ホーム
瀬戸漆喰 仕事 ワークショップ
ストローベイルハウス ロケットストーブメキシコ回想録
ノートブックプロフィール ブログ

strawbale house

ストローベイルハウス

ストローベイルハウス
ストローベイルハウス(以下SBH)とは、ストローベイルと呼ばれる藁のブロックで出来た家のことです。地球温暖化など環境問題が深刻化する中、世界中で多くの人達が注目するようになって来ました。

SBHは単に環境に優しいだけでなく、永続可能という意味で、サスティナブルな建築といわれています。SBHの壁の厚さは50センチにもなり、防音断熱性に優れています。そのため夏の冷房や冬の暖房にかかるエネルギーが節約できます。
また材料となる藁は、毎年世界中で生産される食料の副産物として大量に発生します。

藁は建築素材としても大変優れています。防音・断熱・調湿など、新建材と比べても決して遜色ないとても優れた性能を持っています。そして家の寿命が尽きた時は、環境に負担をかけることなく土に返るのです。まさに、サスティナブルな建築と言われる所以です。

しかし現在では、そうした藁のほとんどが燃やされたり捨てられているのが現状です。
日本でも以前は藁を使う文化がありました。しかしその藁の文化は、今では忘れられようとしています。 私たち日本人が、もう一度藁の持つ力に目覚めて、自然で環境にも優しい生活を取り戻すきっかけに、この藁の家ストローベイルハウスがなれば良いと思っています。


「ストローベイルハウス」と「土壁の家」

 
ストローベイルハウス

ストローベイルハウスの歴史(成り立ち)

ストローベイルハウスは、1850年頃アメリカで誕生しました。当初は非常にローカルなものであったため、何年もの間、その存在は一般には知られていませんでした。それが1990年代、人々の環境への意識の高まりとともに注目されるようになり、現在ではアメリカだけでなく、広く世界中で作られるようになって来ました。日本でも、雑誌やマスコミで紹介されたので、知っている方もいるでしょう。

ストローベイルハウスとは(建て方、作り方)

ビル・スティーン

ストローベイルハウスは、ストローベイルと呼ばれる藁のブロックを壁に積んで、その表面にモルタルや土を塗って仕上げて出来た家のことで、現在アメリカでは、3千棟以上が建っていると言われています。
工法はいたって簡単で、建築の申請等の手続きが必要でなければ、工夫次第でどのようにでも建てることが出来ます。実際アメリカなどでは、構造材(柱等)は使わず、藁を積んだ上に直接梁を渡して作られているものもあるほどです。
日本で建てる場合、確認申請や地震の心配などから、木材などで構造を作ってから、その周りに藁を積んでいくというのが一般的な作り方です。


ストローベイルハウスとの関わり

土壁塗り

私がストローベイルハウスに興味を持ち、色々調べ始めたのが2000年頃のことです。
先ず、日本で行われたワークショップに参加。その後ストローベイルハウスの住宅の建築に携わる機会も得て、知識と施工技術を学んで来ました。現在までに4棟のストローベイルハウス住宅の建築に携わりました。
2005年、ストローベイルハウスについてより深く知るためアメリカに渡り、ニューメキシコ州とアリゾナ州を中心にビルダーを訪ね、施工方法やディテールを学びました。


ストローベイルハウス私見

ベイル作り

ストローベイルハウスは、肝心の藁のベイルがなければ作ることは出来ません。日本で建てる場合、最も苦労するのが、ベイルと言われる藁のブロックの確保です。
アメリカでストローベイルハウスが作られた一番の理由は、ベイルが簡単に入手出来たからです。
ベイルは、そもそも酪農家が家畜の飼料や敷き藁として藁などを保存するため、運搬しやすいように四角く固めたもので、アメリカでは至るところで見ることができます。 近くにある材料を使うというのが、本来の建築の姿です。日本に木造建築が多いのは、日本の山に建築に向いている木が多いからで、ヨーロッパに石の建築が多いのも同じ理由からです。
ストローベイルは、日本にもあることはあるのですが、数が少なく製作や入手が困難です。それが、日本でストローベイルハウスを作る場合の一番のネックです。

ストローベイルハウスの今後の展開

藁の家

その問題を何とか解決できないかと考え、思いついたのが「畳」を利用することです。畳を使うと言っても、何も新品を買う必要はありません。建物を解体すると、古くなった畳が大量に出てきます。今まで産業廃棄物として捨てられていた古畳を再利用することで、ゴミを減らす効果も期待できます。
古畳を使った土壁の家に「タタミハウス」と名前を付けました。タタミハウスは、まさにジャパニーズストローベイルハウスと言えるのではないでしょうか。

