップ率をさかのぼってみていけば分かると思うのですが、黄色のABS作動範囲で、そのため、制動力の最大値を早く引き出し、かつ若干曲がる力を保ってやれば良いことがわかります。以上のことから、ブレーキングと旋回能力を最も効率的に引き出すためのスリップ率は10〜15%とされてます。しかしこの範囲は大変狭いので、人間がポンピングブレーキをかけながらスリップ率を制御するなんて、まさに至難のワザと言えます。ロックさせないだけでも、難しいのに・・・ということを考えると、機械制御のABSは安全装置としてはすばらしいものですよね。

(3) 初期制動は早く立ちあげる
 ABSに限ったことではありませんが、制動力を立ちあげるまでにはタイム・ラグ(時間差)があります。「認知して判断するまでの時間」、「アクセルからブレーキへ動かす時間」、「機械的にブレーキが効く時間」の3つです。時間差をなくすためにはまず周囲への配慮を欠かせないことはもちろんですが、
判断はできても機械的に正しく扱いきれてないところがないでしょうか?実は、ブレーキを踏みきれていない人が多いのです。
 特にABSを装備しているにもかかわらず、確実に止まれていた距離であるにもかかわらず、オーバーランしたためにしなくてもいい事故に関わったりするケースが多いのです。ABSを使うときには初期制動を早く立ちあがれば、止まるための力は多く確保できるし、時間が短くて済みます。注射器でもゆっくり押すのと、重いっきり押すのとでは圧力も時間も違いますよね。最近では「ブレーキ・アシスト(※)」といって多少制動力が不足気味でもブレーキを補助して、ABS作動を早くするといったメカもあるみたいですが、アシスト非搭載車ならばABSを信じてとにかく「親のカタキ」だと思って、思いっきり踏んでください(それこそドン!って音がするぐらい)。
 で、ABSが効いているときは、足に「ガ・ガ・ガ・ガ・ガ」という小刻みな振動が来るはずですが、それこそABSがちゃんと効いている証拠です。で、クルマが1cmたりとも動かなくなるまで、絶対にブレーキは緩めないで下さい。そうすれば、案外短い距離で止まれるものですよ。それでは、ABSの応用編として、スポーツ走行でABSを活かした走りということで次のリンクをクリックしてください。

※ブレーキアシスト

 ABSの初期制動を、早めに発生させるメカニズムです。主に、高齢者や女性など、踏力が不足しがちなドライバーの補助を行います。

C 路面によって制動距離は伸びる
・ブレーキには2種類ある?
 ブレーキと言うのは、タイヤの摩擦力を使ってます。つまり、タイヤによって制動力が変わってくるわけです。これを、メカニカル・グリップと言います。しかし、雪道や砂利道はタイヤをロックさせた方が制動力が伸びることが結構あります。これは、なぜでしょうか?
 雪道や砂利道などでは、車と一緒に、雪や砂利が動くことになります。つまり、ブレーキといっしょに砂利がタイヤの前に溜まり、輪止めみたいになるワケですね。いわば、摩擦力よりも、輪止めによる抵抗が大きいことによるものです。だから、メカニカル・グリップで止まるか、輪止めで止まるか・・・・ABSの特性を判断した上で、キチンと使いこなすことが大事になりますね。


クルマは「走る・曲がる、そして止まる」機能があって初めて運転ができます。
ABSについて正しい理解をして、使いこなすことでより、安全な運転をマスターしましょう。


(1) ABSは一般的なステア特性
 ABSはブレーキ油圧を制御することで、制動力を制御してます。つまり摩擦円の原理で言うと、制動力を機械的に制御して、旋回性能を引き出しているわけですよね。しかし、ABSが働くということは、いったんロック状態に陥ったのを解除して、再びロックさせる・・・の繰り返しなので、常に制動力はめいいっぱい使った状態であり、それにともない、曲がるための力が得られたり、得られなかったりしているわけです。それでも、トータルでは曲がっていくことにはなるので、衝突回避とかに使えるわけです。

●ABSはアンダーステア。
 図1にもあるように、曲がる力をある程度確保しながら、ブレーキ制御するABSなわけです。それでは、ABSを利かせながら、ステアリングを切った場合どうなるでしょうか?
 この場合、制動力をできるだけ確保した上で、さらに安定性を保たなければなりません。曲がる力がかかりすぎてしまうと、オーバーステアと言う悪癖に襲われるわけなので、安定性を保つには、弱いアンダーステアに振ってあるのが一般的なABSです。しかしアンダーステアだからといって、決して曲がらないと言う意味ではありません。

(2)衝突回避に有効なABS

・まずは減速せよ!
 衝突回避で一番大事なのは、ともかく減速することが第一です。そうしないと、車の慣性力で、いつまでたっても止まろうとしませんからね。ある程度スピードが落ちたら、次は車の向きを変えます。

・ハンドル切っても、ひたすらブレーキは思いっきり!!
 慣れたドライバーほどやりがちですが、ブレーキの踏力をコントロールする方がいます。図1の摩擦円の原理にもありますが、ABSは減速力と曲がる力を限界まで均衡させながら作動しているから、そういう行為は制動力が伸びてかえって危険です。だから、ひたすらブレーキは思いきり踏み、ステアリングを切りこみます。

※ABSの恩恵が分かるのは、だいたい40Km/hからのスピードから体験できます。それ以下のスピードだと、ABSは作動しません。

★スピンで逃げると言う手段も
 ABSなしのドライバーが良くやりがちなのは、スピンによる回避でしょうか。。。これはあくまで奥の手として考えてください。弱アンダーステアに振ってある、ABSはどちらかというと制動力重視の回避手段なのですが、障害物を避けられない場合もあります(例えば、壁の正面衝突など)。その場合は、車の向きをクイックに変えなければならない、コントロール重視の回避手段もあります。それが「スピンターン」と言うヤツです。ちなみに、これは制動力が短くなると勘違いしてる人がいますが、大きな間違いです。ブレーキが直線運動とすれば、スピンは回転運動でこのかん制動は行われず、車の慣性力のなすがままになるワケですから、ABSよりも制動力は伸びます

【スピンターンのやり方】
 (1).ブレーキでしっかりと減速する。
 (2).ステアリングを少し切りこむ(砂利道の場合は多めに切る)
 (3).FR・MR・4WD車はクラッチを切る。FFは切らなくても良い。間髪入れずに、サイドブレーキを引く。
 (4).車のテールが流れたら、クラッチを繋ぐ(FR・MR・4WDのみ)。

 つまり、以上のことを考えると、回避手段はいくつもあるということですね。以下に特徴をまとめておきましたが、ABSで衝突回避するべきなのは、大原則といえるのではないでしょうか。

  ABSによる回避 スピンターンによる回避
制動力
コントロール性

クルマは「走る・曲がる、そして止まる」機能があって初めて運転ができます。
ABSについて正しい理解をして、使いこなすことでより、安全な運転をマスターしましょう。



(3) ABSを使ったコーナリング
 最後にABSを活かしたコーナリングの解説といきます。これは普段の運転でも衝突回避に役立ちますので、知っておいても損はありません。

●問題になるのは遠心力!

 ABSの本来の目的はスピンを回避するためにあるワケですが、車をスピンさせる力は遠心力ですね。そのため、遠心力に対抗するために、リアタイヤというものがあり、車はコントロールを保っているわけです。ところが、タイヤをロックさせてしまうと、タイヤのグリップは一気に低下。それにより、遠心力がスピンを誘発するわけですね。つまり、ABSはタイヤをロックさせないことで、スピンを防ぐ役割があります。
 ところが、タイヤのグリップにも限界があってのABSですから、ABSがあったとしても遠心力が強すぎれば、車はスピンすることもあります。そういう点からすると、ABSは車両の安定性を保つ補助的な装置で、物理法則を変えられるほどのものではないと考えるべきです。

 そこで、遠心力のコントロールが非常に重要になります。
遠心力は物理でも習ったように、「車両重量」、「速度」、「コーナーの半径」の3つに影響します。
 (F:遠心力、m:車重、V:速度、R:コーナーの半径)
 この3つのうち、「車重」は車によって変わってくるので、ドライバーが変えたりすることは不可能です(当たり前だけど)。ところが、速度やコーナーの半径は運転次第で、コントロールできるモノですね。そこで、速度管理なだらかなライン取りが重要になるワケですね。どんな車でも車をコントロールしやすくするためには、1Km/hでもスピードを落とすこと、これが重要なのです。
 では、「速く走るためのレーシング走行では・・・どうか?」というと、基本的に重要なところは変わらないのですが、スピードは限界まで高くなるのでコントロールがシビアになるワケです。

●ABSを活かしたコーナリング
 ここまで説明を続けてきましたが、ABSはともかく弱アンダーでどちらかというと制動力重視のブレーキということになります。ところでスポーツカーに搭載される「スポーツABS」というのは、コーナーを速く曲がるために設計されているために、アンダーステアが出にくいモノになってます。一言でABSと言っても特性が変わってるので、比較するのも良いでしょう(スポーツABSはMR2やセリカなどにも搭載されています)。
 

●直線区間:ならべくステアを切らず減速
 コーナーに入る前にはともかく減速しますが、ならべく減速は短くしたほうが安全だし、速いですよね。そこで直線区間ではならべくステアを切らない減速が大事になります。テールスライドさせてるようなブレーキングは制動距離が伸びるので、ABSをここから既に効かせます。注意したいのが、ABSを過信したオーバースピードの進入ですが、どんなに素晴らしいABSがあってもアンダー・オーバーステアに陥ることは避けられないので気をつけましょう。

●コーナー区間:ステアを一定に切る
 ここからABSは、コーナリングを行うために、制動力だけでなくコーナリングフォースを確保するために、タイヤグリップをコントロールします。そこでできるだけ、ステアは一定に切ることで、コーナリングフォースを稼ぎ出すことが重要です。よくステアをこじりながら曲がる人がいますが、タイヤの負担を増やすだけなので止めましょう。

●ABSを信じる!

 ABSが効いてるときって、「ガガガガ・・・」という衝撃がありますが、これはブレーキの油圧を制御しているものです。これはロックしたタイヤを解除しているからですが、ABSといえど、タイヤは一瞬ロックしていることには変わりません。例えば、フロントタイヤがロックすればアンダーステア、ロック解除されればグリップすることになるのです。そうすることで、ABSは弱アンダー気味に曲がるのです(リアロックの場合は、オーバーステア)。
 ABSを信じないでペダルをコントロールする人が多いですが、これは大きな間違いです。ペダルをコントロールすることは制動力がそれだけ伸びるということですから、アンダーステアが更に出ることとなり、かえって危険です。熟練したドライバーほどやりがちなので、気をつけましょう。

排気量が少ない車でもターボ車であれば、爆発的なパワーを得ることができます。
ターボの良さを引き出すためのドライビングテクニックをまとめてみましょう。


(1) まずターボって何か?
 ターボの話題はもはや様々な雑誌などでもしょっちゅう取り上げられてます。「ブーストアップ」、「タービン交換」など・・・・。
 確かに少ない排気量でもパワーを引き出せ、重量も少なくてすむメリットがありますが、きちんと理解し、正しい乗り方をしてやらないと、その代償は大きいものとなります。

● ターボはあくまで補助的なもの(・・・ってどっかで聞いたセリフ(^^;))

 基本的なメカニズムは、NAがベースでターボは補助的なものだと考えてください。フツー、エンジンは燃料と空気の混合気を燃やして、パワー(エネルギー)を引き出すことで、クルマを動かします。パワーをより多く得るためには、燃料をいっぱい供給すれば良いのですが、その分排気量も多くなるし、エンジンも大きくせざるを得なくなり、必ずしも効率が良くなるわけではありません。 
 ところが空気は圧縮される性質があるのを利用して、より少ない排気量で収めるようにするのがターボなのです。圧縮されれば排気量が少なくすみ、パワーも効果的に引き出せるメリットがあるのです。 
 よく「ブースト圧」というコトバが聞かれると思いますが、ターボによる圧力の大きさを示しており、ブースト最大0.8キロであれば、NA(自然吸気エンジン)の排気量に単純換算してやると、 排気量が1.8倍(=1.0+0.8)分だけ増えることになります(もちろん厳密な計算とは言えませんが・・・)。だから、2.0リッターのエンジンであれば、最大で3.6リッター(=2.0リッター×1.8倍)エンジンと同じになりうるのです。

