8mmCINE


・以前、家庭用ムービカメラといえば8ミリカメラだった。現在の「8ミリビデオ」ではなく、フィルムで撮るヤツだ。フィルムで撮ったものには、ビデオでは表現できない深みのある映像にある。残念ながら、二十数年前にビデオカメラの普及とともにその姿を消してしまった。だが、世の中は広い。いまだに根強いファンもいて、機器やフィルムの販売店もある。しかし、ビデオ機器の発達は日進月歩、テープも安価だしどこでも 手に入りいつでも撮影できる。
・この世はまさに「ビデオ」の時代ですが、ここで往年の名機を幾つかご紹介します。

*好きで集めだした「8mm機」も300台を越え、その中から珍しいものや古いものをピックアップし、近日中に「8mm cine petit museum」をオープンの予定で、現在工事中です。

●「8ミリシネ機たち」
・昭和30年代、活躍した名機たち。
・後左から*「ヤシカ-8」
*前述の「シネエルモ-8AA」、この「AA型」より少し前、昭和30年10月に発売された「A型」をガバナー部分の外形が変わったり、透視式ズームファインダーになったが見た目は変わりなし。(昭和31年12月発売・エルモ社製、一番最初に買った8mm機)、
*「キャノン-8T」このカメラは、青い中に白い窓で示したシネマスコープファインダーをもっている。但し、撮影には別途「シネスコ用レンズ」の取付けが必要。(昭和31年11月発売・キャノンカメラ製)
・ 前左から*「シネマックス-8T」(昭和30年・瓜生精機製)、
*「エルモ8R−T」このカメラの発売時には、ズノーF1.1と言う大口径レンズが装着されていた。写真のものは別。(昭和32年11月発売・エルモ社製)、
*「ベルハウエル-319」


●「Beaulieu 4008ZM」
・フランスはボリュウー社の世界一凝った重装備カメラで、8ミリ機の王様的存在だ。
・このカメラは、ハイテクニックを要求するアマチュアは勿論、TV局のニュース取材、ドキュメンタリー番組、解析にも使われ、今でも多くのファンを持っている。
・レンズはシュナイダーのF1.8、6〜66mmの11倍ズームレンズで、パワーズーム用のモーターと、絞り羽根を動かすモーターが、レンズと一体となっている。
・「スーパー8フィルム使用」残念ながら現在不動 。

「ALCO 8」
「Arco−Eight」 ・昭和30年代初期の傑作機に一つ。この機のレンズは広角6.5mm、標準13mm、望遠38mmの三本ターレット式回転の最新鋭機で、当時は唾えんの的存在だった。シャッター開角機能が付き、フェードイン・アウトが出来、ファインダーはズーム式となっているがレンズに連動していない。(昭和33年11月発売・アルコ写真工業製)
・「ダブル8フィルム使用」

「Cine−Kodak」
・イーストマン・コダック社(USA)製で1930年代初期の頃と推定される。まだこの頃には「8mm機」は確立されておらず、この機は「9.5mm」フィルム使用のものと思われる。しっかりした作りのシネ機。レンズは1インチと3インチが付属。
・「使用フィルム不明」

「Bell−Howell」
・ベルハゥエルの2機種。左は「DUOLEEX-C型」、右は「DUOZOOM型」。 いずれも9mm−27mmのズーム付8ミリシネ機。
・この機は「バックライトコントロール式」で逆光線などの調節が出きるもの。(昭和36年10月発売、日本映画機械製)
・どちらも「ダブル8フィルム使用」

「ELMO super103T」と「CANON AUTO ZOOM318M」
・右はエルモ社の「ELMO super103T」と、右はキャノン社の「CANON AUTO ZOOM318M」(当時¥32,500)。共にTTL測光電動超小型8ミリシネ機。
・いずれもよく似た型で「スーパー8フィルム使用」

「CINEMAX-8 TRIAUTO」
・シネマックスの3本ターレットレンズ付きの8ミリシネ機。ズームレンズのまだ普及していない頃、このスタイルが人気を呼んだ。広角6.5_、標準13_、望遠26_のレンズ装備。グリップ付きで手動巻き、露出計、オーバーラップ機能付き高性能機で迫力万点。
・昭和35年3月発売(当時¥24,000)・渇Z生精機製
・「ダブル8フィルム使用」

