スピーカーの音質を改善する新たな機構を考案しました。 Mechanical Ground Earth of Speaker Unitm。 スピーカーユニットをメカニカルグランドアース(機械的に接地)する。 略して=「MGES」エムゲスと呼び、3種類の仕様が有ります。 注)エンクロ=エンクロージャーの略。 .MGES フル仕様 (新規のみ対応) : 機械的接地+自立+エンクロ絶縁+エンクロ自立 .MGES ハーフ仕様A(新規/既存品対応): 機械的接地+エンクロ絶縁 .MGES ハーフ仕様B(新規/既存品対応): 機械的接地 「MGES」は新規製作、既存製品(搭載可能か要検討)に対応できます。 下記表の画像は基本構造を示します(20cm2Way 日立Lo-D HS-500 の例)。 小型から大型のスピーカーシステムに対応し、機種毎に最適な構造と設計で対応します。 「MGES」の効果を体験出来る様にウッドウイルの試聴室に比較試聴機を用意しています。 .日 立 Lo-D HS-500 .JBL L101 Lancer 比較再生出来る様に音声ファイルをリンクしています。 比較スピーカーの音をマイク録音、アップロードし、それをダウンロードして聞くと言う手法です。 正確性に疑問も有るでしょうが参考になればと考えます。 高品質の音質比較ですのでパソコン等では無く、相応のグレードのシステムでお聞き下さる事をお勧めします。 比較試聴されたお客様は一瞬でまるで違うと感想を述べています。 「MGES」はエンクロージャー測定/解析で得られたノウハウを基にしています。 Enclosure Function main.html 詳細説明は下記参照、ここでは簡略説明を示します。 a.エンクロージャーの機能はスピーカーユニットの前後から発する逆位相音波による打ち消し合いを防ぐ事である。 b.エンクロージャーにユニットを取付けているのは他に適当な構造物が無いからである。 c.ユニットは振動板の運動より作用反作用運動を生じさせるから音とは無関係な機械的振動を発生させる。 d.エンクロージャーはユニットの作用反作用運動とユニット重量支持の為に本来の機能とは無関係に構造上の強度を要求されている。 e.「MGES」は作用反作用運動をその大きな質量で機械的に吸収し、それを仮想接地(メカニカルグランドアース)して削減する。 f.「MGES」フル仕様は作用反作用運動吸収構造とエンクロージャー構造との二重構造とし、互いの干渉を削減する。 g.「MGES」はユニットの作用反作用運動から解放される為にエンクロージャーの振動/共振を積極的に利用して「響き」を活かせる。 h.「MGES」はユニットの作用反作用運動から解放される為に無振動無共振エンクロージャーを設計出来る。 |
![]() FOSTEX 10cmウーファー M100HR-W+ドームツイーターT250D を フィンランドバーチ合板積層ラウンドエンクロージャーに組み込んだ コンパクトな2Wayシステムです。 エンクロージャーにMGESを組み込まれたイメージを出す為に MGESはリフトに載せて高さ調整をしていますが、 製品にリフトは使わず、スペーサー等を使って調整しています。 |
![]() MGES本体は防振材にてフローティングされます。 ユニットにはMGES本体と連結する為の同サイズのアダプターが 取り付けられます。 ユニット取り付は位置決めガイドピンに沿ってMGES本体に 差し込まれ、マグネットで密着連結し一体となります。 ユニット振動を減衰吸収したMGES本体底からのインシュレーター により接地されます。 ユニットフレームとエンクロージャーの接触面も振動吸収体 により絶縁さえれます。 エンクロージャはユニット振動と床面等からも絶縁された 独立した構造、位置関係となります。 この構造をMGES フル仕様と名付けています。 |
![]() MGESフル仕様 下部はエンクロ底を貫いてスタンド又は床に届き 上下二重の板の隙間とユニットサブバッフル内側の 線が結ぶエンクロに組み込まれます。 |
![]() MGESフル仕様 二重のサブバッフル間に防振密閉剤 底部はMGES質量を受け止め 天部はエンクロ質量を受け止めます。 ユニット支持は他の構造に依存しない。 |
