EXACT社 16cmフルレンジ 5150UK フロントホーン(上部)

調所電器社 38cm励磁型ウーファー LF-38 ウーファー(下部)



 概 要


 始まりは当ホームページのメニューにあります”フロントホーン+バックロードホーンシステム用エンクロージャー”
 略してFH+BHについての問い合わせからでした。
 良質の16cm口径フルレンジをどの様にして最高の音質で聞けるかの検討に入りました。
 下記の様なスケッチを元にお客様も設計に加わってかつて無かった程の文字通りの試行錯誤が始まりました。
 打ち合わせ記録を見ると数十ページに及ぶ図面や設計書と打ち合わせ記録が残っており、
 全てを今では思い出せない程の量になっていました。
 
 フロントホーン+バスレフ型の構造は複雑で机上計算やシュミレーションでは完全予測できない、
 ユニットのT/Sパラメーターが公開されていない、材料は違っても大まかな音質を確認できる
 等々で大がかりですが試作機を製作、検証してから本製作に入る事としました。

 完成した作品は16cmフルレンジによるフロントホーンで150Hz迄再生。
 更にバスレフ方式を兼用して45Hz迄フラットに再生しますので、このフロントホーン単体でオーディオ帯域を全カバーします。
 150Hz迄ホーンロードのかかった中低域に負けない様に最低域は38cm励磁型ユニット搭載の大型エンクロージャーにて
 約20Hz迄再生します。 駆動はマルチウエイ方式(マルチアンプ方式)でカットオフは150Hzです。
 聞き慣れない励磁型(フィールド型)とはユニットの駆動回路に永久磁石を用いずに電磁石を用います。
 その為の専用電源が必要となります。
 微弱信号に鋭く吹き上がりよく反応して大パワーにもタフと言うマニアックなハンドメイドユニットです。
 EXACT 5150UKも負けないくらいマニアックなユニットで知る人ぞ知るです。
 人間国宝が手透きした和紙の振動板など虜になる程の素晴らしいフルレンジユニットです。

 フロントホーンの最低域までの再現能力とLF-38の高域の伸びでシステム構築には無制限と言って良い程の
 自由度が有ると考えます。
 いずれにせよホーンロードのかかった中低域カットオフ150Hzの音を聞く事は通常不可能に近いでしょう。
 試作機や完成作品の音出し中に幸運にも来客された方達は”こんな音の世界が有るのか!”と
 感嘆の声を漏らされていました。
 高品質な再生音は演奏会場の空間を再現しますが、このシステムで通常のリスニングポイントで聞くと
 ステージ上に居る様な錯覚をお覚えてしまいますので、少し離れて聞く必要が有ります。
 聞こえて当たり前なのですが殆ど実現しないオーケストラの各パートの楽器が明瞭に聞き分けられます。



 仕 様

 
 
フロントロードホーンシステム
 1.ユニット:EXACT社 16cm フルレンジユニット 5150UK
 2.エンクロージャー方式:フロントロードホーン形 カットオフ周波数150Hz
              バスレフ(fob)45Hz 両サイドスリット型ダクト
              試聴チューニングにより補強(音質調整用)と吸音処理実施済み
 3.周波数特性:45Hz〜16KHz(実測値)
 4.エンクロージャー材質:フィンランドバーチ合板 24mm厚
              フロントホーン音道部 18mm厚積層合板
 5.仕上げ:フロントホーン音道部(ハードメープル付き板張り)
       その他はクリアーウレタン吹き付け塗装(艶仕上げ)
 6.寸法:W1050/H550/D500mm

 バスレフ型システム
 1.ユニット:調所電器社 LIST−LF38 励磁型 38cmウーファー
 2.エンクロージャー方式:バスレフ型(ダクト開口部ラウンド処理+サブバッフル交換式)
              付属サブバッフルにより密閉型に対応可能
              試聴チューニングにより補強(音質調整用)と吸音処理実施済み

