HPD385A(改)製作工程



山桜無垢材の材料
天板/台座/装飾/などに使用します



左写真の板から木取り(大まかなサイズで切り出す)した状態です



バーチ合板の元サイズ(1800×1200mm)
この板を約2.5枚使用します




左写真の板から木取り(大まかなサイズで切り出す)した状態です
補強などの小部品は写っていません


バッフル板にユニット開口部穴の加工をします
ユニットを外側から取り付ける方式は開口部が隠れて
見えないので通常はこのままので完成となります



この作品はユニットを内側から取り付ける方式ですので 開口部断面が見えてしまいます。
綺麗に正確に仕上げる為に専用の治具を製作します
大きな穴ですので市販の穴あけ専用刃物や治具は対応出来ません




専用治具をバッフル穴位置に合わせて仮止めします


ジグソーであけたラフな開口部断面を専用治具の丸穴カーブに沿わせて
ルーターでなぞって綺麗に仕上げます


ウッドウイル工房専用自作横切りマルノコ盤です
600×900mmの直線切断と600×600mmの傾斜切断が出来ます


縦切り専用の木工機の代表的な丸ノコ盤です


傾斜切断専用丸ノコ盤全容
今回の作品サイズでは上記丸ノコ盤がサイズオーバーで
傾斜切断が出来ませんので専用に製作しました



留め切り(45度)切断を正確に大きなサイズで行うのは
大変難易度が高いのです(使用時は刃口板を装着します)



正確な加工の為に190mmサイズ日立造作マルノコと
留め切り専用の厚く刃数の多い専用チップソー使用
定盤は反り、歪みが生じない様に補強を充分に取っています




楽々とバッフルを定盤に載せる事が出来ますので
容易に正確な加工が出来ます



仮組状態での正面
(広角レンズの影響で遠近感が強調されています)
組立後につき板を張ります




仮組状態での斜め正面


仮組状態での斜め後
取り外し式裏板の受け桟が見えます



仮組状態で裏板を取付けた様子
この裏板用角穴も治具を製作して正確に穴あけ加工をします。



通常は接合部の接着にはビスケット加工を行いますが大きなサイズの
この作品では雇いざね加工という接合する面全ての互いに溝を切り
密着する材を埋め込んで組立接着して強度と組立精度を高くします



内側コーナーは本体と同材で補強(構造用の補強)します


取り外し式の裏板を受ける桟を内側から見ます
組立時には取り外しボルト用ナットを埋め込みます



本体接着組立後の様子です。
組立後にバッフル面両サイドを45度にカットしています


バッフル面両サイドの飾りを仮付けした状態です。
構造の要として音響的にも装飾的にも優れた無垢材を使います


サイドの飾りを仮付けした斜め前から見た状態です



内部補強の様子



アメリカンチェリーつき板を張りました。


アメリカンチェリーつき板を張りました。


背面です、取り外し式背面ふたにも同様の仕上げ行います。


後斜め


バッフル両サイドの山桜無垢材飾りを取り付けました
構造的にも加工的にも最も困難な箇所ですが、
音響的には山桜の響きを 生かせる重要なポイントになります




斜め前


台座(本体ベース)に仮で載せてみました。












台座の高さ分は空洞となりますが強度がありますので不要共振の心配はいりません。
正面両サイドは本体両サイドと合わせて両角を45度にカットしています。この後に飾りの面取りが加わります。

このままで付属の台を中に入れて設置位置を高くして使っても良いでしょう。


重たい本体を支える台座ですので下記の様に充分な強度を確保しています。
本体を滑らせて移動しても耐えられる様な強度を想定しています。



接合強度を高める為の工法”雇い核”を採用しています。


後側は平留め接ぎに釘を打っています。釘頭を隠す為の穴埋めを施しています。


四隅の内側には補強の為に隅木を添えてあります。
通常の家具はこの補強処置だけで済ませています。



支輪(天板)と台座を仮止めした様子です、外観イメージが掴めて来ました。
バッフル面には更に腰板が中央から下部に取り付けられます。
支輪はこれから四辺の面取りを行います
この辺の工程は家具製作と同じ様です