![]() MGESフル仕様 中心部構造が作用反作用運動を吸収し、 上下構造が機械的ロス無く接地させる。 |
![]() MGESハーフ仕様A 下部は防振材を挟んでエンクロ底部へ 天部構造は省略 |
![]() MGESハーフ仕様A ユニット周りの構造は フル仕様と同等 |
![]() MGESハーフ仕様A ユニットとMGESの質量はエンクロ底部に 依存するが実質振動は無視できる |
![]() MGESハーフ仕様B |
![]() MGESハーフ仕様B ユニットはエンクロバッフルへ 直接固定する。 その他はハーフ仕様Aと同じ 二重サブバッフルと防振密閉構造の コストダウン指向の仕様 |
![]() MGESハーフ仕様B |
MGES搭載によるスピーカーユニットフレームの振動測定と振動の大きさ比較。 1.信号発生器による正弦波信号(100Hz/300Hz/500Hz/1KHz/3KHz/6KHz)をスピーカーユニットに与える。 2.下記画像のユニットフレームに装着した振動センサー(白い円盤状の物)によりユニットフレーム振動を拾う。 3.センサー信号をFFT解析して振動の相対値を観測して表示する。 4.振動信号の相対値は下記となった。 100Hz 300Hz 500Hz 1KHz 3KHz 6KHz ----------------------------------------- オリジナル機 - 7dB - 6dB - 5dB + 4dB -13dB -25dB ----------------------------------------- MGES搭載機 -27dB -42dB -33dB -18dB -45dB -40dB ----------------------------------------- 信号レベル差(dB) 20dB 36dB 28dB 22dB 32dB 15dB ----------------------------------------- 信号の大きさ比較 10倍 63倍 25倍 13倍 40倍 6倍 5.以上からMGES搭載によりフレーム振動が減少している事が分かります。 例:300HzではMGES搭載によりオリジナル機のフレーム振動が1/63に減少している事が分かる。 ![]() 下記グラフの上段側:MGES搭載機 / 下段側:オリジナル機 ![]() ![]() 100Hz 300Hz ![]() ![]() 500Hz 1KHz ![]() ![]() 3KHz 6KHz |
JBL L101に搭載した「MGES」ハーフ仕様A搭載機とオリジナルL101との比較試聴音源ファイル。 .MGES搭載機の比較音源録音時の様子。 .背面中間にある段差の板が在庫するMGES仕様では搭載に支障となる為に内側取付から外側取付に変更しました。 |
試聴の方法 .下記のファイル名をクリックする .次の画面の左中央付近の「ダウンロード」をクリック .次の画面の右側「ファイルを開く」をクリックで音声が出ます。 [MGESハーフ仕様A搭載改造機] [オリジナル JBL L101] MGES搭載 ロイヘインズ JBL-L101 orijinal ロイヘインズ JBL-L101 MGES搭載 シェリーマン JBL-L101 orijinal シェリーマン JBL-L101 MGES搭載 AudioBasic50号付録 アマポーラ JBL-L101 orijinal AudioBasic50号付録 アマポーラ JBL-L101 MGES搭載 Melody Gardot JBL-L101 orijinal Melody Gardot JBL-L101 MGES搭載 ピアノ協奏曲 JBL-L101 orijinal ピアノ協奏曲 JBL-L101 MGES搭載 幻想交響曲 JBL-L101 orijinal 幻想交響曲 JBL-L101 MGES搭載 サイトウ記念 JBL-L101 orijinal サイトウ記念 JBL-L101 MGES搭載 バッハ.シャコンヌ JBL-L101 orijinal バッハ.シャコンヌ JBL-L101 MGES搭載 バッハ無伴奏 JBL-L101 orijinal バッハ無伴奏 JBL-L101 MGES搭載 HOLST JBL-L101 orijinal HOLST JBL-L101 比較試聴後記 .1960~70年頃発表のJBL L101は当時高校生だった私がスピーカーに対しての認識を変えさせられた衝撃的な製品です。 