● ターボのメカニズム

 ターボのメカニズムは左図の通りです。 
 構成要素は単純に考えれば、エンジンと混合気それに付随してターボがついてくるものです。排気ガスのエネルギーでタービンを回し(※1)、その回転力をスーパーチャージャーで空気を圧縮します(※2)。そして、圧縮された空気(※3)を燃料と混合するわけです。これにより混合気の量を増やすことができ、排気量を少なく、パワーを引き出せることになるのです。

● 気象条件によっては影響されやすいターボエンジン
 もともとターボエンジンは航空機用エンジンのために使われています。空気が希薄になると当然のことながら、含まれる酸素の量は減ってしまいますが、このような空気が希薄な環境下で、いかに効率良くエンジンを回すことが、航空機エンジンに求められているからです。

 熱力学で「気体の状態方程式」というものがあるのですが、温度(℃)の時においては次のような公式が成り立ちます。
  PV=n・R・(T+273) ・・・(1)(気体の状態方程式)
   p:温度Tでの圧力(kg/mm2)、:温度での体積、R:気体定数、n:酸素の量とします。
 式(1)よりn=PV/{R・(T+273)} ・・・・(1)’であることが言えます。
 そこで、同一圧力p(=ブースト圧が一定)、同一体積(=排気量が一定)であるとしたとき、温度が高ければ高いほど、酸素の量が反比例して少なくなっていることが分かるでしょう。すなわちこれがターボの熱ダレなどに反映されていることなのですが、ターボには熱は大敵です。

(おまけ)
● ターボに入れるガソリン・・・

 気体は圧縮されると、熱を発生します。このことは自転車の空気入れを触ってみても分かると思いますが・・・ そのためエンジンで燃焼するときは、ノッキングを起こさないように、圧縮しすぎないように圧縮比というものを低くしてます。圧縮比というのは、左図にあるようにピストンが一番下に達したときの圧縮前の状態(吸気)、ピストンが一番上に達した状態との比を示しています。

 この圧縮比は上げれば上げるほど、パワーを引き出すことができますが、もちろん限界があります。というのも、ただでさえシリンダー内は高温になる上に、圧縮することで気体が熱を発生させ、シリンダーでノッキング(※異常燃焼:混合気が圧縮する前に爆発してしまう現象)が発生してしまうからです。だから、一般的にはNAエンジンよりもターボエンジンの圧縮比は低めに設定されています。ターボエンジンはシリンダーに混合気を吸入する前に、空気を圧縮してしまっているからです。

 ではエンジンに大敵のノッキングを防止するためにはどうすれば良いでしょうか。一つは、ハイオクタン・ガソリンを使うことです。ガソリンというのはオクタン価という数字で、ガソリンに含まれる炭素の量の多さで、ノッキングのしにくさを示しています。だから、一般的にレギュラーガソリンを入れるとノッキングが発生しやすいともいえますが、NAエンジンでは特に問題あるわけではありません(一般的にレギュラー仕様であれば)。

 もちろん最近の車はいろんなセンサーが着けられていて、「ノックセンサー」というものがあれば、例えハイオク仕様のマシンに誤ってレギュラーガソリンが入っても、空燃比(燃料と空気の混合気における割合)を補正して、ノッキングを防止するシステムがついていますが、パワーが落ちてしまいます。NAの場合でも、たまにはハイオクを入れてやるのもいいはずです。なにせノッキングを防ぐ意味でもエンジンをいたわる意味でも・・・・

 つーわけで、ターボにはできるだけハイオクガソリンを入れてあげましょう。


(2) ターボの特性

● 馬力とトルクの違いから
 一般的にNAエンジンは、低速からのアクセルを一定に踏んでみると、時間とともに緩やかにスピードが出ますが、ターボエンジンは乗ってみれば分かると思いますが、低速からの加速が非常に優れてます。これはターボエンジン独特の低速トルクの強さによるものです。ここでトルクは加速効率というふうに考えてください。

 左図を見てみましょう。NAエンジン、ターボエンジンの一般的な特性図ですが、馬力グラフはNA・ターボエンジンとも類似しているのですが、トルク特性がNAとターボでは異なることが分かるでしょう。

 NAエンジンはトルク特性は高回転でも非常にスムーズで、馬力のピークと、トルクのピークが非常に近づいてます。だから、十分に回転を回してやれば、馬力も効率的に引き出すことができます。故に、NAエンジンは高回転を維持してやることが必要なのです。レース用エンジンでも高回転型エンジンが多いのは、こうした理由からです。

 ところがターボエンジンの場合はどうでしょうか。確かに低速トルクはNAよりも優れているのですが、低回転から高回転へ回していくと意外とトルクの落ちが激しいでしょう。また、馬力のピークとトルクのピークが結構離れています。だから、ターボエンジンは高回転まで回せば良いというわけではありません

● タービンの特性も知ろう
・ タービンと加速効率
 ターボエンジンの特性を決めているのは、ほとんどはタービンです。タービンの組み合わせなどによって、いろんな種類がありますが、大まかに分けてシングルターボ、ツインターボと分けられます。特にツインターボもGT-Rのようなツインターボ、マツダのRX-7・レガシィB4のようなシーケンシャル・ターボなどがあったりします。ではタービンによってターボの特性がどう変わっていくか、説明していきましょう。

 タービンは排気ガスによって回るのは、ターボの構造のところで説明いたしましたが、タービンには容量があるのです。上の図3はあくまで模式的に示した例ですが、タービンの効率が最も引き出されるのが容量の1700cc付近であるとしてます。回転を上げていくと一般的に排気ガスが増えてきますが、ある回転に達すると1700ccの排気ガスを出し、結果ブーストは安定します。しかし、さらに回転を上げていくと、2000ccの排気ガスを出し、300cc分の排気ガスが余るようになります。このときタービンは余った排気ガスのロスにより、ブーストが低下してしまうのです。

つまりこの図から言えることは、次の2つです。
 1.加速効率を良くするためには、ブーストを目安にする。
 2.タービンの容量は排気量に見合った容量を選ばなければならない。

 特にシングルターボの場合はタービンの容量を越えると、あとは比例的にひたすら効率が低下するので、ブーストが落ち出したら、シフトアップすることが必要になります。

・ 加速効率をフォローしたツインタービン

 シングルターボはブースト落ちがあるというデメリットがあるゆえに、同じギアで加速するには非効率と言えます。また大排気量のクルマはシングルタービンでブーストをかけると、ブーストのかかりかたが急激になり、非常にピーキーなエンジンとなることが多々あります。そこでタービンを2つ使って、タービンを回してやる方法が、大排気量車を中心に採用されています。図4をご覧になってください。

 一般的なのは、ツインターボでしょう。例えば、3000ccの排気量がでるエンジンで、シングルターボでは1500ccの容量しかない場合は、タービンを2つに分けてやれば、高回転域でもブーストが安定してかかるというメリットがあります。

 もう一つは、シーケンシャルターボです。これは低回転域(1500cc)ではプライマリー(第一)タービンが作動し、この状態では、シングルターボと同じ、一つのタービンで回してやるのです。そして高回転域(3000cc)ではセカンダリー(第二)タービンが作動し、この状態ではツインターボと同じになります。つまり、低速域ではシングル、高速域ではツインターボとなるのです。そのため低回転でもレスポンスに非常に優れることになるのです。いずれのツインタービンの方式にせよ、シングルよりも加速効率をより向上できるため、回転数を上げてシフトアップする方が良いことになります。

 では、次にターボ独特の悪癖について解説いたします。


(3) ターボラグの恐怖

● ターボラグとは・・・?
 「アクセル=踏めば加速する」というのは当たり前のことですが、その構造は元々は混合気の中の空気の量を調整することによって行われています。アクセルの開け具合に応じて、燃料の量をCPUで調整して、適切な混合気を生み出すのです。つまり、空気の量が多ければ多いほどエンジンは回ってくれることになります(もちろん一概にはいえませんが・・・)。

 そこで、ターボエンジンの場合は無過給の状態でもしもアクセルを開けると、この状態はNAと同じ状態なのですが、問題はこの後です。排気ガスによってタービンが回れば、空気の量が多くなる。故に、ターボの効きが激しく働きます(これがドッカンターボ)。そして問題はもう一つあります。アクセルを開けててから、再びブーストのかかった空気を吸入するまでに時間がかかるのです。運転している感覚としては、「アクセルを開けてから、わずかな時間が経ってからようやくパワーが働くこと」になるのです。
 

● ターボラグを克服するために・・・
 このようなターボラグやドッカンターボという特性は、直線ならまだしも、コーナリング中では悪癖をもたらします。特にFF以外のFRや4WDでターボが採用されるのは、FFはアンダーステア傾向が強い上に、ターボをつければ非常に曲がりにくい車になってしまうという理由が挙げられます。このような悪癖をもたらすのは、先程も述べました「トルク(駆動力)」なのですが、ターボラグを克服するためには、このトルクを安定して路面に伝えなければならない(トルクコントロール)のです。

● ターボ車は曲がるのが苦手?
 トルクコントロールの重要性を述べましたが、それではコーナリング中ではどのようなことを心がければ良いか・・・について述べていくことにします。

 これは(2)でも解説した図なのですが、「トルク特性」はNAとターボでは結構違っています。NAエンジンではトルクが非常になだらかですから、コーナリングでもアクセルを踏み込んだ量だけ正確にトルクを安定して伝えることができます。ところが、ターボの場合はそうはいきません。ターボは踏み込んだ量だけトルクが出るわけでもなく、踏み込み量によってはトルクが急激にかかったりすることがあるので、非常に乗り手にとっては扱いにくい面もあります。
 したがってコーナリングでは、ターボ車は微妙なアクセルワークが必要になります。また、ターボラグを予測しながらアクセルを開けていかねばなりません。そういう意味では、ターボ車はコーナリングの進入にかけてはデリケートに、立ち上がりはならべく直線的にラインを設定していかねばなりません。

 しかし、ドッカンターボなどはもうほとんど昔の話となりつつあります。というのもセラミックターボなどによる軽量化によるレスポンスの向上や、ツインターボなどの採用によりターボラグは次第になくなってきてます。そのためターボのトルクと、NAに限りなく近いレスポンスを両立させるエンジンもどんどん登場しているのも事実です。


(4) メンテナンスの重要性

● 熱対策は必要
 NAエンジンに比べて、吸入空気量が多いというターボエンジン。当然のことながら、エンジン内で発生する熱量は膨大なものとなります。実際、ターボ車のエンジンルームをのぞいてみれば分かると思いますが、あちこちに遮熱版が張り巡らされ、オイルクーラーやインタークーラーなど冷却系が必要なのもこのことからです。もちろんそうした熱対策はパーツの取り付けなどで補うのもできますが、普段の運転を見直すことでも十分行えるのでまとめてみましょう。

・ 暖機運転
 一般的にターボエンジンは油膜切れを起こさないようにオイルは硬い(粘度が大きい)ものを使っているため、ターボではオイルがエンジンになじむまでは暖機運転をしましょう。止まったままの暖気ではNG!せめて2,3キロぐらいはアクセルをあまり上げないで、制限速度を守るぐらいの気持ちで運転してあげましょう。

・ アフターアイドリング
 ターボ車にはもうすでに常識化していることですね。アフターアイドリングのタイマーも出てるから、装着しましょう。意外と普通に走ってても、熱を持ったタービンの軸受けが焼け付いたりして、タービンが上手く回らないこともあるので、キチンとしてあげましょう。

