エンクロージャーの定在波解析

日立 Lo-D HS-500 の例


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下記の各画像 上部波形:スピーカー軸上の測定波形 / 下部波形:エンクロージャー内部の測定波形

 HS-500のオリジナル状態のエンクロージャー定在波解析
  
 周波数:204Hz時の定在波分布                        周波数:233Hz時の定在波分布

  
 周波数:432Hz時の定在波分布                        周波数:877Hz時の定在波分布

  
 周波数:2167Hz時の定在波分布                        周波数:3438Hz時の定在波分布


 HS-500 吸音材無しの状態
  
 周波数:297Hz時の定在波分布                       周波数:624Hz時の定在波分布

  
 周波数:909Hz時の定在波分布                       周波数:1076Hz時の定在波分布

  
 周波数:2248Hz時の定在波分布                       周波数:2952Hz時の定在波分布

  
 周波数:4099Hz時の定在波分布                     周波数:7032Hz時の定在波分布

  エンクロージャーの定在波についての解釈

 1.例として周波数:204Hz時の定在波分布の波形を解釈してみます。
   a.オシレター信号によりスピーカーに204Hzの正弦波信号を入力して再生します。
   b.エンクロージャー内部とスピーカー正面軸上の信号波形に204Hzの正弦波信号が表示されています。
   c.エンクロージャー内部には約3倍の周波数の600Hzの信号が大きく表示されています。
   d.同じ様に1200Hz/1600Hzの様に次々とピークを持つ信号が表示されています。
     これらのピークを持つ信号が定在波と呼ばれる物です。
   e.基本波と呼ばれる204Hzに対して整数倍/奇数倍と呼ばれる波形のピークも数多く観測されています。
   f.エンクロージャーの巾/高/奥行と言う寸法から理論上発生する波形のピークも観測されています。
   g.定在波はエンクロージャー内部で発生するので各画像の下部波形を見て容易に理解出来る。
   h.各画像の上部波形はスピーカー正面軸上の信号であるが、エンクロージャー内部の定在波が外部に漏れ出ているのが確認出来る。
   i.周波数432/2167/3438Hzなどは内部よりもスピーカー軸上の方が干渉の影響で定在波が強く出ている部位も確認出来る。
 2.吸音材無しの各波形では定在波がより強く、広い帯域に出ている事がハッキリと確認出来る
 3.オリジナル状態では吸音材が定在波吸収に役立っている事を確認出来る。
 4.この事はスピーカーユニットの背面側から出る音(エンクロージャー内部の音)の機械エネルギーが熱エネルギーに
   変換され、貴重な音響エネルギーが浪費されていると考えられる。

 5.この事は平行面を持つエンクロージャーの宿命的な特徴でも有る。
 6.HS-500はWHDの各寸法比に考慮すれば定在波を少なく出来たと考えられる