この音と聞いた瞬間からJBLファンになってしまいました。 .その製品に手を加える事の恐れ多い気持ちと、現在の知見と経験を基にどの程度の音質差が生じるのかと言う興味と、 少し複雑な気持ちでこの改造と比較実証試験を行いました。 .オリジナルに手を加えた箇所は画像の背面板のみ、その他は変更せずにMGESハーフ仕様Aのみを搭載しました。 故に完全にオリジナルへの現状復帰が出来る状態でのMGES搭載です。 .比較試聴の結果は皆様に比較音源を聞いていただいて判断していただきたいと思います。 .当事者としては実機での比較、比較音源ファイルを聞く方法としてヘッドフォンにパソコンモニター、メインシステム、 数種のD/Aコンバーターなどで確認を行っています。既に公開のHS-500よりも慎重に比較致しました。 結果はどの手法でも音質向上を確認出来ています。 .比較試聴では当初予想しない結果も出ています。 .ウーファーの振動対策であるから低域の改善が主かとの想像に対して全体としては中域での改善が多い。 .奥の方でこじんまり鳴っていた中域が手前に出て来るのも驚きだが、広がりや奥行き感などの 臨場感が広がるのは驚きでも不思議でもあります。 .低域は反作用運動によって鋭く立ち上がっている筈の音が抑圧されているのが分かります。 .数百Hz帯域での不要振動による付帯音が消えて元々の楽器やその他の音が明確に聞こえ、 各々の音がハッキリ区別して聞き取れます。 .但し、中低域のまとわりついた音はややもすると柔らかい豊かな音とも捉えかねません。 生音を聞いた経験が少ないと案外にこの音も心地良くきこえるのかも知れません。 .明瞭度を向上し、付帯音を無くす、その上で心地良く響く素材を上手に響かせる。 次元の違う心地良さが有るのですが、それにはMGESの効果とエンクロージャーを設計し直すと言う、 面倒が有るのですが、そんな世界が生まれる事を見極めながら活動しています。 |
日立 Lo-D HS-500 に搭載した「MGES」ハーフ仕様A改造機とオリジナルHS-500との比較試聴音源ファイル。 ![]() ![]() ![]() .MGES搭載機(外側)とオリジナルHS-500(内側)が並んだ比較視聴時の様子。 .MGESハーフ仕様A搭載機の二重のサブバッフル部分が特徴です。 .ツイーターを出してウーファーとの位相差を修正していますが、オリジナルのままでも大差有りません。 .改造時の煩雑な取り外しに耐えられないので経年変化で脆くなった背板は交換、木ねじも鬼目ナットに変更しています。 .改造機のネットワークはオリジナルのままを接続しています。 |
試聴の方法 .下記のファイル名をクリックする .次の画面の左中央付近の「ダウンロード」をクリック .次の画面の右側「ファイルを開く」をクリックで音声が出ます。 [MGESハーフ仕様A搭載改造機] [オリジナル HS-500] 弦楽セレナード HS-500 MGES搭載 弦楽セレナード HS-500 オリジナル 幻想交響曲 HS-500 MGES搭載 幻想交響曲 HS-500 オリジナル アマポーラ HS-500 MGES搭載 アマポーラ HS-500 オリジナル Sugar HS-500 MGES搭載 Sugar HS-500 オリジナル Love me like HS-500 MGES搭載 Love me like HS-500 オリジナル ベートーベン皇帝 HSー500MGES搭載.wav ベートーベン皇帝 HSー500オリジナル.wav バッハ無伴奏チェロ HS-500MGES搭載.wav バッハ無伴奏チェロ HS-500オリジナル.wav バッハシャコンヌ HS-500MGES搭載.wav バッハシャコンヌ HS-500オリジナル.wav シェリーマンHS-500MGES搭載.wav シェリーマンHS-500オリジナル.wav 比較試聴後記 .1970年頃発表HS-500搭載のL-200/H-70Hの各ユニットをベストで鳴らすと最新機種にも劣らないのは脅威である。 .