・ クーリング走行
 アフターアイドリングが停止時の熱対策だとすれば、クーリング走行は運転中の対策ですね。これを行う場面としては、例えば高速道路でかっとばしてて料金所渋滞などにいきなり巻き込まれるケースのように、吸入空気が急激に減少する場面です。 ラジエーターやインタークーラーが作動しないと電動ファンが作動しますが、限界があります。そのため渋滞を予測することも大事ですが、停止前2,3キロぐらいの区間で減速して、一つ高いギアを使ってクーリング走行をしてあげましょう。そうすることで、エンジンに過酷な状況を強いることなく済むはずです。
 

● まとめ
 最近はいろんな雑誌でターボ車の特集が挙げられてますね。 「ブーストアップで400馬力」とか、「タービンTD06を組んだ」とか・・・・
 確かにターボをつければ、パワーや爆発的なトルクが得られるというのは、大排気量のオーナーに限らず、小排気量車のオーナーにとっては夢のような話に思えるかもしれません。確かに、ターボ車の魅力って確かに爆発的な加速の一言に尽きると思います。ところがパワーと引き換えに、それなりにメンテナンスも必要になるし、きちんと理解をしていないとターボの良さを引き出すどころか、かえってターボを採用している意味がないこともなりかねません。

 私も今までいろんな走り屋を見てきましたが、無謀なチューニングを行い、クルマを壊してしまう人も結構いました。ブーストのかけすぎや、無謀な運転によるタービンブローさせる人。小排気量車に大容量タービンを入れてもブーストが効かないと愚痴を漏らす人・・・いろんな人がいました。私はいつも感じてることですが、ターボを入れれば確かにクルマは速くなるでしょう。でも、それは本当のドライバーでなければ、クルマを速く走らせることはできません。
ターボはあくまでドライバーの運転技術を補うものではないということなのです。ターボ車って結構お金がかかるお買い物ですし、燃費も良くさせるのも結構難しいけど、乗り手が本物であれば、すばらしい乗り物になりうるということをもう一度考えてみてください。

 これは私の私見ですが、ハイパワーマシンでもアンダーパワーマシンでも十分に運転が楽しめることだってできます。パワーはドライバーに見合って上げていくべきだと思うし、手に余るほどのパワーほど危険なものはありません。車に対しても、「愛情」や「やさしさ」も持ち合わせて接していける人もいればいいとは思うんですが、やっぱりなかなかいないものですね・・・。
 私としては、焦ってパワーアップしてエンジンを壊すようなことはみなさんにはして欲しくありません。まずはきちんと車のことを理解すること・・・・。こればかりは何年も走ってみないと分からないものがあると思います。


自動車のほとんどを占めているオートマチック車ことAT車。オートマチックといっても運転操作全てをクルマに委ねず、
ドライバーが主体的に運転できるようにAT操作のコツをまとめていきます。


(1) はじめに
 オートマチック車(以下AT車と呼ぶ)とマニュアル車(以下MT車)との違いは下の図に示されるように、動力伝達の方法が違います。AT車はトルコンバーター(トルコン)で油圧を介して、MT車はクラッチを介してエンジンからのパワーを駆動輪に伝えています。そのため油圧で動力を伝えるとなると、次のような特性が表れてきます。
・動力の伝達がどうしてもワンテンポ遅れてしまう
・最高速度が出にくい
・低速トルクの確保がしやすい
 それでも最近はAT車も燃費の悪さや鈍いレスポンスなどの点が改善され、スポーツモードのマシンも出たりしています。AT車にはATの特性があるわけですから、よりスムーズな運転をするための方法を示していきます。

(2) やさしいアクセル操作
● AT車の加速特性

 このように油圧を介して動力を伝達するATなのですが、トランスミッションの違いによりMTと性格が異なります(左図)。

 MTはクラッチが完全につながれば動力伝達がほぼ100%伝達されるわけですが、対してATF(オートマチック・フルード)という流体なのですから、その特性について説明しましょう。まず、ATFであれば動力がかならずしも100%伝達するとは限りません。そして、もう一つ重要なことがあります。それは、トルコンにエンジンからのパワーを蓄えてから、パワーを駆動輪に伝えていることです。下の図2を見てください。この図はAT車の加速を時間ごとに見ていった図であり、アクセルの踏み込む量は一定であるとします。すると、以下のようにまとめられると思われます。

・発進・加速時
 アクセルを踏み込んでからパワーが発生するまで時間がかかるし(タイムラグ)、パワーの発生するのが急激ということもあります。それはあたかもターボの効きのように。
・安定走行時
 アクセルを踏み込んでいくとやがてエンジンとATFの持つエネルギーがほぼ一緒になれば、タイムラグも打ち消されより安定して動力を伝達できるようになります。つまりAT車のアクセル操作で問題となるのは発進・加速時ということになります。

   

●理想的な加速をするために
 そこで以上のようなAT車の特性から「理想的な加速とは何か??」を考えてみましょう。図3を見てください。理想的な加速は青線のように示されるように、速度が一定に増えていくこと、つまりならべく一定の加速Gで走ることとしています。AT車の加速曲線(点線)と比較すると次のようにするのが、スムーズな加速のコツであるといえます。
・タイムラグの解消
 ATは油圧制御ということもあってどうしても発生するタイムラグを解消するためには、早め早めにアクセルを踏み込んでいくことが重要です。
・不必要な加速の低減
 一般にATは加速初期においてトルコンに蓄えられたエンジンからの出力を急激に放出しているので、加速も急激です。それゆえ、不必要なアクセル操作をできるだけ減らすことと、もう一つは目標速度に近づけば近づくほどアクセルを微妙に緩めてやる作業が必要です。こうすることで一定の加速が得られ、車の挙動がより安定したものとなるでしょう。
・シフトチェンジを積極的に!
 ただし上のような説明が成り立つのは、ギアが一定のときと限った場合です。道路状況によってはそれぞれ目標速度が変わってきます。例えば渋滞時では2速ホールドで十分な時もあれば、OD(オーバードライブ)を使わないほうがいい速度で巡航している時も発生するはずです。そういう時はATにすべてお任せにするより、積極的に無駄なシフトアップを避ける意味でも積極的にシフトチェンジをする必要があります。


自動車のほとんどを占めているオートマチック車ことAT車。オートマチックといっても運転操作全てをクルマに委ねず、
ドライバーが主体的に運転できるようにAT操作のコツをまとめていきます。


(3) 早めのブレーキ操作

● フットブレーキの負担を減らそう!
 先ほどの説明にもありましたが、ATは油圧制御ゆえに加速特性が独特であるということが言えました。
ところで減速時ではどうでしょうか。エンジンブレーキも然りで動力伝達が100%伝えられないため、エンジンブレーキの効きはかなり悪いです。ギア比の設定も一般にMTのシフトポジションよりも1つ上のギアぐらいなので、余計エンジンブレーキの効きが悪い。そうなると・・・・AT車はフットブレーキの負担がかなり多くなります。以上のことから、フットブレーキの負担を減らすためには、積極的にギアを落としエンジンブレーキをきかせていくことが必要です。
減速が必要なたびにフットブレーキばっかり踏んでいたんじゃ、後続車が減速のタイミングをわかりにくくしちゃうし。

(4) 積極的なシフト操作
 ブレーキ・アクセル操作を通じて言えることは、ATというミッションでも積極的にシフト操作をする必要性があるといえます。

● いろんなタイプのATシフトタイプ

 ひとことでATシフトタイプと言ってもげんざいいろんなタイプが出ていますので代表的なシフトを3つ図に示してみました。一般的に使われているタイプは・・・・
 (1)に示されるようなL(ローレンジ)〜D(ドライブ)がすべて一列に並べられ、OD(オーバードライブ)をギアに取り付けたスイッチで行うものです。
 (2)はホンダ車の独特なシフトタイプで4速のギアポジションを全て一列に並べることでより扱いやすくしたもの。 (3)はさらにそれを発展して、ギアポジションを自分で選べるようにしたATシフトです。このようにいくつかパターンがあるにせよ、スポーツドライブを補助しているものがたくさん出ていることと、ドライバー自身が積極的にAT操作をすればスポーツ走行も可能です。

● ATのホールドモード
 ATのホールドモードとはL(ローレンジ)、2(セカンドレンジ)とあります。ローレンジはギアが1速に固定されますが、2速ギアの場合は2パターンあります。ギアポジションの固定型と可変型に分けられます。固定型の場合はギアが2速に固定されている状態ですが、可変型は1→2に変速するモードで必ずしも2速ギアに固定されていないことです。

 さて、それでは次にAT車に限らず、MTにも応用がきく左足ブレーキの解説をいたします。


自動車のほとんどを占めているオートマチック車ことAT車。オートマチックといっても運転操作全てをクルマに委ねず、
ドライバーが主体的に運転できるようにAT操作のコツをまとめていきます。


(5). 左足ブレーキ(練習編)

● 左足ブレーキとは?

 F1・WRCなどで多用されるレーシングテクニックでも有名な左足ブレーキ。レーシングテクニックから生まれたこのテクニックは、ATドライブにおいて適用されるようになったのは最近のことです。理由は本当に単純なものであって、ATドライブであればMTのクラッチ操作が不要になるため左足がフリーになってしまいますね。しかし、この左足をフリーにさせてしまうのももったいないということから使われています。左足をブレーキに使うことによって、左足:ブレーキ・右足:アクセルという役割に分担して、ペダル操作を素早くしたり、コーナリングを安定させたり、いろんなメリットが生じます。

● 左足ブレーキを行うために・・・・
・ATとMTのブレーキペダルの位置を覚えよう

 私はATもMTも乗っているので左足ブレーキの問題もいろいろ分かっているつもりですが、一番違和感を覚えるのはペダルの位置でしょう。一般にATのブレーキペダルはドライバーのカラダの中心に配置され(図1参照)、MT車はドライバーに対してブレーキペダルが右寄りに配置されています。 
 これはATではクラッチがないためブレーキペダルをカラダの中心方向に配置できること、そしてMTでは、アクセル・ブレーキを連動させる右足の役割が多いため、若干右寄りにペダルを配置する必要性からです。 つまり、普段MTに乗ってる人がATで左足ブレーキをやってみると、ブレーキを踏みそこなう可能性もなきにしもあらずなのです。逆にATに乗ってる人が、MTで左足ブレーキをやってみると、ブレーキを踏みそこなうだけではなく、ペダルそのものがATよりも小さいので非常に踏みづらいことがありえます。そこで、まず左足でブレーキのポジションを目で確認して見てください。

・ドラポジは若干前よりに・・・
 左足ブレーキでは当然のことながら、右足:アクセル、左足:ブレーキの体勢になることから、左足でフットレストを使って踏ん張ることができません。したがって、シートとカラダが固定(シート・ホールディング)されないと正確な操作はできっこありません。もちろんシートベルトをすれば多少は解決しますが、減速Gなどでカラダが動くと急ブレーキの恐れが出てきます。だからシートポジションを若干前にして、ステアリングを使って腕で踏ん張り、シートにカラダを密着させるようにしなければなりません。実はこれが一番理想的なシートポジションだと思うんですよね。シートに固定されれば、横Gの感触もわかるし、ステアリングからの情報も多くなるし・・・

・左足の基本動作
 左足ブレーキの練習では後続車がいないか、安全な場所でやることにしてください。基本動作は右足ブレーキと全く同様。左足ブレーキは、左足のカカトをフロアにつけて行い、親指のつけ根あたりでブレーキ操作を行います。カカトを安定させれば、ブレーキの踏力の微調整も可能だし、踏み外す心配が減ります。