土壁の家としてのストローベイルハウス

ストローベイルハウスは、藁を積んだ壁に土などを塗った、いわゆる土壁の家です。日本では昔から、土蔵など、土壁の家が一般的に数多く作られて来ました。
土壁の家は、日本の伝統的な工法によって作られる家なのです。
ストローベイルハウスの発想と、日本で発展してきた土壁の家の技術を組み合わせることで、古くて新しい、快適な自然素材の家が出来るのではないでしょうか。



ストローベイルハウス施工例

高遠 藁の家

2002年から2003年にかけて
長野県高遠町で建てたストローベイルハウス施工の様子を紹介します
藁の家 基礎工事。
自然石を置いただけの独立基礎。
出来るだけコンクリートは使いたくないということで、石の基礎にした。
この現場は建築確認の必要のない地域ということで、それも可能。
藁の家 構造材には、近くに捨てられていた古材をもらってきて使用。
2トントラックに3往復で、10坪の作業小屋に充分な量の古材を確保。
藁の家 基礎として地面に置いた石の上に、古材を置く。
石と材が触れる場所は、木材を石の形に削る。
藁の家 土台の上に柱を立て梁を乗せる。
この辺りは通常の建築方法と同じ。
藁の家 垂木を掛け野地板を張る。
野地板には唐松の40ミリ厚の板を仕様。
特に断熱材など入れず、板の厚みで断熱性能を持たせる。
藁の家 屋根材を張り、ひとまず家の形に仕上げる。
雨の多い日本では家を建てる場合、はじめに屋根までかけてしまうのが一般的だ。
ストローベイルハウスの場合、ベイルを濡らすとだめになってしまうので、はじめに屋根までやってしまう方法が妥当だと思う。
藁の家 建物の構造が出来上がったところで藁の準備をする。
この時は近くの酪農家から、ロールベイルを購入。それをいったんばらしてから、改めてベイルに作り直した。
ロールベイルの重さは約200キロ。大人3人でやっと転がす事が出来る重さだ。
藁の家 ベイラーとトラクターを、やはり近くの酪農家の方からお借りしてベイルを作った。
トラクターやベイラーの操作には、経験や技術が必要で危険も伴うため、機械を貸して頂いた酪農家の方が2日間作業を手伝って下さった。
そうした協力がなければ、ストローベイルは簡単に作ることは出来ない。
藁の家 出来上がったベイルをトラックに積む。
1トントラックに約60個のベイルを積んだ。
この作業にもコツがあり、自分たちだけではとても60個も積む事は出来なかった。
藁の家 湿度計でベイルの湿度を計る。
適切な湿度がどれくらいなのかはっきりわからないが、今後の参考になればとデータを取ってみた。
アメリカでベイルについて教えてもらう中で、湿度を計るのは必ず行う作業とのことだった。
ベイルの品質はとても重要なので、そうした作業は出来るだけ行いたい。
藁の家 藁積み開始。
1段目は床の上に炭を置いて、ストローベイルと床板が直接触れないよう工夫する。
湿気対策にビニールシートなどを使うと、逆にたまった湿気が抜けず、藁がいたむ原因となる。
藁の家 1段目を積む。
窓が入る部分にはあらかじめ枠を作り、ベイルを積みやすくしている。
そうする事で建物の強度が増し、作業性も良くなる。
藁の家 3段目を積んだところ。
一段目ごとに縦方向のつなぎ目をずらす事で強度が出る。
柱は室内側に出るように仕上げるため、柱の外側にベイルを積んでいく。
藁の家 5段目まで積んだところ。
この段階ではベイルが固定されていないため不安定な状態。
藁の家 ベイルをある程度の高さまで積んだところで、トッププレートという枠を載せ圧力を掛ける。
これをしないと完成後壁が沈んでしまい、天井と壁のあいだに隙間が出来てしまう。重要な工程。
藁の家
トッププレートで圧力を掛ける方法は色々あるが、このときはボルトを使った。
これで藁の高さが均一になり、より強い壁になる。
この時は竹を定規にして高さを調節した。
藁の家 竹を割ったものを縦横に入れ、壁の中と外から紐で縫い付ける。
同時に柱にも紐で固定する。 ここまでの作業で壁としてかなりの強度が出る。