「CINEMAX8z」
「シネマックス8Eオートズーム」シネマックスのTTL測光3倍ズーム付き8ミリシネ機。手動ラチエット巻き上げ。
・ダイキャスト製の堅牢なボデイーに、電動ズームの11.5〜33mmF1,8という明るいレンズを付けたカメラである。重量1.35sと重いが、高性能多機能カメラである。
・主な特徴として、巻き戻し機能付きでオーバーラップ 機構が付いて高度なテクニックが可能。前述の「CINEMAX-8 TRIAUTO」をズームレンズ付きに発展させた機種である。
・昭和35年12月発売(当時¥33,500)・渇Z生精機製
・「ダブル8フィルム使用」
・この「Cinemax8E-autozoom」は平成16年6月「広島市の山崎 紀氏」より無償譲渡頂いたものです。《厚く御礼申し上げます》

「CANON ZOOM8」
「キャノンズーム8」はキャノンのTTL測光4倍ズーム付き8ミリシネ機。
・前述の「キャノン8T」のボデーに、そのまま10〜40mmF1,4という組込式の大きなレンズを付けたカメラである。重いが堅牢、グリップ付きで操作性良好。
・昭和34年11月発売・キャノンカメラ製
・「ダ
ブル8フィルム使用」

「NIKKOREX-8」
・Nikonの珍しい8ミリシネ機2台。前期型は「ニコレックスー8」(右)と後期型「ニコレックスー8F」(左)。前期型は折り畳み式ファインダー、後期型は、若干の外観と固定式のファインダーだけの違い。電動、露出計付。
・電気露出計は従来から使われていた「セレン」代わって、感度の高い「Cds(硫化カドミウム)」を使用した自動絞りである。これはその第一号機であった。(昭和36年3月発売・日本光学製)
・「ダブル8フィルム使用」非常にシンプルで小型軽量。

「FUJICA single-8」
・左から2台目は一番最初の「P1型」、右の2台はP1型から発展した「P100型」。コンパクトな固定焦点式、自動絞りとマガジン入りのフイルムを採用でカメラ操作が非常に簡単になり、大衆化されたカメラだ。「マガジンポン!私にも写せます」のコマーシャルでヒットした永遠のベストセラー機。(昭和40年4月発売・富士写真光機製)
・左端は「FUJICA AX100」外部測光式のEE機構付き、固定焦点F1.1〜2.2。コマ速度は18コマのみ。・ 「シングル8フィルム使用」

「CHINON 805S」
「チノンダイレクトサウンド」8ミリシネ機で音声も同時に録音する時代となり、日本で一番最初に発売されたもの。「ナックルグリップ」も特徴だ。これでやっと音の入った映像が出来ると嬉しかった。上部にマイクのアームが付く(昭和50年1月発売・チノン株式会社)
スーパー8の「サウンドムービーフィルム使用」

「CHINON 20XPI」
上記「チノンダイレクトサウンド」の後期型。上部にマイクのアームが付く。
・スーパー8の「サウンドムービーフィルム使用」

「Sankyo-8R」
「サンキョウ−8R・ムビマット」二枚羽根自動絞り(EE)採用の8ミリシネ機。
・電気露出計の作用に連動して動く二枚羽根に、特別な形態の穴をあけておくと、被写体の明るさが電気露出計に作用して、その二枚の位置がかわる。そうすると穴の大きさが変わり、それをレンズの絞りに使って露出調節をして自動絞りを作っている。これは、それぞれのメーカーにより穴の形と羽根の動きなど細かいところに違いがあるという。
・機能も当時としては最高の贅沢仕様で、レンズは広角、標準、望遠の3本ターレット、フアインダーも独立連動している。シャッターボタンもグリップより操作出来、大変な優れものである。
・「ダブルフィルム使用」・昭和35年3月発売・三協精機製。
・この「Sankyo-8R」と前述の「フジカ・P−100」の2台のカメラは平成12年8月「大阪市の田中氏」より譲渡頂いたものです。《厚く御礼申し上げます》

「CANON AUTO ZOOM 518 SV SUPER 8」
「キャノン オートズーム518-SV スーパー8」。フィルム駆動は電動式で、レンズは電動5倍ズームを備えた中級8mm機。
・「スーパー8フィルム使用」(昭和40年代前半頃発売・定価¥53、500)