接着剤の劣化が原因と思われるエンクロージャー材の風化にも似た経年変化は末期的である。 .現在の考え方ではネットワーク部品の品質は余りにチープである。 .MGES搭載によるクリアーな音質からエンクロージャーによる音質への悪影響が顕著になっている。例:チェロの胴鳴きなど。 .MGES搭載で音質改善されるが全体バランスに影響するのでネットワーク、バスレフ、エンクロージャー等のチューニングが必要になる。 .音質の変化は?個々の楽器の音色を拾えば理解し易い、団子状態の固まった音から解き放たれた鮮度を感じる音と言えましょうか。 .重要なのは音の出口で失う特性は、アンプ、プレーヤー、音源等を如何にグレードアップしても取り返せないと言う事である。 |
スピーカーエンクロージャーの機能を考えます スピーカーエンクロージャーの機能を整理し、音質向上につながる様な具体策を示してみたいと考えます。 1.下記はごく平均的なスピーカーシステムです。正面と背面の画像と外観図を示します。 ここではこの様なスピーカーが潜在的に持ち合わせている問題について考えて見たいと思います。 ![]() ![]() ![]() 2.先ずは「エンクロージャー」とは何?スピーカーボックスとは違うの?言葉の語源とは。 中世からの欧州に於ける耕地の共同利用を廃止し、周囲を生垣、石垣等で囲い込み、 領主や地主が個人的利用を実現した土地利用制度を表すなどの意味を持った言葉が、 エンクローズ=囲われた物と解釈出来ますが、スピーカーにとっての「エンクロージャー」とは、 スピーカーユニット前面と背面から出る音を遮って囲い込む事と理解出来ます。 3.スピーカーエンクロージャーの受け持つ3の機能 3-A:スピーカーユニットの前後に放出される逆位相を持った音波の相互干渉を防ぐ。 ユニットから出る前後逆位相の音波は干渉すると相互に打ち消し合う。 特に低音域は指向性が少なく音の回り込みが強いので顕著に影響が出ます。 これはエンクロージャーによって前面 or 後面のどちらかの音を囲い込む事で防ぐ事が出来ます。 3-B:バスレフ、密閉、ホーン等々の各種スピーカー方式の構造を成す事が出来ます。 囲い込み方式の密閉型やバスレフ型、平面バッフルの平板1枚だけの簡易な方式。 音響変換器の機能を積極的に持たせると各種の方式が生まれます。 フロントホーンやバックロードホーンなどの各ホーン形式など、 また各方式を組み合わせたり発展させた方式も有ります。 この様に多様な方式を表現する必要から「スピーカーボックス」と呼ばれる呼称は 一部の機能しか表現していないので不適当な呼称と考える事ができます。 3-C:音を出す装置とは別に、単純に機械的構造物で有る事から、 スピーカーユニットを支える、又は固定する。ネットワーク回路を内蔵する、 端子を取り付ける、リスナーに好都合な高さを提供するなどと、 エンクロージャーの機能とは無関係に止むを得ずに利用されている部分が多く有ります。 4.エンクロージャーの解析と問題 4-A: スピーカーユニットから出る逆位相の音波干渉 a.スピーカーユニット振動板(中高域ユニットの背面側密閉型は除く)は 前方向に向かって振動した音波を+プラスとすると、背面側(又はエンクロージャー内部) では-マイナスの逆位相の音波が発生します。 b.逆位相の音波が干渉すると互いを打ち消し合う作用を生じます。 4-B:スピーカーユニットの振動について a.電磁誘導回路を構成するボイスコイルは電気信号(音信号)により直線運動します。 その運動をユニット振動板に伝わる事により音波が生じます。 b.この運動はユニット振動板の動作だけに終わりません。 ユニット振動板の移動方向とは逆方向に作用/反作用の運動を生じさせます。 電磁誘導回路を構成する磁気回路のマグネットとそれを支持するフレームに ユニット振動板とは逆方向の運動が生じています。 4-C:エンクロージャーの振動について a.スピーカーユニット振動板が音楽信号に従って前後に運動する作用は、 エンクロージャー内部の空気室の圧力を膨張/収縮させる事になります。 私達はその作用による振動がいわゆるスピーカーを鳴らすと考えていますが、 実際にはもっと複雑な様です。 b.スピーカーユニットがエンクロージャーに固定されている限りは 作用/反作用の運動がエンクロージャーに伝わり振動を生じさせています。 