藁の家 ベイルにひもを通すためのニードルという道具。
一般に売られていないため、鉄の棒を加工して自分で作った。
これを縫い針のように使い、藁の壁に補強材を縫い付ける。
藁の家 壁の中と外で声を掛け合いながら紐を通し竹を縛り付ける作業。
慣れるまでは思ったところに通せないが、こつをつかめば早くできるようになる。
藁の家 ベイルが積めない軒下の狭い所などは、藁の束を詰めて桟木で固定する。
桟木には藁縄を巻いておくと、土を塗る時に良い下地となる。
藁の家 軒下の狭い部分の作業は、とてもやりずらい。
はじめに屋根をかけるとその作業に手間がかかるが、雨の心配を考えるとやむを得ない。
藁の家 壁の厚みを利用して棚を作る。
内側に棚を作っても、外壁は平らに仕上がるのもストローベイルハウスの特徴。
間柱の両側に桟木を打ちつけ、その間に藁を詰めていく。
藁の家 窓周りにも、縄を巻きつけた桟木で土壁の下地を作る。
古い土蔵など解体すると、よくそうした下地を見ることがある。
昔の人達が用いていた技術は、土壁の家を作るのに一番良い方法だと思う。
藁の家 場所に応じて桟木の形を変える。
窓の隙間の狭い部分は3角形の桟木を使い、丸みをつけて仕上げる予定。
藁の家 藁積みを終えた室内の様子。
備え付けの作業机は、4センチ厚のケンポ梨の無垢板に漆塗りを施したもの。
藁の家 サクラの流し台も同じく漆塗りで仕上げた。
漆は水に強く、流しの塗装にはとても適している。
藁の家 建築と同時にやっておかなければならないのが、壁に塗る土作りだ。
事前に土壁用の粘土を4t購入。
それに切り藁を混ぜ、週に1度のペースでかき混ぜて約4ヶ月間掛けて壁土を作った。
藁の家 藁を切るのも手作業。
昔ながらのやり方で壁土を作った。
藁の家 壁に土を塗る作業。
ストローベイルハウスや土壁に興味のある人達が集まり、壁塗りを手伝ってくれた。
大人もこどもも泥だらけになりながらの作業。
藁の家 誰でも参加できるというのも、ストローベイルハウス作りの魅力の一つ。
鏝などは使わず、直接手で塗っていく。
土の感触が気持ちいい。
藁の家 土を運ぶ作業が一番の重労働。
ここでもこどもが大活躍。
藁の家 下塗りを終えた壁の様子。
窓周りの緩やかなカーブが美しい。
藁の家 建具を取り付ける。
真ん中のガラスの部分はフィックスで、両側の板の扉が開閉する仕組みにした。
藁の家 内部、玄関横に作った棚。
この丸みがストローベイルハウス独特のもの。
藁の家 下塗りの壁が乾いた。
ストローベイルの壁には凹凸があり、厚いところでは10センチ近い厚みがある。
乾燥には予想以上に時間がかかり、完全に乾くまでに2ヶ月ほどかかった。
藁の家 壁の乾燥には、季節や天候も大きく影響する。
下塗りが終わったのが晩夏。その後一気に涼しくなり、天気の崩れる日も多く思ったよりも乾くまでに時間がかかった。
下塗りに使う土は粘り気があり、乾くとひび割れする。
その上に砂を混ぜた土を二度塗りすることによって、土壁を仕上げていく。
藁の家 二度塗りの土が乾き、仕上がった内部、玄関の様子。
下駄箱となる棚は壁の厚みを利用して作った。
藁の家 完成した内部の様子。
今回は二度塗りで仕上げとしたが、何年かしてこの上に漆喰や珪藻土など新たに仕上げ材を塗ってもいい。
藁の家 奥には畳の部屋も作った。
縁なしの畳を敷き、茶室のような雰囲気に。
藁の家 漆塗りのカウンターも良い色になった。
施主さんはここで趣味の木工をされる予定。
仕事をするのが楽しくなるような立派な作業台だ。
藁の家 薄暮の外観。
このストローベイルハウスが建つ高遠町は、長野県でも特に山深い里で、この建物がある場所はその更に山奥にある。
周辺の部落には今もまだ土蔵が多く残っていて、里山の原風景といった趣がある。
そんな場所に建てたストローベイルハウスだが、自然の風景によくなじんでいて違和感がない。

このページの最初に戻る

無料アクセス解析ブログ無料作成レンタル掲示板無料CMS