「YASHICA 8T-2」
「ヤシカ エイト T-2」前出の「ヤシカ エイト」のデラックス版。映画の世界では「シネマスコープ」が当たり前となったこのころ、8ミリ機でもシネマスコープの画像が得られるようになった。
・「ヤシカエイト」との違いは、最初からレンズ2本付きであったのとシネマスコープ用レンズが使用でき、フアインダー窓にシネスコ枠取付用のレールが付いた。
・写真は、レンズの先にシネマスコープレンズを装着したところ。このレンズは「ヤシカスコープ」と呼ばれ、縦横比1対2のワイドシネマスコープ8ミリ映画を製作ができた。
・「ダブル8フィルム使用」(昭和33年発売・定価¥21、800 ちなみにスコープレンズは¥5、800)

「ELMO SUPER 8 SOUND 2600 AF NACRO」
「エルモスーパーサウンド2600AFマクロ」
このころになると8ミリ機の機能も現在の「家庭用ビデオ撮影機」並みとなった。
・レンズは明るくf1:1.4、電動6倍ズームでオートフォーカス、マクロも可。
・当時、各社が競って高性能の8ミリ機を世に出すがこれらの寿命は手軽なビデオの時代と移ることで短命だった。
・スーパー8の「サウンドムービーフィルム使用」(昭和40年代後半から昭和50年代前半の発売と思われる。価格不明)

「Sankyo 8z AUTO ZOOM」
「サンキョウ 8Z」駆動は手巻き式だがレンズは電動3倍ズームの8ミリシネ機。機体は堅固なダイキャスト製で重い!。携帯性を考えて、グリップを折りたたみができ小型化を考えている。
・「ダブルフィルム使用」(昭和36年10月発売・三協精機製。価格は不明。)

「ELMO pocket auto」
右は「エルモ ポケットオート」 ・1960年代、ズームレンズ組み込みの大型化カメラの反動として、軽くて小さいコンパクトカメラが各社から発売された。このカメラもそのひとつで、レンズは固定焦点10ミリ。しかし、ワイコン6ミリとテレコン25ミリが付属。写真はテレコン25ミリを取りつけたところ。
・おしゃれな本皮製ケースにすっぽり収まり、撮影時はケースの前部をはずすと「グリップ」として使えるようになっている。
・「ダブル8フィルム使用」(昭和30年代中期の発売と思われる。価格不明)


●「SANKYO DUALUX-1000」
「サンキョウ映写機」・8ミリシネ機サイレント時代の映写機。「スーパー8フイルム」と「ダブル8フィルム」兼用機。

●「SANKYO SOUND-600」
「サンキョウサウンド映写機」でスーパー8、シングル8の磁気録音フィルムの映写可能。アフレコも出来、編集もサイレント時代に比べぐっと楽しかった。(昭和40年代から50年代の前半発売、¥87、000)

「ELMO SOUND ST-600」
「エルモ2トラックサウンド映写機」でスーパー8、シングル8の磁気録音フィルムと光学録音フィルムの映写可能。磁気録音付フィルムはアフレコも出来、編集の楽しみが増した。当時としては、最高レベルの機種で勿論完動だ。
・この「ELMO SOUND ST-600」は平成11年8月、当辰野町の親友「倉澤 孝」氏より無償で譲渡頂いたものです。
《厚く御礼申し上げます》

「CANON AUTO PROJECTOR 8Z」
「キャノン オート プロジェクターズーム8」
・サイレントW8ミリシネ機。

・機体はダイキャスト製で頑丈そのもの。また、携帯性にも優れてお り、レザー製のケース付きだが約7.3sと重い。写真はケースとも。
 ・オートとは、フィルムを装填するときレンズの上に差し込むと自動で巻き取りリールに巻かれる・・・事のようだ。
 ・レンズは15〜25mmのズーム付きでf1.5と明るい。
 ・海外輸出もあったのか電源は100V〜240Vまで使える。
・あこがれの同期装置が内蔵されていて、テープレコーダーを繋いで トーキーの録音が出来た優れもの。
 ・発売年月、価格不明 キャノン梶Eダブル8フィルム使用。
・この4機種の中で一番古いものと思われる。
・この映写機は横浜市・米田氏より格安で譲渡頂いたものです。ケース、取扱説明書付きの完動品。
《厚く御礼申し上げます》



・「8ミリ用各種フィルム」
左から「スーパー8ミリ」「スーパー8ミリサウンドフイルム」
下は「8ミリダブルフィルム(モノクロ)」