・急ブレーキにご注意を!!
 んで、いつも右足でブレーキを踏んでる感じで、ブレーキを踏んでみてください。おそらく何も知らない人がやると、7,8割ぐらいの人が急ブレーキになってしまうと思います。理由は至って簡単です。クラッチ操作の左足でブレーキを踏んだことがない分だけつい強めに踏んでしまうこと。もう一つは、左足のカカトをフロアにつける操作を滅多にしないことから、ブレーキの微調整ができないことが挙げられます。

・・・・それでは、スムースな左足ブレーキを行うためのやり方について、
次で紹介していきたいと思います。


自動車のほとんどを占めているオートマチック車ことAT車。オートマチックといっても運転操作全てをクルマに委ねず、
ドライバーが主体的に運転できるようにAT操作のコツをまとめていきます。


(6). 左足ブレーキ(実践編)
 ここはAT車の方のみの解説になりますので、必要ないと思われる方は次へお進みください。

● 左足ブレーキの使い分け
 同じ左足ブレーキでも左足ブレーキは目的によって、使い方も変わってきます。
・ 急発進を防ぐ
・ コーナリング挙動を安定させる
 以上において、左足ブレーキが有効なことになりますが、それでは急発進を防ぐための左足ブレーキについて解説します。

● 急発進防止の左足ブレーキ
・ 急発進が起こるケース
急発進が発生するのは、トルクが非常にかかりやすいとき・・・
すなわちアクセルを多めに踏まなければならないときに起こりやすいです。特にAT車の場合は、油圧で動力を伝達しなければならない性質上、「AT操作を極める@」でもあったように、パワーが伝わるのに時間差があり、そのかかりかたも急激です。

・ なぜ左足ブレーキか?
右足がアクセルペダル→ブレーキペダルに踏みかえるまでに時間差が発生します。ところが左足を使えば、その時間差が少なくて済みます。
つまり、左足はペダルの踏みかえる時間を短縮させる効果があります。

● 実用的左足ブレーキ
・ スムーズな発進のための左足ブレーキ・・・・例:坂道発進
 ある程度の坂であればAT車はクリープ現象で坂を登ろうとするので比較的発進はラクです。ところがかなりきつい上り坂になると、クリープ現象でのトルクだけでは坂を登りきれなくなります。微妙にバックした上にさらに加速をすると、ノーズリフト(クルマのフロントが浮き上がる)してしまい非常に不安定になります。もちろんサイドブレーキを使うのも一つの手ですが、こういうやり方もあるということを覚えておきましょう。

 (1). 後ろに下がらないようにブレーキ
 (2). アクセルを踏み込む:上り勾配に応じてアクセルを最低限踏み込んでみてください。思ったより少ないはずです。
 (3). ブレーキをリリース:加速Gを微妙に感じたら、ブレーキを離しましょう。
 (4). ある程度速度が出るまではゆっくりと加速しましょう。
 そしてスピードが出始めたら(10km/h)ぐらいになれば、アクセルを少しずつ踏み込んでみてください。そうすればトルクも安定してかかりますので、挙動も安定します。

・ 急停車のための左足ブレーキ・・・・例:段差越えなど
 これは段差越えなどではなく、とっさの急ブレーキなどにも応用が利く極めて画期的なブレーキ法です。特にメリットとしては2つあって、まずアクセルとブレーキの踏み間違いが防止できること、もう一つは、右足のペダルの移し替える時間が少なくて済むことことに尽きます。アクセルとブレーキを間違えた事故の事例もしばしば聞く話ではありますが、左足:ブレーキ操作、右足:アクセル操作と分担しておけば、確かに間違えることは少なくて済むでしょう。
 また、アクセル操作をしている状態でブレーキペダルへ右足を移す時間ってのは案外かかります。そんなとき左足で常にブレーキペダルを踏める状態に準備しておけば、ブレーキの作動するまでの時間が短縮できるわけです。段差越えを例にして、急ブレーキをかけるワザについて、解説してみようと思います。

 (1). クリーピングで段差までゆっくり:このとき速度はブレーキで調整します
 (2). 段差にあたったらアクセルON。ブレーキは離す:アクセルでジワリと踏むような感じですね。左足はすぐブレーキを踏めるように準備します。
 (3). 段差を登れば、アクセルオフ・ブレーキを踏む:段差を登ったときはトルクが残っている状態なので、急発進する恐れがあるので、すぐブレーキを踏んでください。間違ってアクセルを踏みっぱなしにする人もいますが、止まることに集中して左足ブレーキを意識してください。

 それでは、基本的な動作をマスターしたら、その次は応用編といきましょう。コーナリングでの安定性を求めた左足ブレーキです。


自動車のほとんどを占めているオートマチック車ことAT車。オートマチックといっても運転操作全てをクルマに委ねず、
ドライバーが主体的に運転できるようにAT操作のコツをまとめていきます。


E 左足ブレーキ(応用編)
 さて、急発進防止のための左足ブレーキをマスターすれば、次はコーナリング中の挙動を安定させる左足ブレーキについて解説いたします。この左足ブレーキはATドライバーの方のみならず、MTドライバーも含めてマスターしておいても良いと思いますので、是非ともご覧になってください。

● 姿勢を安定させる左足ブレーキ
 一般的にほとんどのマシンはアンダーステア・セッテイングされています。アンダーステアであれば、緊急時にカウンターステアが必要にならなく、減速にのみ集中できるメリットもありますが、時としてアンダーステアを避けねばならない状況もあります。例えば、左コーナーの進入でオーバースピードで進入してしまい、アンダーを出した場合・・・そんな時はアンダーステアを引きずったままコーナーに進入していると、対向車と衝突、コースアウトなど危険な状況は避けられません。そこで左足ブレーキをマスターしておくと、ステア特性を自在に扱えるように慣れますので、是非ともマスターしておきましょう。

● なぜ左足ブレーキなのか?
 単純に車のコーナリングの原理は、「コーナリングを極める」で学んできましたが、もう一度図で示してみましょう。

 図は左コーナーを想定しています。コーナーに進入したときにはクルマに働く力は、コーナリングフォースと駆動力ですが、単純に車の向きが変わることを考えるために、ここではコーナリングフォースだけ示しております。ほとんどのクルマは重心が車の真ん中〜やや前方に偏ってますので、車の向きが変わることは車のフロントをコーナリングフォースにより引っ張られて、結果的に重心を中心にコーナリングフォースで車の向きが変わることになっているのです。
 では、より曲がりやすくするためにはどうしたら良いか・・・・。そうです。フロント荷重を増やして、コーナリングフォースを増やしてやればいいのです。そこでコーナーリング中や低μ路、上り坂など、フロント荷重が抜けやすい状況では、左足ブレーキが有効になるのです。

● アンダーステア消しに有効な左足ブレーキ
 アンダーステアと一言で言っても様々な状況でおこりえます。特に一番身近な例といえば、立ち上がり・コーナー進入のアンダーステアなどが挙げられますが、これらはいずれもフロント荷重が不足することによって起こります。フロント荷重が不足する状況を改善するためには、アクセルを戻すなり、ブレーキを踏んでやらないと、フロントに荷重が戻ってくれません。とわいえ、右足のアクセルからブレーキを踏んでしまうとこのままでは減速してしまうので、左足ブレーキを行うのです。フロント荷重を増やすためには左足ブレーキを行い、右足でアクセル操作を行えば、失速も少なくてすむ・フロント荷重を増やすことができるというメリットが出てきます。このような左足ブレーキはブレーキをしながらアクセル操作ができることから様々なメリットがあるのです。

● 左足ブレーキのコーナリング

@ コーナー進入
 コーナーの手前に来たらコーナーに見合った速度に減速する。このとき右足でブレーキをするとペダル踏み替えの時間により、ブレーキのタイミングが遅れる。

A、B コーナリング中〜立ち上がり準備
 ターンインにかけてはブレーキ踏力を調整して、ラインに上手く乗せるようにブレーキングを行う。この時からすでに、右足で加速準備にできるようにしておく。

C 立ち上がり加速
 あとは立ち上がりがスムーズになるように右足でアクセルを開ける。ペダルを踏みかえる必要のない左足であれば立ち上がり加速で有利になる。
※ このときコーナリング中の左足ブレーキは、もちろん曲がりやすくする(=旋回能力を高める)意味も強いですが、エンジン回転数を落とさないようにする、もしくは減速を行うことも可能になります。左足と右足の調整をうまく行えるようになれば、加・減速がテンポ良く行えるようになります。
特にAT車はトルクコンバータの油圧制御で動力を伝達する性質上、タイムラグが発生するので、左足ブレーキを行っておけば、AT車でもスポーツ走行が可能になります。


◆◆本物のドリフト走行◆◆
ドリフトが一つのブームになっているようで、誰もが一度は体験したいと思っているアクロバット的な走りですが、
遊ぶためのドリフトとモータースポーツのドリフトとは全然別物です。速さを求めたドリフトの解説をしていきたいと思います。



(1) ドリフトとグリップの違い

 一般に「グリップ走行よりもドリフト走行は遅い」ということをよく聞きますが、それはなぜなんでしょうか??それはグリップ走行とグリップ走行の違いを理解しなければなりません。私の定義では、グリップ走行は当たり前のことですが、前・後輪のタイヤのスライドをできるだけ発生させず、タイヤの持っているグリップによってクルマの向きを変えていく走り方としています。一方、ドリフト走行は前・後輪のタイヤのスライドを意図的に発生させて、タイヤの持っているグリップバランスを崩して、ヨーモーメント(*1)を生み出してクルマの向きを変えていき、慣性力によりカウンターを当てる状態を維持する状態と定義します。
 しかし、ドリフト状態というのはグリップバランスが崩れているわけですから、トラクション(駆動力)が直進方向にかかりにくいことからグリップよりも加速面では一般的に劣ります。しかし、その反面クルマの向きを積極的に変えることでは、タイヤのグリップのみに頼ってアングルを変えるグリップに対して、優位性があり、低速コーナーなどではかえってドリフトが速かったりすることも往々にしてあります。(*1 ヨーモーメント:クルマそのものが回転しようとする力)

(2) ドリフト走行のために必要なもの
● 駆動方式では・・・
 ドリフト走行は先ほどの説明があったように、ヨーモーメントと慣性力が発生できればどんなクルマでもできるとしています。駆動方式はFF・FR・MR・RR・4WDなどいろんなのがありますが、ドリフトに一番向いているのはFR・MR・RRのような一般に後輪駆動車が良いとされています。なぜかというと、ヨーモーメントの発生がアクセルワークを通じて把握できるし、ドリフトからの立ち上がりに対して積極的になれるのが何よりの特権でしょう。
 もちろん、前輪駆動や四輪駆動でもドリフトは可能ですが、前輪駆動は後輪駆動車に比べてドリフト状態の維持が難しいです。これについては後程ドリフトのきっかけについて追々説明していくつもりですが、比較的短時間でドリフトが収束するのが前輪駆動のドリフトの特徴です。一方、四輪駆動の場合は前輪駆動と同様にきっかけづくりが難しいのですが、四輪で駆動している性格上ドリフト状態の維持は積極的であることがいえます。

● LSD(Limit Slip Defferential)は必要なのか??
 普通クルマにはディファレンシャル(デフ)というものが入ってて、外側のタイヤと内側のタイヤの回転差をつけて曲がりやすくする機構があり、これによってタイヤに負担をかけないようにしてあります。しかし低ミュー路(雨・雪・砂利道など)ではグリップを失うことでクルマの内輪が空転し、外輪も同時にデフが効くことでかえって空転を誘発する結果に陥ってしまいます。つまり通常のデフではホイルスピンをするばかりで全然前に進むための駆動力が伝わらない状態になるわけです。そこで開発されたのがLSDというもので、内輪の駆動力を過大にかけないようにしてこのような悪循環を防いでいます。つまりLSDというものはもともとは、駆動力を伝えるための機構だといえます。誤解のないため言っとくと、本来は曲げるための機構ではないということを理解してください。
 しかしこのLSDが入っていれば、タイヤのグリップをより正確に把握できるなどのメリットがあり、スライドコントロールが確実に行えるようになりますので、LSDはある意味ではドリフトでは必需品と言えるでしょう。一般にLSDは様々なものがありますが大体次の4種類があります。

