<主な諸元>

・エンジン形式 空冷45度V型2気筒OHV2バルブ
・排気量 / ボア×ストローク 1202cc / 88.9×96.8mm
・気化器 電子式燃料噴射(DDFIⅢ) 49mmダウンドラフト式
・変速機 5速リターン
・フレーム形式 アルミツインスパー
・全長 / 全幅 / 全高 2080 / 820 / 1100mm
・軸間距離 / シート高 1372 / 798mm
・キャスター / トレール 23.1度 / 119mm
・燃料タンク容量 16.7ℓ
・乾燥重量 181kg 

<XB12STT>

XB12STT('08)

LIFE
ビューエル
Impression
インプレッション
<エンジン>

’08モデルはエンジンとインジェクションシステムの変更により、全体的によりスポーティな
味付けに。
特に普段使用することの多い二千~三千回転付近が扱いやすく、かつ楽しめるようになった。

二千回転付近からアクセルを開けると、今まではどちらかというと「ドン」と言う感じで車体が
前に出たが、’08はアクセルの開度に対してリニアにスピードが乗る感覚。
交差点の右左折などエンジンの回転数が千回転付近まで落ちる場合でも、今までに無い「粘り」
が感じられ、クラッチを切ったり半クラッチを使わなくても回ることが出来てしまう。

四千~五千回転では、どちらかといえばフラットトルクだった前年までのモデルに比べ、パワー
の盛り上がりが感じられ、今までの9系の特性に近い感覚である。
個人的には12と9のいい所取りをした感じで、とても好感を持った。

ひとつ残念なのは扱いやすさを優先したせいか、発進時のトルク感が今までよりも薄くなったこと。
個人的にはアイドリングを少し上げて対処したいところであるが、このモデルからアイドリング調整
が出来なくなってしまった。
少し半クラ気味に発進してやれば問題の無いレベルではある。

<車体>

ポジションはユリシーズより軽く前傾し、オン車とオフ車の中間的な印象。
オフ的に車体を振り回せそうな安心感がある。

足付きは身長166cmの私で、両足のつま先が地面にやっと触れるくらい。
ユリシーズに比べてシート面が絞られていて車重も軽いせいか、停車時もそれほど気を使わな
かった。

ハンドリングはニュートラルで安心感があり、自由度の高いポジションとあいまってスムーズに
コーナーに入って行けるもの。
サスペンションはビューエル唯一の一人乗り設計のおかげか、十分に動きながらコシがあって
個人的にはなかなか良いセッティングだと感じた。

低速時のハンドリングにもクセが無く、扱い易い。

<総評>

キワモノ的に見られがちであるが、実はとても良く出来たスポーツバイク。
オフ車の経験のある人なら足付きは何とかなりそうだし、エンジン特性もギクシャク感が抑えられ
四気筒からの乗換えでも、そう乗りづらさは感じないと思う。
見た目の好みはともかく、新たなスポーツバイクのジャンルとして認知されても良い。

スポーツバイク好きにはとにかく一度乗ってみてもらいたい、楽しいオートバイである。