家具では支輪をフラッシュと呼ばれる中空構造とします。
しかしスピーカーエンクロージャーでは不要共振を誘発しますので
本体と同じ材料を使い、天板を二重の厚さとします。
これはユニットに近い構造体の補強も兼ねます。

支輪中央部分の部材がバーチ合板つき板仕上げで周囲の四辺が
山桜無垢材による装飾となります。
全体イメージを重くしない為に支輪を薄くしましたが
支輪付近の表情を引き締める効果を狙い支輪下に
細い部材を回し込み(埋込)ました。


支輪と正面下部の腰板を面取り加工して仮付けしています。
近接撮影の影響か画像全体に歪みが生じています。
NI○○N社の高級機?なのですが撮影技術の問題かも??。


ルーターの切削加工の後が焼き付いて黒く見えていますが、
この後のサンディングで面取り加工面全体を綺麗に仕上げます。



同じく斜め正面上からの様子


支輪と腰板をサンディングした後に本体に取付けました。
サランネットを除いて本体組立完成です。
サンディングしましたので全体が薄白く見えています。



ユニット丸穴が無ければ家具のキャビネットの様です。
バーチ合板のバッフル+山桜無垢材の腰板で響きが豊かになります。






シンプルさを残す為に敢えて側面の腰板は加えませんでした。


取り外し式裏蓋を取り付けた状態です。








腰板のアップです。
腰板は無垢材の板目材ですので巾方向に収縮します。
本体には接着せずに水平方向の収縮を吸収できる構造となっています。



支輪(天板)部のアップです。全体の印象を決定づけています。





支輪上面のアップです。





サランネット表面です。
ネットを張る内枠と装飾用外枠の二重構造です。



サランネット裏側



手前の内枠の上に奥の外枠が被さります。


サランネットを装着して組立完了です。
サランネットは良く透けるレトロ調の生地を輸入して使用しています。
強度もあり音質的な損出も少ないです。



同様に組立完了の斜め前からの様子


専用の脚(スタンド)です。
本体と同じくバーチ合板6枚重ねで製作します。
台座に敷いたり台座内側に入れて使います。


正確に重ね合わせる為に位置合わせ用の穴をあけます。


木製ピンを6枚に通して位置合わせを行います。


接着/組立の様子です。


組立が完了した8個の脚


本体と同じアメリカンチェリーつき板張り仕上げです。


脚1個のアップです。横置きと縦置きで使用できます。
バーチ合板のブロックで製作した豪華贅沢な脚です。
音質的にも最高の物となるでしょう。




塗装工程に入りました。

この作品の塗装は染料による着色2液性ウレタン吹き付塗装です。
下地処理(平面出し/段差修正/サンディング)を終えてから
目止めと塗料染み込み押さえを兼ねた下塗りを終えたところです。


左記状態から乾燥後に拭き取り、再度着色剤を含んだ同種の下塗りを行い
再び乾燥後に拭き取った状態です。
上記の組立完了後と比べて見て下さい。
木目が浮き出て本来の樹種の表情が出てきました。



次ぎの塗装工程として中塗り(サンジング)を行った直後の様子です。
着色後の様子より表面に透明感と艶が出ています。




バッフル面下部の鏡板とブロック状の脚(スタンド)も同工程で行います。



サランネット外枠です。


取り外し式裏板です。






左と上の画像について

中塗り(サンジング)乾燥後に表面を平滑にする事と次ぎ工程の塗料の吸着性を
良くする為にサンディング(紙ヤスリで表面をなぞる)を行った様子。
中塗り/サンディング工程は通常3回繰り返します。
右側の脚などは表裏有りませんので上面と底面を乾燥後に入れ替えて
塗装しますので工程と工期は2倍必要となります。
中塗り終了後に仕上げ塗りとして半艶有りのクリアー塗装を行い、
数日間乾燥させて塗装終了となります。



塗装も終わってユニットとサランネットを取り付けた所です。
後は音出しとチューニングです。









セッティングを終えて音を出す直前の様子です。中央部前の箱が専用ネットワークボックスです。
隣のROUND160Bやその他のシステムが小さく見えますね。