種類 効き方 特徴
機械式 オン/オフが急激 効き方はデジタル的のオン/オフがハッキリしている。わずかな左右輪の作動にも反応する
ビスカス 効きがかなりゆっくり ATと同様に油圧で制御しているので、作動は緩やかだか、効きが遅い
ヘリカル 必要にして十分 機械式とビスカスの中間的な効き。左右輪にトルク差が発生すると素早くロックする
アクティブ かなりキメ細かく制御できる 電子制御によって駆動力を多板式クラッチを介して、左右に適切な分だけ配分できる

 最近のクルマは純正でもヘリカルを採用するクルマも出てきて、性能もかなり向上していますが、一般的に下に行くほど高価になる傾向があります。

● タイヤ
 ドリフトするにはタイヤも重要です。一般に滑り出しを良くしたいのであれば、溝があるタイヤを選んだほうがいいです。というのもタイヤグリップというものは、タイヤ溝が深ければ安定したグリップが発生するものなのですが、元々グリップそのものが安定しているので、ドリフトでも比較的安定して滑り出しが発生します。それゆえに安全性の面や扱いやすさを考えるとグリップが安定しているタイヤを選んだ方がベストといえるでしょう。ただ勘違いしてもらうと困るのは一般にリアの滑り出しを良くするために、溝のないタイヤを選んでしまう人がいますが、あれは大間違いだと思ってください。リアタイヤの役割は、ドリフトをコントロールするためにスライドを収束させるためにもあるのです。そこでリアタイヤがいつまでもグリップを回復しなければスピンに陥りやすくなるのも無理はないです。更により詰めていくとするならば、タイヤの空気圧の調整もしておくと良いでしょう。もちろん極端な空気圧の設定は安全面に問題がありますが、微妙に空気圧を変えてやると、グリップ性能やスライドの特徴が変わるのが分かると思います。

 また、ドリフトをやり始めた人には特に一番気を使って欲しいパーツとして、いろんなタイヤを経験してみることもかなり必要なことだと思います。例えば、純正のタイヤの滑り出しから、Sタイヤでの滑り出しの違いや、タイヤのスリップの収束のタイミングなど、いろんなことが学べるはずでないかと思われます。タイヤの性能によってはライン取りも微妙に変わってくるので、こういうところに十分お金をかけるようにしましょう。

(3) ドリフトの練習場所
 先ほどの(1)の説明にあったように、ドリフトとは「ヨーモーメントと、慣性力を使って四輪全てをスライドさせた状態に持っていくことと定義」しましたが、よく勘違いしてしまうのが、ヨーモーメントだけテールが流れて喜んでドリフト走行!!なんて言っている人がいますが、あれはドリフト走行なんかじゃなくって単なるテールスライドって言うんですよ。本物のドリフトのためには、慣性力をコントロールすることが必要になります。そのためには、それなりにスピードも出ていないといけないし、自然に発生する力を使うわけだから、ズブの素人が公道でドリフトを練習をされた日には走り屋でなくても怖いのは、想像に難くないですよね。つーわけで、ドリフトの練習はサーキットで練習してからにしてください。もしくは、サーキットに行くお金がなければ、広い駐車場とか、十分に安全な低ミュー路(砂利路・雪道など)で練習するのもいいでしょう。

それでは、次にドリフトを発生させるきっかけづくりについて説明してきます。


(4) ドリフトのきっかけづくり
 ドリフトには先ほどにも行ったように、ヨーモーメントと慣性力が必要だといいました。一般に言えることは、この二つは次の要因当てはまるのではないかと思われます。

・ヨーモーメント→ドリフトのきっかけ
・慣性力→ドリフト状態の維持
 それでは、ドリフトのきっかけづくりをするためのヨーモーメントはどうすると発生するかをまとめていくとしましょう。

 普通ハンドルを切るとクルマは曲がりますが、なぜ曲がるかというと、フロントタイヤがグリップしていることで、コーナリングフォースが発生します。
このときリアタイヤはグリップしていれば、リアタイヤはデフの力でスムーズに曲がってくれます。しかし、リアタイヤのグリップが失われると、フロントタイヤを中心として、コンパスのように車の向きが変わっていきます。このようにフロントタイヤのコーナリングフォースにより発生する力がヨーモーメントなのですが、ヨーモーメントは、フロントタイヤのグリップもさる事ながら、リアタイヤをスライドさせると急激に発生することがいえます。つまり、ドリフトのきっかけとはリアタイヤのグリップをあえて崩すことで発生させることなのです。リアタイヤを滑らせる方法はいくつかありますが、ここでは次の表にまとめてみました。

表1 ドリフトのきっかけ(ヨーモーメントの発生のさせかた)
グリップの崩し方 きっかけ 駆動方式 特徴
ブレーキを使いタイヤロックで サイドブレーキ 全て可能
(前輪・後輪・四輪駆動)
テールの流れ出しは簡単。引く力を調整すれば流れ出しをコントロールできる。
フットブレーキ 流れ出しは比較的素直。
シフト(ギア) 後輪駆動のみ 舗装路でやると駆動系に負担がかかる
アクセルオンによるホイールスピン アクセル 後輪駆動のみ 俗に言うパワーオンドリフト
自然の力を使って 遠心力(慣性力) 全て可能 
(前輪・後輪・四輪駆動)
自然の力の遠心力を使うために、スピードのロスが少ない

● リアをとにかく滑らせよう!!
 大まかに分けて上の表がきっかけの代表です。ただきっかけはいくつもあっても、崩し方はブレーキ・アクセル・そして自然の力の3つしかありません。例外として、クラッチ蹴りとか強引な方法もありますが、非常にクルマに負担がかかるのでおススメできません。まずは初心者向けにきっかけの方法として、サイドブレーキによるものと、アクセルによる方法を説明します。

サイドブレーキによる方法
 この方法はどの駆動方式でもOKなので、初心者であれば一度は体験してみるといいでしょう。比較的低速度でもスライドが体験できるので。方法は簡単。低速でもいいですから、コーナリング中に曲がる力が加わっている状態にし、そこで思い切りサイドブレーキを引くのです。もしもサイドの効きが弱く、テールが出ないのであれば、フットブレーキを踏んで後輪の荷重を抜き、サイドを引くと簡単にテールが出てくれます。よく勘違いされるのが、サイドを引けばテールが流れると勘違いしている人がいますが、横Gが感じられると思った瞬間にサイドを引くようにしてください。
 横Gによってリアグリップが失われてかけている時にサイドを引けば、摩擦円の原理からリアグリップが失われるのは想像に難くないことでしょう。リアタイヤがスライドしたら、アクセルワークとステアリング操作でスライドを調整します。詳しくは、ドラテク向上の練習法でもご参照ください。

アクセルワークによる方法(後輪駆動車のみ)
 アクセルワークによる方法は後輪駆動車のみです。なぜなら、後輪のグリップを駆動力によってグリップを失わせるわけですから、後輪駆動車の特権とも言うべき技です。アクセルワークによるきっかけは、基本的にはサイドブレーキと同様で、サイドと同じタイミングでアクセルで踏むと考えてください。最初は何も考えないでとにかくアクセル全開にしてください。すると当たり前のことですが、リアは滑り出してしまいます。つまり、ここまでがきっかけの段階なのです。それ以降はサイドブレーキと同様に、アクセルワークとステアリング操作でコントロールします。

 いろいろまとめていきましたが、一番ドリフトで問題となるのはおそらくきっかけづくりででしょう。クルマを曲げようと働く力はヨーモーメントですが、グリップしている限りはそこそこ加えてもタイヤは路面に食いついてくれますが、ある一線を越えるとタイヤはスライドし、グリップが失われますから、ヨーモーメントが開放される・・・つまり滑りやすくなるわけです。逆を言えば、後輪のグリップを失わせてしまえば、ドリフトの入口に立てたと考えてもいいでしょう(本当のドリフトはもっと違って、前輪もスライドさせるようにしなければなりませんが・・・)。

● フットブレーキを使って・・・
 この技は一般的に「ブレーキング・ドリフト」といわれる技です。これの難しいところは、サイドブレーキと違って、フロントタイヤにもブレーキがかかる点です。サイドブレーキのように急激にリアのグリップを失わせるのはブレーキの構造上難しいものがあるので、ある程度フロントタイヤをグリップさせとかないとヨーモーメントが発生しません。そこで、ブレーキングドリフトでは、わずかにブレーキをかけある程度フロント荷重にしておき、横Gが感じられるようになったら、さらにブレーキを踏むことで(タイヤはロックさせないように)リアのグリップを失わせ、これをきっかけとします。これを体験するためにはそれなりにスピードが出ていないと体験できないので、練習はせめてサーキットでしましょう。セッティングに影響されますが、ブレーキはリアの効きをきつくして、リアグリップを単純になくそうというセッティングもありますが、後輪の制動力を増やすのは、確かにリアグリップを無くすという意味では効果的なセッティングと言えますが、逆を言えば、制動時は荷重が抜ける後輪の制動力を増やすわけですから、ブレーキそのものの効きが悪くなり、安全性の面で非常にデメリットが生じていることが分かるのではないかと思われます。

 それでは、ドリフトのきっかけができれば、その次はドリフトを維持することにしましょう。これでドリフトは終わってはいませんよ!!


(6) ドリフト状態の維持
● ドリフト状態とは・・・
 ドリフトのきっかけでテールを流したら、ドリフト状態の入口に立てたと考えましょう。そして、いよいよ四輪ドリフト状態に移行します。ここで四輪ドリフト状態とは、フロントタイヤもリアタイヤも流れている状態で、その状態を維持できるかがポイントとなります。また、はフロント・リアタイヤのグリップは失われているので、その間はリアタイヤのスライド量によっては、車の向き(アングル)を調整できるわけです。しかし、この時間は非常に短いのですが・・・ここで全ての駆動方式についてドリフト状態の維持について説明いたします。

後輪駆動
 きっかけでオーバーステアに陥っているわけなんですから、アクセルを多少戻してやらないといけません。車種・セッティングにより異なると思いますが・・・そして、カウンター・ステア(修正舵)が必要になります。ここで、勘違いしないで欲しいのが、カウンターさえ当てればスピンしなくても済むといえば必ずしもそうではありません。基本的にアクセルでコントロールし、ステアリングはその補助をしているだけに過ぎないわけで、クルマに発生するヨーモーメントをアクセルワークで自分で調整しなければならないということを忘れないで下さい。

前輪駆動
 きっかけでスライドが発生すれば、ヨーモーメントの調整はもうできません。なぜなら後輪駆動のようにリアタイヤのグリップの調整ができないからです。そうするとドリフトの維持はフロントタイヤのスライド量を調整していくしかありません。基本的に前輪駆動では、ドリフト状態でアクセル全開にします。ただし、カウンターはほとんど当てません。なぜなら、前輪駆動の場合はグリップの回復が急激であることと、前輪で駆動している性格上コーナリングフォースが発生しやすいため、あてないほうがかえっていいのです。ただ、ドリフト状態を維持しにくいとは言っても、前輪駆動のメリットは安定性にあると思います。アンダーステアの場合はともかく、極端なオーバーステアに陥った場合は、アクセルをONにすればアンダー特性によりオーバーステアが打ち消され、安定性が増すわけだし。