4-D:定在波の発生について a.エンクロージャー内側にはユニットにより音が充満しています。 b.エンクロージャー構造に平行面が有るとその距離に応じた固有周波数の共振が発生します。 その固有周波数と一致する音波が含まれるとエンクロージャーの内部に定在波が生じます。 c.バッフル←→背板/側板←→側板/天板←→底板の各平行面は各々の距離に応じた 各々の固有周波数の共振が発生します。 d.定在波は固有周波数の音が強調されるだけでなく、その周波数の偶数分/奇数分の数次の 周波数に渡り強調されます。 e.以上から平行面を持つエンクロージャー内部の定在波は幅広い帯域に分布する事になります。 d.再生機器は音楽成分に忠実に再生する必要があるので、この定在波は有害となります。 e.定在波を減衰させる目的でエンクロージャー内部に吸音材を充填します。 吸音材は特定周波数に対応する特性を持たないので有害、無害に関わらずスピーカーユニットが 発生する音響エネルギーを熱エネルギーに変換しています。 f.スピーカーユニットが発生する音響エネルギーの約5割(エンクロージャー内部側の音と)を 熱エネルギーとして損出している事は高品位な音楽再生にとって必要悪とは言え 大きなダメージを再生音に与えています。 4-E:回析現象について a.スピーカーユニットから放出される音波は障害物が無ければ全方位に空間を伝わります。 b.鋭角な障害物に音波がぶつかると、障害物が無い空間に広がって行く音波と、 その障害物を基点として新たに音波が空間に広がって行く各々の音波を生じさせます。 c.音波の基点が一つの理想から障害物の数、その種類によって複雑に変形しながら 広がる音波は様々な障害をもたらします。 5.エンクロージャーの問題解決方法 5-A:スピーカーユニットから出る逆位相の音波干渉 a.音波の逆位相干渉は前後の音波のどちらかを密閉構造とすれば良いので 比較的容易に解決できる。 b.逆位相干渉は容易だが、その密閉構造や内容積で再生できる特性は大きく変化するので 十分な検討が必要です。 5-B:スピーカーユニットの振動について a.電気信号を機械信号(音波)変換する事がスピーカーなのでこの機能は充分に発揮させる。 b.ユニットフレーム等に生じる作用/反作用の運動は取り除く(減少させる)か 障害の生じない様な形で隔離(機械的絶縁)を行う。 5-C:エンクロージャーの振動について a.作用/反作用の運動を除いた(減少させた)ユニットを用いる。 振動系質量が生じさせる運動を受け止めて事実上の無振動とさせる事の出来る 充分な質量を駆動系に持たせる。 b.作用/反作用の運動を持つユニットをエンクロージャーから 隔離(機械的絶縁)を行って取り付ける。 c.作用/反作用の運動を持つユニットをエンクロージャーに固定せずに自立させる。 これを物理的アース(メカニカルアース)と呼ぶ。 d.一般的な手法である厚板バッフルの採用や強固な構造に加えて充分な補強を行う。 e.不要振動減少目的では内部損出の大きな材料を採用する(硬く重くて高密度な材料)。 f.振動の積極利用では基本構造の強度を確保した上で振動させる部位を意識した構造とする。 5-D:定在波減衰対策について a.安易なのが音響エネルギーを熱エネルギーに変換して損出させる吸音材の充填である b.損出するのは特定帯域の音声信号では無く、エンクロージャー内に充満する全帯域の音声信号である。 c.平行面を持つエンクロージャーのスピーカーのエネルギーは吸音材によって無駄に損出している。 d.エンクロージャー構造に平行面の無いラウンド構造(曲面)を採用すると定在波の発生を零、 又は大きく減少させる事が出来るので吸音材の悪影響が減らせる。 5-E:回析現象の対策について a.ユニットから放射される音波の通り道に障害物を設けない。 b.ユニット取付フランジ部の厚さを落とし込むなどしてバッフル面を平坦にする。 c.再生時にはサランネット等を取り外す。 d.エンクロージャーの角を可能な限り丸くする。 e.球体が理想だが現実的には角や平面の連続よりラウンド構造(曲面)が自然な 音波拡散に有利に働きます。内部ラウンドは定在波対策、外部ラウンドは 回析効果減衰の為に有利に働く高機能な構造です。 |