松下製のスピーカーユニットを使用したスピーカーシステム
EAS20PL60+EAS5HH17G 2Wayバスレフ型




 解説
 オーディオ全盛期の恵まれた環境を青年時代に過ごされた多くの方達が今、団塊の世代として第二の人生を見つめ直す時に、
 若く多感な時代に接した良質な音楽との触れ合いを再度求められるのは極自然な事と考えます。
 しかし、当時は若さ故に経済的な余裕など無く、自己を振り返る事もなく仕事に没頭し、家族も得て働きずめで
 現在に至って来たと想像いたします。当時体験した音楽や機材は大変良質であり、時代と共に変質(進化)して来た
 最新機種による音楽再生は必ずしも彼らを満足させる物では無いのです。
 当時苦労して手に入れた機材(ここではスピーカーユニット)を大事に所持し続けたのは
 ”いつかはこいつらを(言葉が悪い)最良の状態で鳴らす”との思いがあったろうと容易に想像できます。
 ウッドウイルが個人工房として開業、活動を始めた大きな理由の一つに彼らのお手伝いをしたいとの願いがあります。
 活動を初めてみると実際に彼らからの仕事が半数を占める事で目的は間違いでは無かったと確信しています。
 音楽愛好家、オーディオマニアとして一時代を体験して、こだわりは捨てられないが機材を入れ替えとっかえて
 部屋を機材だらけにするのはもう止めた、リビングに設置した機材は家族に受け入れられる様に美しく良質で
 友人を招いて音楽(映像も)談義に花を咲かせる楽しみも出来るだろう。
 ウッドウイルではこれらの方達を”
枯れたマニア”と呼ばさせていただいています。
 一度お問い合わせ下さい。

 今回のこの作品依頼のご相談があった時には言葉少なですが上記の思いが直ぐに伝わって来ますので
 当工房として何を行うべきかは明らかでした。
 当時のスピーカーの音質はブッシェルフと呼ばれる小型スピーカーが世に出て来た初めの頃ですので
 大型密閉や後面解放型などのおおらかで伸びやかな音質が主流を占めていました。
 本スピーカーを試聴しますと明らかにこの音の系譜が見受けられます。
 明るく前に出てくる音は現代のユニットにも有りますが音が薄っぺらであったり、
 刺激的な音になったりする事が多いのですが20PL60にこれが無いのには驚き、流石と感心いたしました。
 高校生の頃に刺激的で押さえ込むのに苦労した5HH17Gがこんなにもニュートラルに鳴るのも拍子抜け...
 これは他の新機材が頑張ってくれているのでしょう。
 ユニットの特徴を活かすべくクロスオーバー周波数/バスレフポートのチューニング/音質調整用の
 エンクロージャー補強や吸音材の種類と量などのチューニングを全てオーナー様に一任されて行いました。
 全ての音楽ジャンルにベストとは言いませんがピアノやボーカル、軽快なポップスなどを聞くには
 是非持ち続けたい1台であると言えます。


 仕様
 1.ユニット    : 松下製 EAS20PL60 20cm ウーファー
             松下製 EAS5HH17G ホーンツイーター

 2.寸  法    : W280/H550/D350mm スタンド別
 3.エンクロージャー: MDF18mm厚 内容積40L バスレフ型
             バスレフポートfob=40Hz
 4.ネットワーク  : クロスオーバー周波数 3KHz(-6dB/oct)−12dB
             ツイーター側には固定型+可変アッテネーター挿入
 4.仕 上 げ   : 天然木チーク板目つき板張り ウレタン着色塗装

         

完成品の説明


正面の様子
20PL60の振動板にある分割振動抑制の突起が特徴的です。
バスレフダクトは左右対称です。
各ユニットとアッテネーターは表面の突起を無くす為に
複雑な落としこみ加工を行っています。



後斜め正面の様子
保存状態が良いので画像からは新品の様に見えます。
サランネット取り付けと埃防止の為に
バッフル面は落とし込み加工を行っています。



斜め側面の様子
落ち着いたチーク天然木付き板仕上げです。
当工房では贅沢ではありますが上質なつき板の更に木目の
美しい部分のみ使用していますので
ご覧の様な美しい仕上がりになります。



裏側の様子
当工房作品は全面同じ仕上げを行っていますので
裏側も綺麗に仕上がっています。



斜め裏側の様子
ネジによる裏板取り外し方式。
密閉度を高める為にきつく差し込まれていますので
角形端子を外した穴を引かないと外せません。



サランネット装着の様子
収縮性のある生地を使用しています。
サランネット全体が落とし込まれています。