 3.周波数特性:20Hz〜4KHz(実測値)
 4.入 力:500W(最大)
 5.音圧レベル:100dB/W/m
 6.インピーダンス:8Ω
 7.寸法:W1050/H550/D500mm
 8.エンクロージャー材質:フィンランドバーチ合板 バッフル板48mm厚 その他24mm厚
 9.仕上げ:クリアーウレタン吹き付け塗装(艶仕上げ)
 6.寸法:W1050/H550/D500mm


 システム駆動方式
 本システムの駆動方式にはマルチウエイ方式(マルチアンプ方式)を予定しています。
 中心となるチャンネルデバイダーには最新テクノロジー満載のDEQXを使います。
 プリアンプ/デジタルチャンネルデバイダー/室内音響特性補正デジタルプロセッサ等々が内蔵。
 パワーアンプには真空管式を採用。
 
 設置の様子
 セッティングが終了した時点で掲載させていただく予定です。


           

           

                      仕様決定までの試行錯誤した経緯の一部の図面です。




5150RM/UK フロントホーン+バスレフ 試作機の様子



5150RM/UK フロントホーン+バスレフ 試作機の様子

ユニット背面(フロントホーンの裏側)の内容積を利用してバスレフ構造とします。

  
5150RM/UK フロントホーン+バスレフ 試作機の様子



5150RM/UK フロントホーン+バスレフ 試作機の様子

バスレフスリットのfobチューニングと周波数特性測定の様子。


5150RM/UK フロントホーン+バスレフ 試作機の様子

試聴している様子。


5150RM/UK フロントホーン+バスレフ 試作機の測定データー
約600Hzから高域はユニットの直接特性で、低域はホーンとバスレフの特性です。
高域側のグラフの山谷は試聴室の特性に影響されています。
低域側の音圧が平均7.5dB上昇しているのはホーン効果の影響で能率が上がっています。
バックロード専用ユニットはこの上昇を考慮して中高域が上昇した特性になっています。
約170Hz迄がフロントホーンの最低域で、それ以下がバスレフの特性です。
試聴機ではバスレフスリットの調整可能巾を確保したので若干ホーン開口部面積が少なく、
実機では広げるので約150Hzを再現できると予想する。



LF−38サブウーファー 本製作の様子

ホーンもウーファーもエンクロージャーの接合部にはビスケット加工した上に更に木ねじで固定します。
重量と大きさから輸送移動時のアクシデントや経年変化対策です。


5150RM/UK フロントホーン+バスレフ本製作の様子

フロントホーン+バスレフエンクロージャーの本体構造完了後にホーンを取り付けます。


5150RM/UK フロントホーン+バスレフ本製作の様子

画像からビスケット加工の様子が分かります。
ブナを固めた栓が接着剤の水分を吸って膨張して接着力を増す優れ物です。
ビスケットには世界標準が有り、一番大きいタイプを使っています。


5150RM/UK フロントホーン 本製作の様子

試作機の問題点を各箇所で改善しています。
外観からは想像できなくなりますが内部は設計時より複雑な構造となる。
補強を十分確保しながら内部音道の抜け穴も確保しています。
抜け穴は全て丸面取りを行い不要回析現象を避けています。



5150RM/UK フロントホーン 本製作の様子

上記の裏側の様子。
左側の穴の2個空いた2枚の板は中仕切り(バッフル板)と
試作機で確認した背板の不要共振対策です。
ユニットの背面からのバスレフダクト迄の音道を確保する為に4個の穴が空いています。


5150RM/UK フロントホーン 本製作の様子

完成すると内部の音道構造を見る事は出来ません。


完成して試聴している状態です。

スタンドの代わりに大型キャスター付き台を使用。
大きさも重量も弩級です。


フロントホーンの周波数特性
測定環境により山谷があるが試聴機とほぼ同じで設計仕様を満足


サブウーファーの周波数特性
最低域迄充分に延びている事が解ります。
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測定している様子
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外観のアップ