四輪駆動
 四輪駆動は前輪駆動ベースのマシン(ランサーなど)と、後輪駆動ベースのマシン(スカイラインGT-R)では性格が違ってくるようですが、ここでは前輪駆動ベースのマシンで説明いたします(後輪駆動ベースについてはおいおい勉強してきます。すみません)。前輪駆動ベースのマシンでは、まずテールが流れ始めるまでが大変なのですが、流れてからあとは四輪で駆動するわけですから、四輪ドリフトに維持させるためには基本的にはアクセルを全開にします。なぜ全開にするかというと基本的に四輪駆動はタイヤ一つあたりのパワーが少ないため、ちょっとやそっとではグリップが簡単に回復してしまうからです。もちろんそれが走破性のメリットにつながるわけでもあるわけですが・・・
アクセルを全開にして四輪全てのタイヤを滑らせてしまうと、あとはステアリングワークの世界になると思ってください。

(6) ドリフト状態を止める方法
 ドリフト状態といっても、失敗すれば極端なアンダーステアが発生すればコースアウトしちゃうし、オーバーステアが発生すれば最悪の場合はスピンしてしまいます。こういった状態はすくなくともドリフトに失敗したと素直に考えるのも大事ですが、本当のドリフトはかなり高い速度域じゃないとできないものだから、いかに安全に止まることも重要です。

アンダーステアが出たら
 アンダーステアの原因はいろいろありますが、そのほとんどはオーバースピードによるものです。特にきっかけづくりに失敗すると出てくるものですが、アンダーステアが出てしまったら、素直にドリフトはやめましょう。グリップが回復するのだってコース上だったらいいけど、グラベルゾーンに入ってしまったら、ブレーキが効きにくくなったりするんだし、そう考えると早めに素直に減速しちゃうのが賢明でしょう。

スピンになりそうだったら
スピンになりそうだったら基本的にはアクセルは閉じてください。同時にブレーキをかけて止めてしまうのが賢明です。アクセルオンによるスピンで止めてしまうと制動距離は意外と普通に止めたほうよりも長くなることが多いので、ブレーキングにより止めるほうが絶対安全です。


(1) 峠を走る前に・・・
●峠では限界走行は必要ない
 頭文字Dのマンガやレースゲームなんてした後って、峠を攻めてみたくなる気持ちになりますよね。
 確かにゲーム上のワインディングロードは対向車もないし、思う存分走ることができます。

 しかし、現実は違います。

 対向車もあれば、路面は凍結してたり、砂があったり、歩行者とか動物とかもいるかもしれません。
 そんな中で自分の持てる力の100%で走れば、当然事故も発生しやすくなりますよね。

 「速く走るための運転技術」と「安全のための運転技術」とは相反するものです。
 従って、峠では安全を最優先に、周辺環境には絶対に迷惑をかけないように楽しみましょう。

 よく限界に挑戦しないとウデは上がらないという意見も聞かれますが、
 そーゆー方はサーキットに行きましょう。
 サーキットに行けば、学べることの多さも上達の速さも段違いですからね。
 
 それでは、峠という場所では何を学ぶか?
 それは、スムーズな走りに徹することで、スムーズな操作を学べばよいのです。
 決して、限界走行をしなければならない理由なんてないのです。

● 周囲と調和した運転
 最近では、峠では警察関係による取り締まりが厳しくなっています。
 原因はいくつかありますが、最大の原因は近隣住民への騒音公害、もう一つは多発する事故でしょう。
 そこで峠で走るためには、周囲にいかに迷惑をかけないか・・・・ということが重要になります。
 
<騒音公害対策>
 主にマフラーからの騒音や、ドリフトによるスキール音などですね。
 峠は生活道路ですが、周辺住民が住んでいてもおかしくありません。
 周辺に民家や宿泊施設などが無いことを確認してから、走りましょうね。

 それと峠への向かう途中にも、当然民家もあります。
 できる限り、住宅地が近い道路はならべく避け、やむを得ず利用する場合は、
 空ぶかしや回転数を上げないように、配慮していかなければなりません。

<事故対策>
 峠では無謀運転をする人が多く、事故が非常に発生しやすいです。
 このような事故のほとんどはドライバーの心がけ一つで、防止できることが多かったりします。
 そこでリスクを避ける方法について、紹介します。


(ルール1)センターラインを超えない
 対向車との衝突防止ですね。特にブラインドコーナーでは、
 対向車を非常に確認しにくいので、センターラインは超えないようにしましょう。

(ルール2)無謀な追い越しをしない
 ルール1と同様、対向車との衝突防止が目的です。
 峠はサーキットでも、レースするべき場でもないですしね

(ルール3)遅い車を煽らない
 遅い車に追いついたからといって、煽ったりするようなマネはやめましょう。
 できれば、遅い車に追いついた場合、暗黙のルールがあります。
 それは、「ハザードランプをつける」ということです。
 日本の高速道路でも定着しつつあるルールですが、
 後続車の追突を避けるために、これは行うべきだと思います。
 
 また、後ろから速い車が来た場合は、素直に譲りましょう。
 ただし道幅が広い見通しのよい場所で。

(ルール4)ドリフト走行はしない
 峠でドリフト走行をしている人がいらっしゃいますが、クローズドコースでやってください。
 峠は初心者から上級者まで入り乱れている状態ですから、
 こんな場所で、ドリフト走行をされると非常にリスクを伴うからです。
 しかも生活道路である以上、ドリフトにより道路にタイヤマークがいっぱいついていたら、
 当然、地元住民は峠を走る人に対して、いい印象は持ちませんよね。
  あくまで峠は、スムーズな運転を身につける場として考えてください。

 以上のことが最低限のルールでしょうか。他人にも迷惑がかけ続けていれば、峠を閉鎖されるのがオチです。

 また、それぞれの峠にはそれぞれマナーがあります。Uターン場所に来たらハザードを点滅させたり、
 攻めるのは上りのみの峠など、各峠には暗黙の了解でマナーが守られている部分もあります。
 それは安全を守るために考えられてきたルールであることが多いのです。

 私達が行っている行為は、ハタから見てると非常識な行為だと思われても仕方ありません。
 だからこそ、一人一人がリスクを認識して、せめて誰にも迷惑をかけないで済むようにしていくことが重要です。


●完熟走行をしよう
 峠でいきなり全開走行したら、当然事故が発生する確率は高くなります。
 そこで必要となるのが、「慣熟走行」なのです。
 「完熟走行」とは? まぁ要するに、ゆっくり走ることでコースに走り慣れることです。
 これはサーキットレースでも、ラリーでもレッキという形で予備走行を行うことで、
 完熟走行を行っています。どんな人間でも、リハーサルは欠かせません。

 <コースのレイアウトを知る>
 慣熟走行に欠かせないこと、それはコースのレイアウトを知ることです。
 しかし、意外とこの作業をしたことが無い人が多いと思います。
 確かにコースを何度か走っていれば、コースのクセとかそーゆうのは
 感覚で分かってきますが、コースを正確に把握するために
 やっておくべきだと思います。

<実際に走ってみる>
 もちろん最初は地図上ですから、全部分かるのは無理というものです。
 そこで、最初は実走を通じて(制限速度を守って)何周も走ってみます。
 意外と「自分の感覚」と「地図上のコースレイアウト」違いに気がつくと思います。 
 例えば、ヘアピンと思ってたコーナーが、意外とコーナー出口ではコーナーが
 緩やかになってた・・・。ということに思わぬ発見があったります。
 この違いが分かると、自分が今まで見落としていたことが、
 少しずつ分かってくるはずなので、修正することができますよね。


図1 コースレイアウト
<コースを覚えよう>
 ・コーナーの順番
 ・コーナーのきつさ
 ・ストレートの長さ
 以上の3つを正確に覚えてみると良いでしょうね。 

<気がついたことはメモにしよう>
 気がついたことはまずメモを取るのも良いでしょう。
 この繰り返しにより、コースレイアウトと自分のイメージが限りなく近づいてきます。
 そしてコーナーがわかったら、次はコース全体をどうすればスムーズに走れるか
 ・・・って考えていきます。

 どの段階でも言えることは、自分の持ってるイメージを描いてなければいけません
 この繰り返しが、ドラテクの向上につながるのです。


(2) いざ。峠で走る!
● 走るならば夜間がオススメ
 どの峠でも、夜間走っているのが普通ですね。その理由としては、
 「一般車の交通量が少ない」、「対向車の確認がしやすい」からでしょう。

 例えば、コーナーの先に照らされているわずかなヘッドライトが見えれば、対向車の存在を確認することもできます。
 しかし、ヘッドライトや街灯が照らす範囲にしか、視界が非常に限られてしまうというデメリットもあります。

 このため昼間と夜間ではそれぞれ特徴があり、一長一短な部分がありますが、
 できるだけ他の交通の妨げになる可能性の少ない夜間走行が良いです。

 当然のことながら、慣熟走行(慣らし)を十分に行っていかなければなりません。
 慣熟走行では次の3つのコンディションを把握します。
 

コースレイアウト(Road)
 ・コーナーのきつさ(ヘアピン、L字など)
 ・直線の長さ
 ・コーナーの繋がり方(S字、複合コーナーなど)
ライン取りを考える
路面状態(Surface)
 ・路面の摩擦(ドライ、ウエット、雪道、アイスなど)
 ・勾配のきつさ(急勾配か緩勾配か平坦かなど) 
車の状態(Machine)
 ・ブレーキの効き
 ・タイヤのグリップ
 ・駆動方式
車の状態・特性に即した
コントロール
● 視点を前にもっていく
 フロントタイヤからタイヤを鳴らして、曲がりやすい車をワザワザ曲げにくくしているのをよく見かけます。
 本人は一生懸命のつもりでしょうが、これはタイヤのグリップを無視したコーナリングですね。

 原因はオーバースピードとすぐ判断しがちですが、意外とライン取りに問題があるのが多いのです。

 ですので、精神的に「峠を走る=攻める」という気持ちを捨てましょう。

 とはいえ、正確にライン取りを行うのは、夜間の暗い峠道では難しいものです。
 そこで、視点を遠くに持っていくことが大事になるのです。
 人間は視点に向かって移動する動物であるといわれていますが、
 これにより視野が広がり、余裕を持った操作ができるようになるというメリットがあります。
 逆にコーナーの外側のガードレールなどいつまでも見つめていると不安感から、
 カラダの筋肉が硬直し、性格な動作が行われないですしね。

 たとえば、下の図を使って説明をします。

 理想的なラインを描いて、見事にコーナーをクリアしてますが、
 このとき視点の移動はどうしたらいいか・・・?

