JBL 130A+175DLH用エンクロージャー


 
説明不要の名声を誇るJBLを代表するユニット用に製作しましたエンクロージャーです。

  
注文主様はジャズバーのオーナーであり、自らピアノ演奏するジャズプレーヤーでもあります。
  週末のライブ演奏以外の平日はアナログ名盤による60年代前後の曲が店内を満たしています。
そのシステムを入れ替える為に導入したスピーカーです。
オーディオ的な拘りに囚われずにひたすら音楽性を重視するその姿勢に答える様に努めました。
  最終的な立ち会いチューニングを行いまして納得していただけるような作品となりました。

 
仕様

  1.低音用ユニット:JBL 130A 38cm
  2.高音用ユニット:JBL 175DLH コンプレッションホーンドライバー
  3.ネットワーク :試聴用に特製品使用  クロスオーバー周波数1.2kHz(12dB/oct)-6dBクロス
  4.寸  法   :W600/H880/D500mm
  5.重  量   :約60Kg
  5.材  質   :MDF バッフル板30mm  その他24mm
  6.エンクロージャー構造:バスレフ型 fob:40Hz  再生周波数特性(実測値で40Hz/-3dB)
  7.そ の 他  : 175DLH取付用補強板(バッフル厚54mm)
             130A開口部R処理にて板厚による干渉を削減
             裏板取り外し式
  8.チューニング : 設計値によるfobと実測値を比較後調整
             補強材(構造用では無く音質調整用)を試聴により取付
             吸音材の材質/量/充填場所について試聴により取付
  9.仕 上 げ  : 未塗装仕様 塗装の為の下地調整のみを行う
             (塗装はオーナー様が行いました、オレンジの斬新なカラーが見せにピッタリです)


         


注文主様のお店に設置した様子です。私も早く出かけて行き一杯やりながら
ジャズ三昧したいものです。それにしてもオレンジのバッフル色はいいですね。

その後、家族総動員行って来ました。マスターのピアノ演奏もありご機嫌な夜となりました。




本機は重すぎて2Fにあるウッドウイルの試聴室へは持ち込み不可の為に自宅1Fリビングルームで試聴とチューニングを行いました。
リビングは約20畳で天井高2.8m/床暖用にフローリング下は30cm厚のコンクリート敷きですので実は2F試聴室よりも条件は良いのです。
注文主様の機材と音楽ソースを持ち込んでの立ち会いチューニングです。
写真は補強用部材による音の変化を試聴確認している様子です。


下記写真の拡大画像はこちらから


モノリス−1の試作用バッフル板を改造してユニットとネットワークを取付ました。
製作開始までの期間は試聴しながら楽しませていただきました。
そのおかげでユニットオーバーホール時の不具合を事前に見つける事ができました。
平面バッフルで聞くJBLサウンドは虜になる様な魅力があります。


14AWG空芯OFC線コイル、ポリプロピレンフィルムコンデンサ、
アッテネーターのクリチカルさを防ぐ分圧回路搭載などの
オリジナルネットワーク回路は試行錯誤しながらの長時間試聴の後に
仕様が決定いたしました。



当初お客様が組立を行う予定でしたが大変だと説得し当工房で行いました。
ご覧の様にサイズ的にアマチュアが組み立てる限度を越えています。
道具も場所もノウハウも必要です、そしてとにかく大きくて重いのです。



裏板取り外しの為の取付桟を接着している様子。
懐の深いクランプを多数用意しなければ組み立てられません。



裏板を外した状態での斜め正面の様子です。
175DLHは外側から、130Aは内側から取り付けます。
将来サランネットを取り付ける為にバッフルを落とし込んでいます。



175DLHの取付穴周りは板厚が54mmです。
重くて重心が後方にあるユニットに合わせて特別に補強しました。
130A開口部は専用治具を準備してルーターで開口部を
正確綺麗に加工し、切断面角は丸く面取りしています。


補強材と吸音材によりチューニングを終えた様子。
各部材や吸音材の位置、大きさ、量などで音質が大きく変化しますので
注文主様の希望する音質を確認しながらのチューニング作業となります。


各補強部材は正確に内側寸法と同じに作ります。
接着しなくとも補強剤は内側に挟まり固定されます。
その為にベストなチューニングポイントをずらしながら探す事が出来ます。


裏板が付いた状態の様子です。
バスレフダクトはツバ付きタイプです。


作業台をはみ出す程の大きさです。