8cmフルレンジユニット用タンデム駆動方式
小型スピーカーシステム(通称 8cmタンデム)
完成品 / キット

特徴
8cmフルレンジユニットの最大の特徴はその小口径振動板から生まれる定位の良い素直で
ピュアな中高音でしょう
。しかしながらそのままでは低域再生能力とスケール感に劣ります
から
聞き手にはストイックな聴き方を強要してしまいます。当工房や他の試みでも不足分を
補う手法として大型のシステムがあります。しかしそれらは本来の小口径の良さを失ってし
まいがちです。本機は直接放射する音源を1個とし、バスレフポートがユニットから離れ過
ぎない事、エンクロージャー不要振動を避けるなどして音像の輪郭や定位を崩さない様に
小型システムとしました。低域とスケール感のアップはタンデム駆動方式(語源の様な
縦一列では無く上下方向の変形ですが)を採用する事で解消しています。無制限にスケール
感をアップさせるのでは無くあくまで8cmフルレンジユニットの良さを生かした作品に
仕上げています。使用ユニットは当工房が既に発表していますマルチチャンネル用
トールボーイシステムに採用している物です。試聴室での感想では本格的に使える音質と
高い評価をいただいています。
一般的な家庭でのピュアオーデイオのメインシステムや
ホームシアター用として、書斎やパソコン用などの使い方も贅沢な使い方でしょう。
タンデム駆動方式の説明
タンデム型駆動方式又はダブル駆動方式と呼ばれますが外側ユニットの働きを助ける内部
ユニットを用意し低音の再生周波数帯域を拡大させるものです。外側ユニット背面に加わる
空気の圧力を排除する様に内部ユニットが働きます。これにより背気圧が無くなった外側
ユニットは理想的な動作をする事が出来るという基本的な考え方です。低域再生能力の向上
とデーターでは現れない重心の低い腰のある音質でブラインドテストでは8cmユニットの
音と指摘するのは困難と考えます。ユニットの選択、空気室内容積、その比率など複雑に
絡んだ方式で試作に難航しましたが最終的にシンプル?にまとめる事ができました。
構造的に数種の利用方法が出来ます
タンデム方式は組立後にエンクロージャー内部にユニットを装着する構造から副次的に
次のメリットが生じます。この意味で実験用にキットを用意しましたがあくまで目的は
純粋に小口径で最良の音楽を聴く事を目指しています。
1.内部ユニット未装着でフルレンジ1個のバスレフ型として動作します。
  8cmフルレンジの一番シンプルな音質となります。
  バスレフダクトを塞げば密閉型としても使用できます。
  添付の専用バスレフダクトと交換して使います。
2.タンデム駆動方式でバスレフダクトを塞げば密閉型タンデム駆動方式として
  動作します。これはタンデム型の基本形ですが本機はバスレフ型として更に低域
  再生能力向上を目指させています。
3.内部ユニットを装着して未接続としますとパッシブラジエーター型
  (ドロ−ンコーン型)として動作します。
4.内部ユニット専用端子を設け単独接続する事でMFB方式
  (モーショナルフィードバック)として動作します。
  かなり専門的ですが手軽に実験するには良い教材となります。
5.各方式の音質変化は下記の再生周波数特性を参考にして下さい。
レゾナンスシリンダー
このオプションの採用で躍動感の有る表情豊かな音質が得られます。
優秀な音響用合板や無垢材を用いラウンド構造高性能エンクロージャーを日常的に制作
している経験から言えます事は、
MDF材を使用した平行四辺形の不要振動を押さえ込んだ
エンクロージャーは響きの少ない平坦な音質となりがちです
(実は良く出来た市販品がそうなのです)。本機もそういった音質の傾向となり不満を
覚えます。改善策として本機には当工房初の試みとして最高級の無垢材ラウンド形状
エンクロージャーの音質に近づける為に下記写真の様な樺の無垢板製の円筒
(レゾナンスシリンダー)を4個内蔵させる事にしました。エンクロージャー内部を
疑似円形としまして定在波を減少させ吸音材使用量を約1/4に減らし音の躍動感と
スピード感を増し、樺材の共振振動による倍音成分の鳴きを音質に付加する味付けを
行います。樺材は楽器やエンクロージャー材として優れ当工房のPL−ROUND
シリーズの積層合板の材料としても採用しています。最近では某V社が開発した
木製振動板スピーカーの原材料としても有名になりました。
仕様
1.ユニット: TangBand社 8cm口径(妨磁型)ポリプロピレンコーンフルレンジユニット
        
W3−582SB 1台に2個搭載
  
注).同社の8cm防磁型フェイズプラグ付ペーパーコーンフルレンジユニット
      W3−593SD等も使用可能で仕様と価格は同じです。
      他のユニットも可能ですのでお問い合わせください。

    .同社の8cm防磁型チタンコーンフルレンジユニット
      W3−1231SHも仕様変更にて使用可能です。
      価格は下記()内です。寸法等違いますのでお問い合わせ下さい。
        

2.周波数特性:下記グラフ参照
3.入 力:30W(連続)タンデム駆動時
      15W(連続)ユニット一個使用時
4.インピーダンス:4Ω タンデム駆動時
          8Ω ユニット一個使用時
5.寸 法:W120/H250/D250mm
6.端 子:バナナ対応丸形埋め込み型
7.エンクロージャー:MDF材15mm厚 タンデム駆動型+他
8.仕上げ:.天然木つき板によるウレタン吹き付け塗装
      .MDF材塗りつぶしによるエナメルウレタン吹き付け塗装
      .塗装色指定可能
      .つき板種類 アメリカンチェリー/オーク/ウオールナット
             他は要問合せ
9.完成品価格:価格は全てペア分です(内はW3-1231SH用です)
        天然木つき板塗装仕上げ
         .タンデム駆動方式:140,000円(140,000円)



フォステクス社FE87E用”通称Boxy-cute ”はこちらを参照下さい。
8cmタンデムR&Bの詳細はこちらを参照下さい。
バスレフ型タンデム駆動方式の周波数特性
100Hz:-1dB/80Hz:-4dB/60Hz:-8dB/50Hz:-18dB


密閉型タンデム駆動方式の周波数特性
100Hz:-4dB/80Hz:-8dB/60Hz:-12dB/50Hz:-18dB


フルレンジ1発バスレフ型方式の周波数特性
1
00Hz:-4dB/80Hz:-7dB/60Hz:-14dB/50Hz:-25dB




完成品の説明


完成品正面
ハードメープルつき板
クリアー色ウレタン塗装仕上

可能な限り小型に設計しました



前後バッフル面両サイドは
ラウンド(R)加工処理。
ユニットは落とし込み加工です。



バナナ対応の丸形埋め込み型
端子を装備



定位とバッフル効果対策の為に
限界まで巾を狭めています。



天板は化粧木ねじにて
取り外し構造です。




上部から覗くと内部ユニットと
レゾナンスシリンダーが見えます。
(オプション搭載品のみ)



バスレフダクト取付部の様子
ダクト断面を隠す事と取付強度を向上させます




1台分のレゾナンスシリンダーです。
割れないように 特殊加工を行ってから円筒状に加工します。



レゾナンスシリンダーを装着した様子。
吸音材は少量を背面側に充填します。
上下に分かれた空気室の内容積比が
重要な意味を持っています。