(1) コーナーの進入
 このときはコーナーのCPを見つめます

(2) CPに近づくとき
 この時からコーナーの出口を見つめていきます。
 そうすることで、コーナーの出口に来たときの
 ステア操作を滑らかにするように意識できるようになります。 

(3) CPを抜けるころ
 既にコーナーの立ち上がり区間を見つめること。
 

● アウト・イン・アウト
 初心者は特に挙動に対してナーバスになってください。
 腰を通じてシートから感じられる横Gの変化が急激になったり、大きくなり過ぎる場合は、
 どこかにラインが無理があるということが多いです。つまり、アウト・イン・アウトのライン取りは基本となります。
 つまり可能な限り大きなR(半径)で、なめらかな曲線を描いて曲がることなのです。

 私の経験で、初心者のミスは、6割がライン取りの失敗、3割がオーバースピード、
 1割がステアなど操作ミスだと思ってます。逆にいえば、それぐらいラインは重要です。
 
 レースでも、ラインが悪いとタイヤの消耗や負担が増え、周回を重ねるごとにタイムが落ちてしまう・・・・
 ということもあります。つまりスムーズな走りを覚えることは、決して悪いことじゃないんですよね。

 それではいままでのことを踏まえて、ちょっとした例題を。
 「S字コーナーをあなたはどう攻略しますか?」 答えは、下の図をご覧下さい。
 

 左の図はS字コーナーを示していますが、安全のために
 「センターラインを超えない」ことは峠を走る上での前提です。
 なので、センターラインを超えない範囲でライン取りを設定しています。

 このS字コーナーは、最初は左コーナー、次は右コーナーです。
 セオリー通りに考えれば、一つ目の左コーナーは
 アウト・イン・アウトと行きたいところですが、アウト・イン・インで曲がってます。
 
 これは、二つ目の右コーナーでアウト・イン・アウトで曲がりたいため、
 あえて一つ目のコーナーではインベタで立ち上がっているのです。

 こうしたライン取り一つで、ハンドル・ブレーキ操作は少なくてすむ・・・ことが少し分かっていただいたでしょうか。
 とにかくステアリング・ブレーキ・アクセル操作がスムーズに心がけることに尽きます。 

 そして公道で危ないと思ったら、素直に危ないと認めましょう。
 どんなドライバーでも、あなたが怖いと思っていることは、プロのドライバーにも怖いものですしね。
 


(4) 危険回避
● まずはスピードを落とす
 人間は完全な生き物ではありませんから、オーバースピードでコーナーに侵入したり、
 障害物が突然現われたりすることだってありますよね。
 
 このような時、まずはともかく安全な速度に減速してください。
 ABSが効いてるクルマであれば、「ドカッ」って親のカタキのように踏み、
 ステアリングを丁寧に操作してください。
 
 ここで、「衝突回避はスピンで逃げれば良いじゃん?」と思われてる方もいるかもしれませんが、
 車速を落とさないでスピンをすると、車は慣性の力でどんどん外に膨らみ、
 あまり減速しないし、コントロールもできません。要するにかえって危険なだけなのです。
●コントロールを保つ
 減速できれば、第一段階はクリアです。
 次に重要なのは、車をコントロールしなければなりません。

 ここでアンダーステアが出ていなければ、フロントタイヤを滑らせないように、
 丁寧にステアリングを切って回避してください(これが一番安全)

 しかし極端なアンダーステア(ハンドル切っても曲がらない状態)が出ていると、
 フロント部(エンジン)をやられると、走行不能・キャビンの損壊を招き、
 自走が困難になるだけでなく、生命に関わることも多いです。
 つまり、車を無理やりオーバーステアに持っていくことです。
 万が一クラッシュしてもトランクの破損ですむかもしれません。
 誤解がないようにいっておくと、オーバーステアに持っていくことは、スピンで回避することではありません

 一言でオーバーステアに持ち込む方法はいくつかあります。
 代表的な方法は、サイドターンのように後輪を無理矢理ロックさせてオーバーステアに持っていく方法(初心者向け)。
 あとは、ブレーキング・ドリフトのようにブレーキングで荷重移動をさせる方法などがあります(上級者向け)。
 間違ってもこの練習は公道ではやらないで下さい。練習場所はサーキットとかで行いましょう。
 

●危険回避のありかた
 以上のように、まとめてみましたが、結局危険に備えることが何よりの事故防止につながります。
 アヤシイと思ったら絶対に無理しないこと。
 経験を重ねれば重ねるほど、危険予知ができるようになります。
 この予知という人間の感覚にはない、「第6感」を養うことは非常に走りで役立ちます。

C 峠を走ることの意義
● TPOをわきまえた運転が見につく・・・これが峠を走る意義
 これまで2回にわたり、「安全に峠を走る」ための知識を説明しました。
 それでは公道を走るための意味は何にあるのでしょうか?
 
 ご存知のとおり、公道は時々刻々と変わるものです。
 路面がウエットになったり、凍結してたり、時には、落石があり道路が塞がれてたり・・・
 いろんな場面がありえます。

 つまり、様々なシチュエーションを体験できることは、
 その場に即した運転を学ぶには非常に良い場所だといえますよね。
 そして、峠を走ることを通じて、自然を相手に走ることで様々な感覚を養うことになるのです。

 その経験がサーキットなどでも役に立つことは、言うまでもないと思います。


はみだし談義(緩和曲線って?)
 右図は高速道路の出口ですが、その形状って知ってますか?
 カーブの形って一定半径の円周と思われてるかもしれませんが、
 実は、緩やかな曲線になっている部分もあるんです。

 これにより、道路の直線部から円曲線部に移る場合において、
 カーブの半径が徐々に変わり、ドライバに与える衝撃が防げます。
 この曲線は、この衝撃を緩和するというところから
 緩和曲線と呼ばれています。

 ちなみにこれは道路設計に限らず、
 鉄道の線路設計などにも活用されています。


誰でも車の運転はうまくありたいと思ってるはずです。下手よりもうまいほうが絶対いいですよね。
ここでは、リスクの大きい公道での練習よりも、より安全な練習法を紹介していきたいと思います。


(1) 練習する場所を探す
 練習する場所を探すのは非常に大変なことだと思います。一般に考え付くのは、公道であるいわゆる峠やら埠頭などいろんな走り屋が生息するところがあるとは思いますが、エスケープゾーンがサーキットなどに比べて非常に少ないため、安全性に欠けています。しかも、一般車も走っているので、それらの車との共存もはからないといけません。そのような制約条件の中で、ドラテクを磨こうとするのは、危険ですし、上達もままならないこともあるかと思います。

そこで、私が考える練習場所としては、まず・・・・
 一つ目に近くに民家が全くない(少しでもあったら絶対にしない)
 二つ目は交通量が少ない(特に夜間は)
 三つ目は比較的エスケープゾーンが多い
 四つ目はドライバーのマナーが守られているところ・・・・以上4点であると思います。

 条件を満たしている場所をおススメの順番にならべてみますと・・・(注意:近隣の迷惑にならない場所で練習しましょう!!)。クローズドコースは一番安全なのでおススメです。
1.駐車場
 都心部では大規模な駐車場があっても、近くに民家とかあって練習できないかもしれないですが、地方では比較的大規模な駐車場とかあるとは思うので、夜とか閉鎖されてなければ思いっきり練習できると思います。こういったところではジムカーナとか比較的低い速度での練習もできますよね。ただ、近隣に迷惑にならないように注意しましょう。

2.空き地
 特に新興住宅地などで空き地がいっぱいあるところとかがありますが、こういうところも練習できますよね。ただし、丘になっているところとかは、気をつけて運転しないと横転することも・・・・一般に下は草が生えてたり、砂利だったりするので、低μ路の練習ができます。こういったところはミスが増幅して現れるので、知らず知らずのうちにテクが磨かれるはずです。

3.サーキット
 多少コストはかかりますが、一番安全で、もっともスピード感を感じることができる場所です。高速領域でトライしたいことがあるならば、サーキットに行って実践するのが一番ベストでしょう。また、低速でもレーシングカートのように本質的に腕を磨けるところもあるので一度は行ってみるといいでしょう。

4.ドライビングレッスン
 初心者でもとっかかりやすいのはこれでしょうね。最近では企業が積極的にドライビングレッスンを設けているので、参加するのも悪くないはずです。知識あってのドライビングですし、実践あってのドライビングを体験するならまさにここです。参考までに、企業がドライビングレッスンを実施しているのを以下に示していきます。
ホンダ・ツインリンクもてぎ
 こちらはコースは充実しているのですが、栃木の茂木(もてぎ)に行かなければなりません。しかし、ホンダが新設したコースというだけあって、充実度はかなりのもの!(らしいです。)
トヨタ・ドライバーコミュニケーション
 こちらは全国あちこちめぐって、ドライビングレッスンをする方式を取ってますが、比較的広いコースを利用して練習してます。また、近年オープンした、お台場のトヨタ・メガウェブでも週に1度ぐらい1時間に渡ってレッスンもしています。欲を言えばもう少しコースが広ければ・・・・他にもいろいろありますので(あるはずなので)、いろいろ調べてみます。

今度は、多少リスクも伴う公道に移って・・・

5.ダート路
 言わずと知れた未舗装道路のことです。砂利ですから、当然アスファルトの路面に比べて滑りやすいです。当然ミスは増幅して現れるので、全ての操作に対してデリケートになり、感覚が研ぎ澄まされるようになるのです。ただ、こういうところは、結構山奥に入ったりすることがあるので、準備万端にしとかないと、交通量が全くない道に立ち往生してしまうととんでもないことになりかねないので気をつけましょう。

・・・・そして最後には、

6.峠・埠頭など
 舗装道路がほとんどなのですが、エスケープゾーンは公道という性格上ほとんどないのが現状です。そのため、全開に走るのは絶対に避けるようにするのと、一般車は絶対に巻き込まないようにしましょう。

・・・練習場所はこんなところでしょうか。
 ただどうしても腕をあげたいというのでしたら、絶対にクローズドコースやダート路に行ったほうがいいです。クローズドであれば対向車もないし、ダートの低μ路であればスピードもそんなに出せませんから、モータースポーツにはまさに打ってつけだとは思います。ただ、ローリング族みたいに、クルマをヨコに向けて遊んで走らせたりするよりも、同じ走るんだったら、もっとうまくなりたいという目的を持って走るとでは全く走りが変わってくるので、クローズドコースやサーキットなどに行くのをおすすめいたします。

 それでは、練習場所が決まれば、次に練習方法をまとめていきます。


誰でも車の運転はうまくありたいと思ってるはずです。下手よりもうまいほうが絶対いいですよね。
ここでは、リスクの大きい公道での練習よりも、より安全な練習法を紹介していきたいと思います。


(2) まずはクローズドコースで・・・
 練習場所が決まればあとは練習あるのみです。それでは、練習方法をいろいろ紹介してみましょう。マシンは基本的にどんなやつでもいいです。FFだろうが、FRだろうが。でも、できれば改造(いじって)ないクルマであれば、ヘンなクセもつかないと思います。

1.パイロンスラローム
 一定間隔にパイロンをならべて、いかに速くすり抜けられるかを練習します。これはかなり広い場所でなければ練習できません。どうしても練習がしたければ、2車線の全く交通量の少ない道路で、センターラインの端の部分を使ってセンターラインを踏まないという練習方法もあります。ただ、この方法は公道での練習なので気をつけましょうね。大体最初は4〜5メートル間隔にパイロンを置き、ジグザグ状に走行します。たまになめてかかってやってみると、運転操作の粗さがよぉく分かる練習方法です。

 まず、最初は遅いスピードで行ってみましょう。最初はハンドル操作だけでも簡単に曲がれるはずです。こうやって見るとラインはいくつもあるようですが、前にも言った通りベスト・ラインは一つだけです。

 しかし、速度を徐々に上げればパイロンにタッチしやすくなります。それはスピードが速くなれば、クルマが前に進もうとする力が増え、曲がりにくくなるからですよね。となると、タイトなコーナリングで旋回グリップを確保するには、アクセルのオン・オフステアリングを切るタイミングが非常に重要になるのです。そこで、パイロンスラロームのコツは、下の二つにまとめられます。
 1.一定速度を保つということ、
 2.左・右いずれにターンするときも、同じ振幅(パイロンから離れる距離が一定)同じ挙動で曲がることです。






スラローム(1):振幅が最大(パイロンから一番離れている)になるときですのでハンドルが切る量は最大となっています。フルロックという意味ではないので誤解のないように。
スラローム(2):パイロンにはきちっとクルマを近づけます。(4)の位置に向かうわけですが、若干まわりんでアプローチする感じで、アングルをつけてあげます。
そうしないと後に続くパイロンでアンダーが出まくり収拾がつかなくなるからです。ここから、ハンドルは少しずつ戻していきます。
スラローム(3):ここからはハンドルを戻し終えて左に切ります。戻し遅れ・切り遅れはミスにつながりますので要注意。
スラローム(4):(1)と同様に、振幅が最大(パイロンから一番離れている)になるときですのでハンドルが切る量は最大となっています。デフが効いてるクルマであればアクセルでクルマの向きを変えることも可能です。特にFRはアクセルオンでアングルをつけることができますので、比較的楽です。
(4)の位置は次のパイロンに対して若干近めとなってます。
スラローム(5):パイロンにはきちっとクルマを近づけます。が、もしアンダーを感じればスピードを落とすか、ラインをきちんとトレースできているかいずれかの理由が考えられます。アンダーを感じたままに走っていると、後になればなるほど挙動が増幅して現れてくるはずです。


2. 定常円旋回
 定常円旋回の練習はおよそ半径10mぐらいの円周上にパイロンを8本ぐらい並べます。定常円旋回はスピードがそれほど高くなくても、クルマの限界を簡単に体験できる良い練習法といえます。ただ車の最小回転半径は意外と大きいものですので案外広い場所が必要です。半径10m以上もある空き地なんてそうないはずですよね・・・・
 となると、よっぽど広い駐車場かジムカーナ場が一番ベストな場所といえるでしょうね。タイヤの限界付近でアクセル・ステアリング操作を行い、様々な挙動を体験できる定常円旋回をここでは説明します。

● 定常円旋回の目的とは・・・・
 定常円旋回の目的はアンダーステアやオーバーステアを体験するだけが目的ではありません。なぜそのようなステア特性が表れるか・・・・
それはタイヤのグリップが密接に関わっているのであって、そのグリップ特性をカラダで感じ取ることが目的なのです。ステア特性を体験するのはその延長線上に過ぎません。

◎ タイヤの限界を引き出そう
 まずは半径10mほどの円をぐるぐる回ります。舵角を保ちつつ速度も一定に保ちます。そして、スピードを徐々に5km/hずつ上げていってみると、大体40km/hぐらいですると舵角がますます必要になるようになり、やがてスキール音がするようになるはずです(クルマの特性・路面状況にもよりますが)。
 スキール音は大抵フロントタイヤから出ていると思いますが、スキール音が発生しているということはタイヤはもうグリップに余力がないということを意味してます。これによりスピードによりどの舵角で、タイヤの限界に達しているかわかりやすいと思います。定常円旋回ではフロントタイヤの限界を保ったまま走ることで、タイヤの限界性能をギリギリまで引き出す練習をします。個人差はあるもののアンダーステアが出る原因としては、オーバースピードもその一つですが、フロントタイヤの性能を引き出せずにアンダーを出すケースも多いのです。

○ 限界付近でいろいろ試してみよう!
 アクセル操作を踏んだり・抜いたりしてみると、おもしろいように挙動がネコの目のように変わります。

*前輪駆動(FF)、四輪駆動(4WD)
 アクセルを余計に踏み込めば、アンダーステアになります。特にFFは強アンダー、4WDは弱アンダー傾向です。フロントが滑れば、グリップが回復するまで待つしかありません。つまり、駆動力を減らせばグリップが回復するわけです。つまり、アクセルを微妙に戻してやればいいのです。ここで、なぜ「微妙に」というと、前輪で駆動するFF、4WDはグリップが回復したときのグリップ力はかなり強く、いきなり全部戻してしまうと、ノーズダイブを起こしフロントに荷重が加わり、相乗効果でフロントグリップが増えてしまうわけです。そうなると、鬼のようなリバースステア・・・・つまりタックイン現象(オーバーステア)に襲われるわけです。
*後輪駆動(FR・MRなど)
 アクセルを踏み込んでいくと、後輪駆動ではオーバーステアになります。オーバーステアに襲われたら、まずはカウンターステアを当てることが必要になります。ただ滑り始めてからカウンターを当てるのではなくて、滑り始めると感じ始めてすぐ当てないとスピンする恐れもあるので、腰にシートを当てつけてテールが滑り始める感覚に対して敏感でなければいけません。この時、アクセルをかまわず踏み続けると後輪のグリップが失われ続けるので、強オーバーステアとなり、スピンに陥ります。また、逆にアクセルをいきなり閉じると、フロントのグリップが回復してリバースステアつまり、タイヤの向いている方向に車が行ってしまいます。

● サイドを使った定常円旋回
 どうしてもラインがふくらみがちになってしまう場合は、サイドブレーキを使ってオーバーステアに、無理矢理もってく方法もあります。つまり最小回転半径を小さく曲がるということです。定常円旋回状態では常に横Gがかかっている状態なので、サイドブレーキを引くことでリアがスライドしやすくなります。これを積極的に行うことでいち早く向きを変えられるわけです。

手順としては・・・
 1.パイロンの手前でサイドを引く(ターンイン時のスライド量はサイドで調整)
 2.リアがスライドし始めたらアクセルをオンにします。
  慣れてくれば、アクセル操作で自由自在に次のパイロンに向かってアングルをつけることもできます。


3. スピンターン
 前述の定常円旋回でも書いてありましたが、サイドブレーキを使って車の向きをターンインにかけて急激に変える方法です。やり方は至って簡単。横Gを感じたと思ったら、サイドブレーキを急激に引いて、タイヤをロックさせます。この方法はヘアピンとかコーナリングスピードが極端に落ちる場合において使うのが効果的で、実戦でも有効なテクニックですが、スピンが気軽に体験できる方法でもあります。

【スピンターンのやり方】−左の図1と参照
(1) まず1速で全開でパイロンをコーナーと見立てて進入します。
(2) フットブレーキで曲がれるかな思われるギリギリの速度に調整すると同時に、前輪に荷重を移しフロント荷重にしてやります。FR・4WD車ではここでクラッチを切ります(でないと、駆動輪にあたる後輪がロックしてくれないから)。
(3) フロント荷重の状態でターンインに入ります。この時、ステアリングを切り腰を通じて横Gが感じられると思ったら、サイドブレーキを思いっきり引きます。そうするとテールが流れ始めるはずです。テールの流れる量はサイドブレーキを引く量(強さ・長さ)で調整していきます。
(4) FR・4WDではクラッチをここでつなげるようにします。積極的にクルマの向きも変えることもできますが、オツリをもらわないようにカウンターは少な目に。クリッピングポイントについたと思ったら、ステアリングを戻していきます。このときステアリングの切り足しなど急激に車の向きを変えなくても済むようにしましょう。
(5) あとはひたすら立ち上がるのみです。

【スピンターンのコツ】
● リアタイヤをロックさせることが第一
 スピンターンをするためには、当然ですがサイドブレーキを強くしておかないといけません。しかしどうしてもリアタイヤがロックしにくければ、(2)の段階でフットブレーキを使ってリアタイヤのグリップを減らしタイヤがロックしやすくするようにします。

● サイドブレーキの役割
 サイドブレーキを引けばいよいよリアグリップが失われていくわけですが、駆動方式によってアプローチがぜんぜん違います。後輪駆動であれば、パワーをかけることでリアタイヤのグリップが調整できますが、前輪駆動や四輪駆動では調整できないです。それゆえに、サイドブレーキの役割は単にリアを振り出す役割だけではなく、リアが流れる量を調整する役目が強いということを覚えてください。

● アクセルワーク
 アクセルワークが重要になってくるのはパイロンを過ぎる辺りからです。

FFや4WD:サイドを十分にひいておけばデフのあるクルマであればバンバン曲がってくれるでしょうが過信は禁物です。いずれにせよ、トラクションがかかればクルマが安定するので、いかに早くアクセルをONにできるかが課題となります。そのためには、ターンインにかけてのサイドブレーキで十分にクルマの向きを変えておかないといけないわけです。
FR:こちらはリアに駆動力がかかるので、積極的にクルマの向きを変えることができます。そういう意味では立ち上がりではアクセルを積極的にONにできるから有利です。

● ヨーコントロールの重要性
 このスピンターンではどの駆動方式にしてもそうですが、クルマに働く曲がる力をどこで働かせるかが重要になります。クルマが曲がろうとする力は基本的にはクルマが前に行こうという力と違いますよね。クルマが曲がろうとしているときは加速しにくいし、加速しようとしているときは曲がりにくい・・・
「曲がろうとする力(ヨーモーメント)」は「加速力」にとっては相反するものなのです。つまりタイムを出すための走りたいのであれば、この2つの力をメリハリをつけてコントロールすればよいのです。例えば、この場合では180度向きを変えないといけない設定ですので、「どこでクルマの向きを変え、スムーズに立ち上がりをするか」を考えなければなりません。そこで「ヨーコントロール」が必要になるわけです。
 

 進入におけるクルマの向きが0度だとすれば、ターンインにかけて積極的に向きを変えなければなりません。つまり、サイドブレーキが効いているときが最もヨーモーメントが発生しているときです。この時、ヨーモーメントを十分に発生させておけば立ち上がりが楽になります。しかし、あまり急激すぎるとスピンしますが・・・
 クルマの向きが徐々に変わってくれば、駆動輪のグリップと相談しながら、立ち上がり加速が十分にできるようにしなければなりません。そして、クルマが180度向きが変わったとき、この時立ち上がりは「加速力」=100%でなければなりません。いつまでもヨーモーメントを残した状態・・・立ち上がりにおけるオツリなどもらうようでは、タイムロスにつながるだけです。立ち上がりでは、無理な横Gがかからないで、ステアも真っ直ぐであるようにしましょう。

4. 8の字旋回
 8の字旋回は下の図1-1のようにパイロンを10〜15m間隔に並べ、8の字状に回る練習法です。パイロンスラロームではステアリングワーク、定常円旋回ではアクセルワークの重要性などを学んできましたが、この練習は、「パイロンスラローム」と「定常円旋回」の応用です。
 また、図では同じ半径(R)と見立てて旋回していますが、図1-2どちらかの半径を大きくしたり、小さくしたりすることで、様々な半径のコーナーに対応した練習もできる非常に懐の深い練習であります。 


【8の字旋回のコツ】
 ここでは半径を変えた8の字旋回の要領を説明します。8の字旋回で一番難しいのは当然ですが、半径が小さいパイロンを回るときです。そこで、パイロンを回り込むときはタイヤのグリップを100%活かさないと、 回れないことがあるので、ステアリングワークとアクセルワーク、場合によってはブレーキングも重要になります。ステアリングワークでは戻し遅れ・切り遅れなどをなくし、同時に挙動変化をできるだけ減らすことが重要です。また、普通の同じ半径の場合ならば問題ないのですが、この複合Rの8の字旋回では、それぞれのRに見合った速度でコーナリングする必要があるので、スピードコントロールも重要になります。

(1):コーナー進入
 Rの小さいパイロンへ進入。ここからはパイロンスラロームの要領と同じで、ステアリングは戻し始める。2つのパイロンの真ん中部分に来たらステアリングは真っ直ぐにならなければならない。
(2),(3):ターンイン
 2つのパイロンの真ん中部分を過ぎたら、ステアリングを切り始める。この時、(1)とは逆方向にハンドルを切るため挙動が変化しやすいが、ステアリング操作をスムーズに少な目にすれば挙動乱れにくくてすむ。また、ターンインの段階であるためフロントタイヤのグリップを100%全て引き出せるようにする。
(4):コーナリング中
 この辺からは定常円旋回と同じ要領です。ターンインでクルマの向きを変えれば、FF・4WDならばステア操作(デフ付きならばアクセル操作も可)や、アクセルOFFによるタックインを組み合わせたりして向きを変えてきます。FRであればアクセル操作で向きを変えていくことができます。ただしあまり急激な挙動変化はタイムロスなので控えめに。
(5):立ち上がり
 ここではどんなクルマでも駆動輪をスリップさせないでスムーズに立ち上がりができる状態にしましょう。特に180度ターンと違って更に回り込むわけですから、非常にアンダーが出やすくなるので、アクセルワークが重要になります。

【8の字のコツ】
 8の字のコツって言っても、パイロンスラローム・定常円旋回と同じように、いかに挙動変化を無くし、クルマを曲げていくかそれが課題となります。そういう点ではコーナーの進入〜ターンインにかけてが非常に重要になると思われます。ジムカーナでもそうですが、特にFFや4WDではターンインにかけてアンダーステアが出やすく、曲がりやすくするためには、ステアリングを切り込むほんのわずか前にアクセルを少しOFFにしてやるとフロントグリップが増え、曲がりやすくなります。実はこれができればどんなクルマにしたってそうですが、あらゆるコーナーのアプローチにおいてターンインのタイミングが把握しやすくなります。